ファーウェイのEVと提携先のカーメーカー





ファーウェイHuawei/華為技術)は「自社では車を製造しない」という基本方針を掲げつつ、自社の持つ高度なICT技術、自動運転システム(ADS)、車載OS(HarmonyOS)などを提供する形で、複数の自動車メーカーと深く提携している。

その中でも、ファーウェイが設計、ブランド構築、販売チャネル(ファーウェイの直営店での販売)にまで全面的に関与する最も深い協業形態が、「鴻蒙智行HIMA:Harmony Intelligent Mobility Alliance)」と呼ばれるアライアンス(複数の企業が独立性を保ちながら、共通の目的達成や利益拡大のために協力する「提携」や「同盟」)だ。

現在、このHIMAを中心に展開されている主要な共同開発EVブランドをメーカー別にまとめてみた。

1.鴻蒙智行(HIMA)の「四界(フォー・レルムズ)」+α
ファーウェイが自動車メーカー各社と立ち上げた、通称「〜界(Jie)」と呼ばれる共同ブランド群で、それぞれのセグメントや車種ごとに役割が分かれている。

① 賽力斯(セレス/SERES)× ファーウェイ
• ブランド名:問界(AITO/アイト)
• 主な車種:
M5、M7、M9(SUV中心)
• 特徴: ファーウェイの自動車ビジネスで最も成功している先駆者で、プレミアムSUVを展開しており、特に大型SUV「M9」は中国の高級EV・EREV(増大射程型EV)市場で非常に高いシェアを誇りっている。

② 奇瑞汽車(チェリー/Chery)× ファーウェイ
• ブランド名:智界(Luxeed/ラクシード)
• 主な車種: S7(セダン)、R7(クーペSUV)
• 特徴: 中国の大手自動車メーカーである奇瑞とのタッグ。若年層やファミリー層をターゲットにした、スタイリッシュでスポーティな中大型EVセダンやクロスオーバーを展開している。

③ 北京汽車(BAIC)× ファーウェイ
• ブランド名:享界(Stelato/ステラート)
• 主な車種: S9(フラッグシップセダン)
• 特徴: メルセデス・ベンツとの合弁実績もある北京汽車との提携ブランド。行政や企業の重役(ショーファードリブン)をターゲットにした高級公用車・ビジネスセダン市場を狙ったブランドだ。

④ 江淮汽車(JAC)× ファーウェイ
• ブランド名:尊界(Maextro/マエストロ)
• 主な車種: 超高級セダン / MPV(ミニバン)
• 特徴: 100万元(約2000万円)超のクラスを想定した、HIMAにおける最高峰の超ラグジュアリーブランド。ロールスロイスやマイバッハといった世界の超高級車に対抗すべく開発が進められている。

⑤ 上海汽車集団(SAIC)× ファーウェイ
• 最新動向: 2025年春に戦略的提携を締結。こちらも「智選モデル(HIMA)」の枠組みでの新ブランド立ち上げに向けた動きが報じられている。

2. その他の主要な共同開発(HIモデルなど)
HIMA(智選)よりはやや独立性が高いものの、ファーウェイのトータルソリューションを深く組み込んだ「Huawei Inside(HI)モデル」などを採用するブランドがある。

■ 長安汽車 + CATL + ファーウェイ
• ブランド名:阿維塔(Avatr/アバター)
• 主な車種: Avatr 11(SUV)、Avatr 12(セダン)
• 特徴: 大手メーカーの長安汽車、車載電池最大手のCATL、そしてファーウェイの3社が共同開発したプラットフォーム「CHN」をベースにしている。未来的でアヴァンギャルドなデザインと、高精度な自動運転が特徴のハイエンドEVブランドだ。

■ 北京汽車(BAIC)
• ブランド名:極狐(Arcfox/アークフォックス)
• 特徴: 早くからファーウェイの自動運転システム(Huawei ADS)を搭載したモデル(αS HI版など)を市場に投入していて、技術提携の先駆け的な存在だ。

まとめ:ファーウェイの強みと戦略
ファーウェイと組むメーカーが増えている背景には、以下の3つの強みがあるためだ。

• 強力な自動運転 & OS: 競合を圧倒するレベルの自動運転システム(Huawei ADS)と、スマホや家電とシームレスに繋がる車載システム(HarmonyOS)。

• サプライチェーンの統率力: 新会社「引望(Yinwang)」を立ち上げ、車載スマート部品の分社化・標準化を進めている。

• 圧倒的な知名度と販売網: 中国全土の一等地にある「ファーウェイ・ショップ」に車を展示・販売できるため、自動車メーカー側は莫大な広告・ディーラー投資を省いて爆発的なスタートダッシュを切ることができる。

では、これらの販売状況はどうなっているのだろうか。

これについては続編にて