マリーヌ・ルペン氏(国民連合:RN)がかつて主張していた「EU脱退(Frexit)」や「ユーロ離脱」の方針を断念・撤回した背景には、政権獲得(大統領当選)に向けた「脱過激化(普通政党化)」戦略と、政治的・経済的な現実的判断がある。
🔷2017年大統領選での手痛い敗北と討論会の失敗

最大の転機となったのは2017年のフランス大統領選挙で、エマニュエル・マクロン氏とのテレビ討論会において、ルペン氏はユーロ離脱や「旧フランとユーロの二重通貨構想」の具体的な論理を追及され、経済政策の破綻と準備不足を露呈して大敗を喫した。党内でも「EU・ユーロ離脱方針が最大の敗因だった」と結論づけられ、政策の大転換を余儀なくされた。
2.有権者(特に高齢層・中間層)の「資産・購買力不安」
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フランス国民の過半数、とりわけ持ち家層や年金生活者(高齢層)は、ユーロ離脱に伴う自国通貨フランの暴落、ハイパーインフレ、預金や年金資産の実質的な目減りを強く懸念していた。大統領選で得票率を50%以上に伸ばして勝利するためには、中間層の「通貨と経済への不安」を取り除くことが不可欠だった。
3. イギリスの「ブレグジット(EU離脱)」に伴う混乱
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2016年のイギリスのEU離脱決定以降、長引く政治の迷走、物流や貿易の手続きの繁雑化、人手不足や経済コストの増大といった「離脱の現実的代償」が浮き彫りになった。これにより「EUを離脱すれば豊かになる」という主張の説得力が失われ、国民の間でもEU離脱のリスクに対する拒絶感が強まった。
4.「EUからの離脱」から「内側からの変革」への戦略シフト

ルペン氏は「EUを出る(Frexit)」という選択を捨てる代わりに、「EUに残ったまま、主権を取り戻す」という戦略に転換した。
• EUの枠組みの中で「主権国家の連合(Europe of Sovereign Nations)」を目指す。
• 国内法(フランス憲法)をEU法よりも優先させる。
• 国境管理の自主化や、EU拠出金の削減を求める。
まとめ
現在のルペン氏の方針は、法律上・形式上の「EU脱退」ではなく、「内部からEUの機能を骨抜きにし、フランスの主権を再拡大する」という実質的なアプローチ(「実質上のFrexit」とも呼ばれる)へと進化している。
フランス大統領選挙まであと半年と迫った今、ルペン氏が勝利するかどうかで、フランスの将来は大きく変わるだろう。