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Toyota Crown 2.5 Hybrid RS (2018/8) 前編 その1

  

国産車で最も伝統のあるクルマであるクラウンが初代RS型が発売されてから63年が経過した今、 FMC され15代目 (S220) となった。クラウンと言えば十数年前まではサスはフワフワ、ステアリングはグラグラのマルで昔の米国車を小さくしたようなクルマ、というのがクルマ好きの認識だった。ところが2009年に FMC された S180 (写真3) はそれまでのクラウンの伝統を破って、1から完全に新しくなった事から通称「ゼロクラウン」と呼ばれていた。スタイルも先代の S170 (写真1) の如何にもクラウンらしいモノから、完全に新しい雰囲気に変更されていた。ただし、S170 についてはステーションワゴン (写真2) のエステートのみはその後2007年まで継続生産されたが、その後はエステートがラインナップされたモデルは無く、Eクラスや5シリーズのようなEセグメントワゴンが国産に無いのは寂しい限りだ。

ゼロクラウン (S180) は5年後の 2008年に S200 に FMC されたが、折角ゼロクラウンでシッカリした欧州車的な走りを獲得したのに、何と少し退化させてしまったのはユーザーの要望だったようで、まあこの辺が未だ演歌調を好む旧世代オーナーが生き残っているという事だろうか。ところで型式で見ると S180 から S200 に FMC という事は、S190 はどうなったのだろうか? 実は S190 はレクサス GS が使用していたからで、要するにレクサス GS 北米向けクラウンの位置づけだったし、クラウンのボディー違いをプレミアムカーとして売っていた訳で、これじゃあ Eクラスや5シリーズに適う訳が無かったのだった。


写真1
S170 クラウン (1999-) ロイヤル


写真2
S170 クラウンエステート 2007年まで継続販売された


写真3
S180 (2003) 通称ゼロクラウン


写真4
S200 Hybrid (2008) クラウン初のハイブリッド車


写真5
先代 S210 はアスリート以外にロイヤルとマジェスタに分かれていた。

ところで、今回の試乗車はクラウン 2.5 ハイブリッドだが、クラウンにハイブリッドモデルがラインナップされたのは S200 (写真4) からだった。そして先代に当たる S210 にもハイブリッドが設定されていて、これに付いては下記の試乗記を参照願いたい。
 ⇒ TOYOTA CROWN Hybrid Athlete 試乗記 (2013/9)

ここでクラウンハイブリッドとして初代となる S200 から今回の S220 までの主要緒元を比較しておく。今回の試乗車は 2.5 ハイブリッドで、S220 のハイブリッドには他に V6 3.5L の 3.5 ハイブリッドも設定されている。2.5 ハイブリッドは先代 (S210) と同じ2.5L だが、エンジンは完全に新設計されている。ただしモーターは同じ 1KM で、まあこの辺は特に新しくする必要も無いのかもしれない。

試乗記前編ではいつものように内外装写真から始めるが、例によって既に日記でよりサイズの大きい写真を掲載しているのでこちらでは趣向を変えてみるのも何時も通りだ。
⇒ Crown (2018年9月2日からの日記)

それでこちらでは新旧のクラウン ハイブリッドを比較して見る。今回からはロイヤル、アスリート、マジェスタが全てクラウンに統合されて、その代わりにそれぞれに相当するS、RS、Gとなった。そこで比較相手は今回の試乗車のクラウン 2.5 ハイブリッド RS に相当する S210 ハイブリッド アスリートを使用する。

先ずは斜め前後から新旧を比べると、新型は従来からのクラウンらしさが更に薄まっている。まあ時代の進化に少しは追従しているのだろうか、少なくとも新旧の見分けは直ぐに付く。


写真6
先代 (S210) アスリートとアスリートに相当する新型 RS を比較すると、クラウンらしい演歌調は更に薄まっている。


写真7
リアから比べても新型の方がより欧州車的な雰囲気を感じさせている。

それでフロント同士を比較する (写真8) とサイズとしては新型は全幅 1,800 x 全高 1,455o で先代は全幅 1,800 x 全高 1,450o と事実上同サイズとなっているのは、流石に国内専用に近いクラウンだけあって、特に全幅1,800o は死守している。デザインとしてはバンパー部分に迄およぶ一体のグリル、所謂シングルフレームグリルという面ではキープコンセプトだが、先代ではアスリートのみ逆台形を2段に重ねたような少ししつこいデザインだったが、今回はこの点ではスッキリとしている。

サイドビュー (写真9) では新型が全長 4,910o x 全高 1,455o ホイールベース 2,920o 、先代は全長4 ,895o x 全高 1,450o ホイールベース 2,850o と全長は新型が 15o 長く、ホイールベース も 70o 長いから、言ってみれば全長は僅かに長い程度だが、ホイールベースは結構長くなった。その違いを写真で見ると新型は特にリアのオーバーハングが相対的に短くなっている。実はサイドビューの比較で一番目立つ相違点は、新型ではサイドウィンドウがCピラーにまで及ぶ6ライトとなった事で、まあ何やらアウディっぽいが‥‥。

真後ろからの比較 (写真10) では先代ではスポーティーモデルのアスリートでもハイブリッドでは排気管が殆ど見えなかったが、新型の RS では 2.5ハイブリッドでも立派な4本出しとなっている。またリアエンドのデザインも S210 は従来からのクラウンっぽさを感じるが、新型では欧州車的になっていて、悪く言えばクラウンらしさが無くなったという事だが、個人気には歓迎したい。

トランクルームについては新型では奥行きが深くなっている。とはいえハイブリッドの宿命か、床位置は高いから容積としては決して広くは無い (写真11) 。


写真8
全幅はどちらも1,800o で、これは国内向けとしては譲れないところだ。グリルは旧型のケバいヤツから大分真っ当なものになっている。

写真9
新型は全長で15o 長く、ホイールベース では 70o 長い。それ以上に雰囲気が違うのは新型のサイドウィンドウが6ライトとなった事だ。

 



写真10
新型 RS ではハイブリッドでも立派な4本出しマフラーを標準装備している。リアーコンビネーションランプの形状も新型では大きく変わっている


写真11
新型ではトランクルーム内の奥行きが増えたが、ハイブリッド故の床面の高さは変わらない。

続きはその2にて‥‥。

⇒その2へ