極超音速滑空兵器(HGV)を宇宙空間から検知・追跡する技術をJAXAが開発





JAXA(宇宙航空研究開発機構)が開発を推進している極超音速滑空兵器(HGV)の検知・追跡技術は、防衛省との連携のもと、従来の地上レーダーでは困難な「低高度・変則軌道」での飛行を捕捉することを目的としている。

2026年現在の状況をまとめると、主に以下の「技術実証」と「衛星コンステレーションの構築」の2つの軸で進展している。

1.HTV-X(新型宇宙ステーション補給機)を活用した技術実証
JAXAは、国際宇宙ステーション(ISS)への補給機である「HTV-X」の初号機を活用し、HGVを探知するための赤外線センサ等の実証実験を計画・実施している。

• 実証の内: HGVはマッハ5以上の高速で大気圏上層を滑空するため、機体表面が超高温になり赤外線を放射します。HTV-Xに搭載されたセンサにより、宇宙空間からこの微弱な熱源を正確に識別・追跡できるかを検証する。

• 現状:2026年3月にHTV-X1号機がISSを離脱した後、約3ヶ月間にわたり、HGV検知技術を含む複数の技術実証ミッションが運用されるフェーズにある。

2.衛星コンステレーションによる追跡網の構築
単一の衛星では地球の影や距離の制約があるため、防衛省主導で多数の小型衛星を連携させる「衛星コンステレーション」の構築が進められている。

• 役割分担:
◦ JAXA::センサ技術の研究開発や、衛星の高度な制御・観測データの解析アルゴリズムなどの技術的基盤を担当。

◦ 防衛省:2025年度(令和7年度)末から、PFI方式(民間資金・ノウハウの活用)による衛星の打ち上げとコンステレーションの構築を本格化させる計画だ。

• 目標:低軌道(高度数百km)に配置された数百から数千基の衛星により、HGVがどこを飛んでいても常に複数の「目」で捉え続け、迎撃システムへリアルタイムでデータを伝送する体制を目指している。

3.日米連携と技術的課題
HGVの追跡は極めて難易度が高く、日本単独での構築には限界があるため、米国とのデータ共有や技術協力が不可欠となっている。

• 極超音速防衛:米国のHBTSS(極超音速・弾道トラッキング・スペース・センサー)との相互運用性が検討されており、JAXAの技術もその一翼を担うことが期待されている。

• 課題:膨大な観測データの中から、雲の反射や火災などのノイズを除去し、超高速で移動するHGVのみをAI等で即座に判別するソフト面での技術確立が急がれている。

まとめ
現在のJAXAの役割は、「宇宙空間という極限環境で、高速・高熱の物体を確実に捉える『眼(センサ)』を確立し、それを実機(HTV-X等)で証明する」という実証段階にある。これが成功すれば、数年以内に日本の防衛網を支える衛星群のコア技術として実装される見込みだ。