2026年の中間選挙で民主党が上下両院の過半数を奪還したことで、大統領(共和党・トランプ政権)と議会多数派(民主党)が異なる「分割政府(ねじれ議会)」となり、今後2年間にわたり内政・立法面で深刻な停滞が生じる可能性は極めて高いと言える。ただし、米国全体が完全に機能不全に陥るわけではなく、大統領権限が及ぶ外交・通商分野へのシフトや、局面に応じた妥協(取引)が模索されることになる。

予算審議と財政運営の停滞リスク
歳出法案や債務上限問題を巡り、トランプ政権と民主党議会の間で激しい主導権争いが避けられない。政権側が求める国境管理費や防衛費(対イラン作戦などの軍事費を含む)、減税措置の継続に対し、民主党は社会保障や環境・AI規制関連の予算を優先し、政権の目玉政策への予算配分を阻止しようとする。妥協が成立しなければ、つなぎ予算の乱発や政府機関の一部閉鎖(シャットダウン)が繰り返され、行政サービスや調達に遅れが生じるリスクが高まる。
人事承認の難航(上院の承認権限)
閣僚や政府高官、連邦判事、各国大使などの指名承認権は上院が独占している。上院までも民主党が奪還したことで、トランプ政権が指名する保守派の判事や政権幹部の承認は大幅に制限・遅延される。結果として、政権は議会承認を必要としない「代行(Acting)」ポストを多用するか、民主党が受け入れ可能な穏健派の人材を指名せざるを得なくなる。
議会調査権の発動と政権の消耗
上下両院の委員会委員長ポストをすべて民主党が握るため、政権運営や対イラン軍事行動、トランプ氏および親族・側近を巡る疑惑に対する公聴会や召喚状の発出が本格化する。政権のリソースが議会対応や防衛に割かれることで、政策立案のスピードは大きく低下する。
米国全体が停滞しない要因と政権の回避策
立法や人事が停滞する一方で、米国経済や国家機能そのものが止まるわけではない。

• 大統領令と行政権限の活用
議会を通さない大統領令(エグゼクティブ・オーダー)や、通商法に基づく関税措置、外交・安全保障上の権限は引き続き大統領が単独で行使できるため、政権の関心は内政から通商・外交へと一層シフトする。
• 実利的な「取引(ディール)」の余地
2028年の次期大統領選を控え、民主党側も「何でも反対して国民生活を麻痺させた」という批判は避けたい事情がある。インフラ投資や一部の物価高対策など、双方にメリットがある分野ではトランプ大統領が民主党指導部と直接取引(ディール)に動く可能性も指摘されている。
• 民間経済と州政府の自立性
米国の実体経済や金融政策(FRB)、州単位の政策運営は連邦議会の膠着から一定の独立性を保っているため、政治の停滞が直ちに米国経済全体の長期停滞に直結するわけではない。
今後2年間の米国政治は、重要法案の成立が見込めない「立法の凍結」と予算・人事を巡る神経戦が常態化する一方で、通商政策や大統領令を通じたトップダウンの政策変更がより先鋭化する展開が予想される。
client=ca-pub-9382621936095203″ crossorigin=”anonymous”>