ホルムズ海峡の要衝であるケシム島(ゲシュム島)や周辺地域では、アメリカ軍とイラン軍の間で深刻な軍事衝突が続いている。

1.直近の攻撃(2026年5月7日〜8日)
米中央軍(CENTCOM)とイラン当局の発表によると、ホルムズ海峡付近で大規模な応酬があった。
• 米軍による攻撃:米軍はケシム島および対岸の港湾都市バンダレアッバースにあるイラン軍の軍事施設を攻撃した。これには、ドローンやミサイルの発射拠点、指揮統制所、情報収集ノードが含まれる。
• 攻撃の理由:ホルムズ海峡を航行中の米海軍駆逐艦3隻(USSトラクスタン、USSラファエル・ペラルタ、USSメイソン)に対し、イラン側がミサイル、無人機、小型ボートによる波状攻撃を仕掛けたことへの「自衛のための反撃」としている。
• イラン側の主張:イラン軍は「米軍が先にイランの石油タンカーを攻撃した」と主張しており、米軍の攻撃は停戦違反であると非難している。ケシム島では爆発音が確認され、防空システムが作動した。
2.これまでの主な衝突・背景
2026年の「イラン戦争」状態において、ケシム島は何度も攻撃の対象となってる。
• 海水淡水化施設の破壊(2026年3月):3月7日、ケシム島にある海水淡水化プラントが攻撃を受け、周辺の30以上の村で飲料水供給が停止する深刻な人道被害が出た。イランは米軍による攻撃だと主張したが、米国とイスラエルは関与を否定している。
• 米軍による「逆封鎖」:4月、米中央軍はイランの主要港を実質的に封鎖する措置を取り、ケシム島を含む沿岸部へ出入りする船舶に対し、武力行使を辞さない警告を発していた。
• トランプ政権の対応:トランプ大統領(再選後)は、これらの攻撃を「軽い一撃(just a little blow)」と表現しつつも、イランが合意案に署名しない場合は「さらなる激しい打撃」を与えると警告し、強い圧力をかけ続けている。
3.現在の状況
• ホルムズ海峡の閉鎖:衝突の影響で、世界の石油輸送の要であるホルムズ海峡は現在、事実上の閉鎖状態にあり、原油価格の高騰(1バレル=100ドル超)を招いている。
• 緊張の継続:5月初旬の衝突後、イラン側は報復としてバーレーンの米軍基地(ジェフェアー基地)などへの攻撃を示唆・実施しており、地域全体での紛争拡大が懸念されている。
要点まとめ
現在のケシム島周辺での攻撃は、米駆逐艦への襲撃に対する米軍の報復措置としての側面が強いが、イラン側はこれを米国の侵略行為と捉えて反撃を繰り返しており、泥沼の応酬が続いている。
ところで、今回の米軍の攻撃によるイラン側の損失はどの程度だったのだろうか。
1.軍事施設および設備の損失
米中央軍(CENTCOM)の発表および衛星画像の解析によると、以下の軍事資産が破壊・無力化された。
• ミサイル・ドローン発射拠点:ケシム島内に配置されていた対艦ミサイル発射台および無人機(ドローン)の運用拠点が複数の精密誘導爆弾によって破壊された。
• 指揮統制(C2)ノード:ホルムズ海峡の監視と攻撃指揮を担っていた、革命防衛隊(IRGC)の通信・インテリジェンス拠点が標的となった。
• バンダレアッバース周辺の港湾設備:ケシム島対岸のバンダレアッバースにあるバフマン港の商業・軍事共用エリアも着弾し、船舶の運航能力が著しく低下している。
2.インフラ・経済的損失
軍事目標への攻撃に伴い、民間・公共インフラにも甚大な被害が出ている。
• 海水淡水化プラントの機能停止:ケシム島にある主要な海水淡水化施設が攻撃を受け、島内の約15万人の住民および周辺の30以上の村で飲料水供給が完全に止まるなど、深刻な人道問題に発展している。
• 原油・船舶への影響:イランの石油タンカーが損傷を受けたとの報告があり、これによりイランの貴重な外貨獲得源である石油輸出ルートが物理的・政治的にさらに制限されている。
3.人的被害
イラン側および国際メディアの報道をまとめると、以下の被害が推定されている。
• 軍人の死傷者:革命防衛隊の兵士や技術者を中心に、多数の死傷者が出ているとされている(具体的な数値はイラン政府により秘匿されているが、米側の推計では数十名規模の可能性がある)。
• 民間人の犠牲:5月7日の攻撃において、民間漁船2隻が巻き込まれ、少なくとも5名の民間人が死亡したとの報道がある。
• 過去の累積被害:2月下旬からの紛争全体では、周辺地域(ミナブなど)の学校が誤爆されるなどの悲劇も発生しており、今回のケシム島攻撃もその延長線上にある「高い代償」として認識されている。
まとめ
イラン側は、今回の攻撃による物理的損失(兵器や拠点の破壊)以上に、「ホルムズ海峡の制海権の喪失」と「民生インフラ(水・電気)の破壊による国内不安」という二重の打撃を受けている。
一方でイラン側は「米軍艦にも甚大な損害を与えた」と主張しており、情報の真偽を含めた宣伝戦が続いているが、現時点での実質的な損失はイラン側に大きく偏っているのが実情だ。
イラン側はもうすぐ貯蔵タンクは満タンになり、油井を止めればイラン経済を支える原油の産出が当分出来なくなる。しかも輸出の為の船の出港も抑えられていて、あらゆる物資の出入りほぼ止まっている現状で、ホルムズ海峡封鎖の諸島や沿岸を攻撃されたのでは、ますます国として成り立たない状態であり、革命防衛隊が何時まで突っ張っていられるのか。
常識で考えれば合意は近いのだが、その常識が通用しないのがイスラム・シーア派だ。