中国で結婚やマイホーム購入など10項目の行動を拒否する「十不青年」


「十不青年(じゅうふせいねん)」とは、中国の若者の間で2023年末頃から広まった、結婚やマイホーム購入など「10項目の行動を拒否する若者たち」を指すインターネットスラングのことだ。

拒否されている10項目は以下の通り。
1. 献血しない(不献血)
2. 寄付しない(不捐款)
3. 結婚しない(不结婚)
4. 子供を持たない(不生小孩)
5. 家を買わない(不买房)
6. 宝くじを買わない(不买彩票)
7. 株式を買わない(不入股市)
8. ファンドや年金を買わない(不买基金)
9. 高齢者を助けない(不扶老人 – トラブルに巻き込まれるのを防ぐため)
10. 感動しない(不感动 – 愛国的なプロパガンダ等に動じない)

深刻な就職難や経済停滞を背景に、以前流行した「寝そべり族(躺平)」や、恋愛・結婚・出産・家を諦める「四不青年」から、さらに社会への絶望感が深まった状態を表している。経済的な理由だけでなく、「高齢者を助けない」「感動しない」といった項目が含まれており、社会システムや現状に対する若者の静かな抵抗の姿勢が示されている。

では「寝そべり族(躺平)」と「四不青年」について纏めると、これらは中国の過酷な競争社会や経済停滞を背景に、若者たちが伝統的な「成功」を諦め、受動的な抵抗を示す言葉として広まった。それぞれの意味と背景は以下の通り。

🔷寝そべり族(躺平:タンピン)
• 意味
2021年頃から流行した言葉で、出世や富を求めず、住宅購入、結婚、出産などの競争から降りて「必要最低限の生活水準」のみを維持する無欲なライフスタイルを指す。

• 背景
「996工作制(朝9時から夜9時まで週6日働く)」と呼ばれる過酷な労働環境や、いくら努力しても報われない極端な競争社会(内巻:ネイチエン)への疲弊と反発が原因で、「頑張っても搾取されるだけ」という絶望感が、自己防衛としての「寝そべり」を生み出した。

🔷四不青年(よんふせいねん / スー・ブー・チンニェン)
• 意味
寝そべり族からさらに具体的に、以下の4つの行動を「しない」ことを選んだ若者たちを指す。
1. 恋愛しない(不恋愛)
2. 結婚しない(不結婚)
3. 家を買わない(不買房)
4. 子供を持たない(不生子)

• 背景
ゼロコロナ政策後の経済低迷と深刻な若年失業率の悪化が直撃した2023年頃から広がった。高額な結納金(彩礼)や教育費、不動産価格の高騰により、家庭を持つこと自体が「リスク」となっており、人生の負担を物理的に切り捨てることで生き残ろうとする防衛本能が働いている。

これらの概念は、競争に疲れ果てた「寝そべり(躺平)」から、具体的なライフイベントを拒絶する「四不」、そして社会システム自体への関与すら拒絶する前述の「十不」へと、若者の絶望と静かな抵抗が深刻化していく過程を示している。