初期の試乗記、第4回目はアウディA6を取り上げてみる。Eセグメントの高級サルーンとしてメルセデスEクラスやBMW5シリーズのライバルといわれているA6だが、未だにこれら2大メジャーに対してマイナーな存在であり、これは日本のみならず北米でも同様なのは、既に何回か日記で証明してきた。今回の試乗記は現行も出るより二つ前
(C5)で、実はEや5に無い独特の良さも持っていた。これが先代にFMCされた際に、何と良さを失ってしまったのだが、
2011年FMCされた最新のA6(C7)では随分改善されたのだが、ハッキリ言って時既に遅し、という感がある。
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アウディ A6 2.7T クアトロ (2002/05/13)
試乗車のA6−2.7T クワトロはA6の中でも最高グレードで価格は660万!これはメルセデスE320やBMW530iよりも高価で、E320 4マチックに近い高価格車ということになる。
内装は噂どおり出来がよく、なる程Eクラスや5シリーズ以上の高級感と仕上げの良さが感じられる。走り出してデーラーの駐車場から段差をこえて国道4号へ出る時点で、サスの動きがそこらの安物とは次元が違うのが感じられた。
エンジンはさすがにトルクがあり、チョッと踏むとグワーと加速する。ツインターボと言ってもあくまで穏やかなのに速い。さすがは大人のクルマ(いや、大人でも殆どの人が買えない価格)
。4WDらしく走りは安定しているの一言で、特に2車線のバイパスの速い流れに乗って巡航している時の安定感は今まで乗ったどのクルマよりも上で、高速道路の長距離巡航には最適だろう。ステアリングも正確でBMWほどクイックではないがメルセデスよりは楽しめる
し、Cや3とはクラスの違いをハッキリ感じる(当たり前か)。
馬鹿でかい外形(幅1800超)のわりには見切りも取り回しもよく、同乗したセールス氏の言うがままにコースを取ったらやがて農道みたいなところに案内された。センターラインのない、ヤットコすれ違えるような道だったが、緊張感なく普通に走れた。アウディじゃ対向車がビビッて徐行することもあまり無いのに楽に走れたのは、クルマの性能の良さと思う。
ブレーキも安定しており効きに文句は無いが、BMWあたりの喰い付くようなハイミュー感とは違う。A6のブレーキパッドは日米向けには欧州仕様と異なり、日系メーカーのフランス工場で作られるノンアス系パッドが装着されている。このメリットは欧州系のセミメタに比べて、効きがマイルドなのとホイールの汚れが少ないことと、鳴きが出にくく寿命も長いという、日本製の高級車的な特性なので、セルシオやシーマなどからの乗り換えでも、違和感が無いことだ。
ただし、個人的には欧州系の食いつくようなハイミュー感が好きだが・・・・。
結論としては、E320や530iとともにオーナーカーの最高峯に間違いはない。個人が買って乗るには理想的なクルマの一つ。問題はブランドとしてイマイチなこと。
もっとも660万も出せば良くて当たり前とも言えるが。
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今、こうして振り返ってみると、10年前は全幅1,800mm超というのは随分幅広という感じだった訳で、最近のようにコンパクトカーでも1,700mmを超えている時代からすれば、特別なことでも無いのだが。
それに、価格も660万円というのはトンでもなく高価と感じていたようで、成るほど当時はBMW318iの300万円代中ほどでも随分高価な車という気がしたが、今ではちょっとしたミニバンやはHVならば300万円代なんて当たり前となってさえいる。
ほんの10年前というか、10年一昔というか・・・・・。いや、世の中、随分変わってしまったようだ。というよりも、昨年の3・11でそれ以前の日本とは全く状況が変わった訳で、本当ならば、こんな風にクルマの話題なんてノー天気なことをやっている場合ではないのだが。
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