イスラエルの研究調査によるとイラン人は60%が礼拝も断食もしていない。70%が宗教と国家の分離を支持しているという。加えてイスラム原理主義の筈の革命防衛隊幹部は西欧的な豪邸に住み、豪華な暮らしという世俗的な生活をしているという。
結局イランの極端なイスラム原理主義は見せかけだった、というだろうか。
イスラエルや欧米の研究機関、あるいはSNSを通じた草の根の調査(GAMAANなど)が示すデータは、現代イラン社会の「二重構造」を鮮明に浮き彫りにしている。
現在のイランを「国民全員が熱烈なイスラム原理主義を信奉する国」と捉えるのは実態と大きく乖離しており、実情はより複雑で冷徹な政治的力学によって支配されている。
1.「静かなる世俗化」と国民の乖離
イランでは1979年の革命以降、国家が私生活の隅々にまで宗教的規範を強制してきた。しかし、その反動として、特に都市部の若年層や中産階級の間では、内面的な「脱宗教化」が急速に進んでいる。
• 形骸化する儀礼:礼拝や断食といった行為が、信仰心からではなく「公共の場でのトラブルを避けるためのポーズ」となっている側面がある。
• 政教分離への渇望:経済制裁や腐敗、厳しい行動制限への不満が、それらを正当化する基盤である「神権政治」そのものへの不信感に直結している。
2. 革命防衛隊(IRGC)の「特権階級化」
「革命の守護者」であるはずの革命防衛隊の幹部が世俗的で豪華な生活を送っているという事実は、彼らがもはや宗教組織ではなく、「巨大な軍事・経済コンツェルン」に変貌していることを示している。
• 経済の独占:革命防衛隊は建設、エネルギー、通信、密輸ルートに至るまで、イラン経済の主要な部分を掌握している。
• 信仰より利益:彼らにとってのイスラム原理主義は、利権を守り、反体制派を弾圧するための「統治ツール」であり、精神的なバックボーンとしての機能は薄れているという指摘が一般的だ。
3.「見せかけ」が維持される理由
それでは、なぜこの「見せかけ」の体制が維持されているのか。そこには強力な生存本能が働いている。
• 監視と弾圧:信仰心が失われても、バスィージ(民兵組織)による監視網と暴力的な弾圧装置が健在である限り、体制は維持可能となる。
• 外部の敵の利用:「反米・反イスラエル」という対外的な物語を維持することで、内部の腐敗から目を逸らさせ、ナショナリズムを煽る構造になっている。
結論:原理主義は「看板」か
「見せかけだったのか」という問いに対しては、「国民にとってはもはや形骸化しており、支配層にとっては統治と特権維持のための便利な仮面(イデオロギー)になっている」というのが実態に近いと言える。
かつては純粋な宗教的情熱に支えられていた革命体制も、半世紀近い年月を経て、エリート層の「保身」と「利権」を隠すための外壁へと変質してしまったというのが、多くの専門家の一致した見方だ。