トランプ大統領は8月26日に中国人留学生60万人を受け入れると発表した事が報道されている。その理由として、中国人留学生がいなければ米国の大学の経営が困難になるからだという。
コロナ前のピーク時は 37万人超の中国人留学生 が在籍(全留学生の約3分の1)していた。この60万人という報道に間違いが無ければ、2倍近くに増やすという事になる。
ところで、日本では外国人留学生で定員を充足している大学がある。要するに日本人学生が集まらない底辺大学が経営の為に外国人留学生を入学させているのだった。上記の米国政府の方針に対して、一部の米国民は外国人留学生を増やすことで米国の若者の大学入学枠が減る事になると主張しているが、はて、中国人が留学する米国の大学のレベルはどんなものなのだろうか。
そこで、これについて調べてみた。
結論を言えば、中国人留学生はトップ〜中堅〜下位すべての層に存在する。
・トップ校:ハーバード、イェール、MIT、UCバークレー、UCLA など
世界的に知名度がある大学で、中国の富裕層やトップ層が進学を希望している。
大学としては学費収入よりも、「国際的なブランド価値」や「優秀層の獲得」が目的となる。
しかし問題は、中国の国内法により中国人留学生は全員がスパイである事で、この問題はどうするのだろか?
・中堅校:ミシガン州立大、ペンシルベニア州立大、イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校 など
学費収入が大学運営に直結しており、中国人留学生はルペイ(奨学金なしで全額学費を払う)のため財政的に非常に重要で、州立大学は中国人留学生の学費に依存している。
・下位〜地方大学(ランキング外・無名校)
アメリカ人の志願者が少なく、定員割れを補う形で中国人を含む留学生を受け入れる。日本の「不人気私大を留学生で充足」という構造に最も近く、米国ではこの手の大学の数が多い。
すなわち、「留学生の増加は米国人の定員枠を奪っている」説については、そもそもトップ校は倍率数十倍の超難関であり、留学生分の枠が増えたところで難易度は殆ど変わらないのだった。
という事で、米国でも中堅~下位大学では中国人を含む留学生からの学費収入が無いと経営に大きな打撃を受ける事から、トランプ氏の言っている理由は正しかった事になる。
ところで、米国が日本と違うのは中堅の州立大学の経営難と留学生頼りの経営だが、日本では最近、地方の底辺私大を地方自治体が買い取り、公立大学としてブランド力を上げる事が行われている。既に公立というイメージとはかけ離れて入試難易度が低い県立大学なども出てきていて、これら公立大学にとって、米国の州立大学の経営危機は明日の姿なのかもしれない。