Volkswagen Passat Variant (2015/8) 前編 (1/2) |
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最近の Volkswagen (VW) も他社と同様にSUV やらクロスオーバーやらと新しいモデルをラインナップに追加して何がなんだか判らない状況だが、真っ当な乗用車のラインとしては小さい方から up! (Aセグメント) 、Polo (Bセグメント)、Golf (Cセグメント) という具合にどれもメジャーな存在だが、実はその上にはDセグメントの パサート (Passat) がある。この Passat 少なくとも日本での販売は決して好調とはいえない、というよりもハッキリ言って売てはいないようだ。 その Passat が欧州では昨年フルモデルチェンジされたが、先代 (B7) が2010年の発表だから、ドイツ車としては異例に短い4年弱でのモデルチェンジとなった。そして日本では今回1年遅れで発売となったが、所詮はマイナー車種だから世間ではそれほど騒がれてはいない、と思ったら最近 TV で宣伝していたところを見ると売る気があるのかもしれない。 今回の Passat は初代から数えて8代目となるが、その初代は1973年の発売だから結構歴史は長いモデルだ。そして初代と2代目は何れもアウティ80をベースとしていた。なお Passat の開発コードは初代が B1 で2代目が B2 という具合で、今回の7代目は B7となる。そして2代目である B2 には姉妹車があり、その名は Santana 、そうです、年配の読者ならばご存知と思うが日産自動車がノックダウンしたことで国産車より少し高いくらいの価格で AUDI 80 の兄弟車買えた訳で、クルマに明るいユーザーには結構売れたようだ。実はこのサンタナの販売によって致命的だったのはヤナセで、内容が同じなのに価格は大幅に高い AUDI 80 が全く売れなくなってしまい、結局日産ディーラーと共にヤナセでもサンタナを販売していた。 こういう例はその後もあって、オペルの小型ミニバン ザフィーラ (Zafira) と同じもので、しかもエンジンはより大きいクルマをスバルがオペルから OEM 供給を受けてスバル トラヴィックとして販売したら、な〜んとザフィーラよりも 100 万円も安かったということで、このボッタクリ商法が世間様にバレてしまった、なんてえ事もあったっけ。まあ、ドイツ製とはいえ3流のオペルをあたかも高級ブランドのような嘘を言って成金ババア達を騙していたら、スバルがより排気量の大きいモデルを100万円安く売ったわけだから、そりゃバレるわなぁ。 その次の3代目 (B3) は1988年に AUD I と手を切って横置きエンジンの安物路線となり5年後には4代目 (B4) へとモデルチェンジしたが実は基本は B3 そのままで言ってみれば外観だけを買えたビッグマイナーチェンジだった。それにしても B3 と B4 のデザインは安物丸出しで、当時こんなクルマを買うユーザーがいるのかと思ったくらいだ。そして5代目 (B5 1997年~) は再度 AUDI と兄弟車となり、アウディ A4 と基本コンポーネントを共有したこともあり、B5(ビッグマイナーチェンジ後はB5.5と呼ばれる)のコストパフォーマンスは高く、当時このサイトでも試乗記として扱っている。 VW (旧) Passat V6 4MOTION 試乗記 (2006/5/7) 上記試乗記では特にV6 4MOTION 試乗記中で歴代パサートについて多少詳しく説明しているので、合わせて参照願いたい。 ところが6代目(B6 2006年)ではまたまたアウディとの兄弟関係を解消してゴルフXとシャーシーを共用するという、もう何が何だか判らない状態だった。この6代目は僅か4年で7代目(B7 2010年)となり、そして今回はまたまた4年目に8代目へとFMCされた。 下の表は既に日記でも使用しているので常連さんからすれば今更の感もあるだろうが、再度数字を見てみれば、やっぱり Levorg の買い得感と高性能が光っている。いや、これは Passat の試乗記なのでその話はまた回を改めて行うとして‥‥しっかし、駆動方式は他車が RWD や 4WD なのに Passar は FWD だし‥‥それでもミッションが DCT というスペック上の強みはある。 話を本題に戻して、今回試乗した Passat はワゴンボディの Variant でグレードは Highline という現在発売中のモデルの中では一番上級のグレードで価格は 434万円となる。その下の Comfortline は 379万円で、更にその下としてベースグレードにあたる Trendline があるが、これは受注生産というから例によって事実上な無いというものだ。 それでは早速実車のエクステリアを眺めてみると、フロントグリルは Golf とも共通なイメージのVWらしいものだが、Golf と比べるとより低くて広いから良く言えば明らかに上級車の雰囲気がある。しかも3シリーズツーリングと比べても全幅で30o、全長に至っては150oも大きく、更には全高も30mm 高いから見た目の大きさはかなりのものだ。 サイドから見ると意外にもルーフラインは先端から既に下降しているから、リアエンドは結構高さが低いことになる(写真7)。しかしリアゲートは最上部をルーフ近くまでブラックアウトしてリアウィンドウを広く見せているために、ルーフが後方に向かって下降していてリアエンドでは背が低いことに意外と気がつかない(写真6)。 なおセダンはといえばBピラーまでは Variant と共通のように見えるが、この手法はBMW やメルセデスでも同様だ(写真3〜4)。 |
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斜め後方では気が付かなかったが、サイドから見ると意外にもルーフラインは既に先端から後方に向かって下降している |
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ヘッドライトは最上級グレードの R-Line (国内未発売) が LED ランプでそれ以外は全てハロゲンランプが標準となる。最近は国産車でもディスチャージ(キセノン)ランプが多くなって、軽自動車でさえも夜間に走っている姿を見ると明らかにディスチャージライトと思える白い強力な光束を放っていたりするし、BMW などのプレミアムブランドでは多くがバイキセノンヘッドライトを採用している。そんな現実にもメゲす Passat の場合はオプションリストを必死で探したがキセノンランプは見当たらず、Highline では全てがハロゲンランプっていうのも情けないものだ。 |
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Passat Variant はワゴンだから当然ながらリアゲートを開けるとそこにはセダンと比べて圧倒的に高さのあるラッゲージルームが出現する。床面積が結構広いのはDセグメントとはいえ FWD レイアウトだということもある。因みにセダンのトランクリッドを開けてみると床面積は Variant と変らないし、高さだって Variant にトノカバーを掛けた時よりも高いくらいだ。ステーションワゴンタイプのクルマで思うのは荷室の高さが高いは言っても、荷物をうず高く積めば急制動時にリアシート側に崩れてきて危険だし、それを防止するために以前はネットを張ったりしていたが、最近はネットを装備したワゴンを見かけなくなった。結局ワゴンというのは一種の流行りというか、セダンとは違うモノを求めるユーザーの志向に合わせたということだろうか。なお以前はワゴンの本家だった米国では今は全く人気がなく、ワゴンを喜ぶのは欧州だから成る程欧州車には必ずセダンベースのワゴンがラインナップされている。Lexus にワゴンが無いのは米国向けが主だからで、言い換えれば欧州では売れていない(売っていない)ということの証でもある。 テールゲードは電動式となっているのは流石に (VWとしては) 高級ワゴンらしく、試しにボタンを押してみたらばギーというモーター音もなく意外と静かに閉まった。今度はラッゲージルームの床を持ち上げてみると多少のスペースがあるが、これは形状から見て向け先によってはスペアタイヤを載せるためのスペースだろう。 |
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