新コーナー”過去ログ試乗記”では順次アイテムを追加中だが、初期(第一期)の試乗記についてもこの場で不定期に再掲載してみる。今回はE46 318ti
で、3シリーズセダンのリアオーバーハングをチョン切ってリアゲートを付けた、2ドアクーペと3ドアハッチバックの中間的なクルマで、1シリーズ発売前の当時では、BMWとして最も安価な車種
(特に1.6Lの316ti)だった。
----------------------------------------------------------------------------
BMW 318ti (2001/12/10)
3シリーズのリアオーバーハングを切り詰めて2ドアとし、3シリーズセダンより低価格で販売するという方法はE36と同様だが、E36は旧型であるE30のプラットフォームを流用していたのに対して、今回はセダンと全く同じ。となれば、違うのはボディの使い勝手のみか?
ドライバーズシートに座った感じはまるっきり3シリーズで、インパネも全く共通。
従来318は4速オートマだったが、今回からは6気筒と同じ5速のティプトロ付きとなった。エンジンは排気量2L、スロットルバルブを持たないでバルブの隙間を連続的にコントロールするバルブトロニックが搭載されている。
走り始めた第1印象は以前の318コンパクト(E36)に比べて明らかにトルクがあるのが感じられる(排気量が大きいのだから当たり前だが)。レスポンスも悪くないが、6気筒のようにちょっと油断するとあっという間に回転計の針が飛び上がる感じはしないし、オートマの設定も6気筒のようにちょっと踏むと直ぐに1段落としてシュワーと加速することはない。逆に言えば遥かにマイルドな感じだ。
ステアリングは6気筒に比べて重く、さらに直進性はやたらに良い。まるでベンツのようで、何にも考えずにボケーとステアリングを握っていても真っ直ぐ走る。その代わり、6気筒の指1本分でクルマが反応する快感はない
が、ハンドリング自体はニュートラルでレベルは高い。試乗車のタイヤは標準の205/55R16でマイルドな原因がタイヤとは思えない。
乗り心地はマッサラの新車(走行20km)だったので何とも言えないが、6気筒に比べ軽々しく高級感は無いが、決して悪くはない(そこらの国産車とは次元が違う)。よく言えば軽快。
ブレーキは何故か踏力が大きめで、これもまるでベンツのC200的な感じだ。
一言で言えば、6気筒セダンがアクセル、ステアリング、ブレーキともにヤタラと軽くレスポンスが良いのに比べ、318tiは遥かにマイルドで、ある意味誰にでも勧められる。特に通勤で毎日使うには
返って楽でいいかもしれないが、BMWらしいゾクゾクするようなフィーリングには乏しい。
今回からtiは同じ3シリーズでもセダンと異なるフロントフェイスとなった。この4つ目を、世間では見ただけで安物とわかるので、恥ずかしくて乗れないなんて言っている奴がいるが、普通の庶民はライトが如何であろうと、ビーエムは皆同じ。安物だ何だ
という奴は、必死で自動車雑誌を読み漁っていて、しかもクルマはヤットコ買ったのが中古のレガシイ、と言う連中だ。実際に試乗中に狭い脇道に入った時は対向車が必死で左に寄ってくれた。
さて、このti、B_Otakuの考えはドア2枚とリアが多少短いだけで数十万も安いのだから買い得と思うけど、世間のユーザーは数十万しか違わないのなら4ドアセダンの318iを買うらしい。特に我が家の
辺り(首都圏近郊)では、中堅サラリーマンが一家に一台の万能車として買うので、セダンかツーリングが売れ筋だ。
tiのターゲットは本来シロガネーゼの奥様や、お嬢様。一家のセカンドカーどころかサードカーぐらいに選ばれるのが本来の姿で、我が家の近所にはこのような階級は殆ど(ぜんぜん?)いない。
発売時期も少し早すぎた。用途からして、お嬢様の大学入学(なぜか青学・ICUか立教などミッション系が多く、決してワ○ダではなく、ましてや理○大なんてあり得ない!)祝いにというのがかなりあるそうで、その点ではこれからシーズン突入か?
要するに安いビーエムではなくて、中産階級が100万程度のヴィッツやマーチを使うのと同じ用途に、300万のクルマを使う事が重要で、BMじゃなくったってプジョーだってシトロエンだっていいのだろう。
もしかしたら、来年の今ごろは不良在庫の一掃で、メチャ安でタタキ売るかも。乗り出しで300万ぐらいなら(おまけに0.5%ローン)いい買い物では?
----------------------------------------------------------------------------
この318tiは予想通り人気は無く、モデル末期(2004年後半)には走行50km程のディーラー自社登録車が大量にアプルーブドカーで出回っていた。新車価格が約360万円のMスポーツが、事実上の新車で260万円くらいで売っていたから、あれを買ったユーザーは上手い買い物をしたといえる。
|