Volkswagen Passat Variant (2015/8) 前編 (2/2)

  

今度はドアを開けてインテリアを見ることにするが、写真はグレードとしては上級モデルにあたる Highline のために結構高級感があり勿論素材も悪くない。まあその代わり Comfortline よりも55万円も高い434万円という、BMW3シリーズやメルセデスCクラスのボトムグレードが買えてしまうのだから良くて当たり前と言いたくもなる。それだけにフォルクスワーゲンらしからぬというか、3シリーズやCクラスの 500万円超えのモデルと似た雰囲気があるから、そいううモノを第一に求めるユーザーには良いかもしれない。

シート調整は電動式でポジションメモリーも付いていてポジション調整スイッチパネルの上部に2つまで記憶できるスイッチが付いているのもBMW的だ(写真15)。シート表皮はナッパレザーが標準で中央には通気穴が開いているから、これは如何にもドイツ製高級車の雰囲気が味わえる。今度はドアのインナートリムに目を移すと、Highline ではインテリアトリムがウッドだったり、アームレストはステッチの入ったパッドを使用したりと、それなりに高級車のセオリーに従っている。

しかし考えてみるとVWにレザーインテリアやウッドトリムは似合わないが、そんな目でもう一度インテリアを見てみればウッドパネルは磨きあげた高級木目というモノではなく結構安っぽいし、ドアのアームレストのステッチもよく見れば金型でそれらしく作ったフェイクのようだ。なぜなら、ステッチということはパッドの表面を覆ったレザーを糸で縫っている筈だが、そのパッドはサイドウィンドウスイッチに繋がる樹脂と一体となっている事で偽物と解る。まあ、そんなに詳細に見なくても何となくステッチ部分が怪しいという気はしていたが、やっぱりねぇ。

そういえば賃貸専用マンションの建築風景を見ていたらば、如何にもタイルを張り詰めたようには見えるが合板の上にフェイクを貼り付けたパネルを外装に貼り付けていた。それに骨組み自体も主な部分はH形鋼などの重量鉄骨だがそれ以外は薄板を曲げたような軽量鉄骨で、床なんて薄い鉄板を凸凹と曲げた所謂キーストンプレートを並べて、その上にコンクリートを流して床にしているようだった。因みに分譲マンションの場合はファミリークラスでも鉄筋コンクリートの打ち込みで外装タイルも勿論本物であり工期も1年くらい掛かっているが、例の賃貸マンションは1ヶ月くらいで建ってしまった。

あっ、いや、その、Passat が賃貸用安物マンションモドキだと言っている訳ではないので誤解なきように。

写真14
ドアを開けるとレザーを主体としたインテリアがドイツの高級車という感じがする。


写真15
シート調整は電動式でポジションメモリーも備わる。


写真16
シート表皮はナッパレザーでセンターは通気穴が開いている。


写真17
ドアのインナートリムはウッドトリムなどで高級感を演出している。


写真18
ドアスイッチ付近を拡大してみると、レザーにステッチにしては何か変だ。どうも金型で作ったフェイクのようだ。

インパネは上部のエアアウトレットが車両全幅に渡って水平に伸びているようなデザインが特徴的だ。ディスプレイは最近のクルマとしては少し低い位置にあるから視線移動は大きい。そこでDセグメントの王道である3シリーズとC クラスというプレミアムブランド2車のセンタークラスターを比較してみると (写真20)解るが、他の2車は運転中でも最小限の視線移動でディスプレイが視認できるが、Passat の場合は視線が下向きになりこの間前方が見えなくなるという安全性には大いに問題があるような配置になっている。先進のフォルクスワーゲンにしてはチョイとお粗末に思うが‥‥。

センタークラスターではディスプレイの下にエアコンの操作パネルがあるのは世間の常識通りだが、プレミアムブランド2車のようにオーディーの操作パネルが無いのは言ってみればナビ一体型という市販の後付け程度のものが付いているためで、まあこれは販売台数の少ないPORSCHE でも同様だからマイナー輸入車の宿命である。とはいえ PORSCHE のような特殊なクルマは別格として Passat のような実用車でこの状況は辛いものがある。売れないから金を兼ねられないから増々売れない、という負のスパイラルに陥ってしまうとそう簡単には抜け出せない。

そいういう意味ではグローブボックス内にECT ユニットを組み込む(写真23)のも PORSCHE と同じ手法で、BMW のようにルームミラーに組み込んだ日本専用装備を開発しているのとは差がついてしまう。

写真19
上部のエアアウトレットが車両全幅に渡って水平に伸びているようなデザインが特徴的なインパネ。


写真20
高級Dセグメントの定番2車のセンタークラスタと比べると走行中のディスプレイの視認性、視線移動の違いが解る。


写真21
エアコンはオーソドックスなオートエアコンで左右別々に温度調整が出来るのも今や当たり前の装備だ。


写真22
オーバーヘッドコンソールはルームランプ関係という必要最小限だが機能に問題はない。


写真23
グローブボックス内には ECT のユニットが組み込まれている。


写真24
右端の回転式ライトスイッチは多くのドイツ車が採用しているものだ。

ということで、何時ものように走行編については後編にて。

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