ファーウェイのHIMAブランドEVの販売状況はどうなっているのか





ファーウェイが主導する「鴻蒙智行(HIMA)」アライアンスの販売状況は、なんと新興EV陣営の中でトップクラスの爆発的な成長を記録していた。

2025年10月には、ブランド発足からわずか43ヶ月で累計納車台数100万台を突破し、中国の新興EVブランドとしては最速記録を樹立した。

直近の2025年通年の年間販売台数は58.9万台(前年比32%増)に達し、月間販売数が9万台に迫る月もあるなど、市場での存在感を急速に高めている。

ただし、各ブランド間(メーカー間)で「明暗がはっきりと分かれている(二極化している)」のが現状の大きな特徴で、ブランドごとの具体的な販売状況は以下の通りだ。

1.圧倒的一強:問界(AITO)/ セレス
HIMA全体の販売台数の7割〜8割をこの1社で稼ぎ出している。2025年の年間納車台数は約42.3万台に達した。

• 問界 M9(フラッグシップSUV): 50万元(約1000万円)以上の高級車セグメントにおいて、並み居る欧州の高級外車(メルセデス、BMW、アウディなど)を抑えて20ヶ月連続で販売首位を維持するモンスター車種となっている。

• 問界 M7 / M8: 30万〜40万元クラスのファミリー向けSUVとして非常に強く、理想汽車(Li Auto)などの競合と激しいシェア争いを展開している。

2.追撃・挽回中:智界(Luxeed)/ 奇瑞汽車
初期のセダン「S7」の立ち上げ時は生産遅延や価格設定の課題から苦戦が報じられたが、その後のテコ入れにより2025年は約9万台を販売。徐々に軌道に乗っている。

• 智界 R7(クーペSUV): テスラ・モデルYの対抗馬として投入され、月1万台ペースの安定したヒットを記録。

• 新モデルの投入: 直近(2026年5月)には新型MPV(ミニバン)の「V9」を投入し、予約開始48時間で1万台を超える注文を集めるなど、SUV以外の大衆・ファミリー層向けセグメントでも存在感を強めています。

3.高級ニッチ市場への挑戦:享界(Stelato)/ 北京汽車
2024年後半からデリバリーが始まった、ビジネス・VIP向けの高級セダンブランドで、2025年の販売実績は約3.7万台。

• 享界 S9 / S9T(高級セダン/ステーションワゴン): 30万〜40万元台のプレミアムセダン市場をターゲットにしている。問界(AITO)ほどの爆発力はないが、中国の公用車や企業経営者層の需要を着実にキャッチしており、直近ではステーションワゴン(ツーリング)モデルの「S9T」を投入してラインナップを拡充している。

4.2025年後半以降に始動:尊界・尚界(JAC、上海汽車)
超ハイエンドおよびマスマーケット向けの新規ブランドだ。
• 尊界(Maextro)/ 江淮汽車: 100万元(約2000万円)超の超高級セダン「S800」などを展開。富裕層向けの受注生産に近い形だが、すでに予約注文(大定)は1万台を大きく超えており、2025年末から順次デリバリーが始まっている。

• 尚界(Shangjie)/ 上海汽車: 2025年秋に10万元台後半の普及価格帯SUV「H5」を発表し、HIMAの新たなボリュームゾーンとして2026年現在の販売拡大を狙っている。

課題と今後の展望
ファーウェイの販売力と「乾崑(Qiankun)ADS」と呼ばれる自動運転システムの評価は絶大だが、課題も浮き彫りになってる。

• 「セレス(問界)」依存からの脱却: ファーウェイと組めばどのメーカーでも売れるわけではなく、車種のコンセプトやメーカー側の製造体制によって差が出ている。

• 激化する価格競争: 中国国内では零跑汽車(Leap Motor)のような高コスパEVや、BYDのプラグインハイブリッド(PHEV)が猛追しており、5月時点の新興EVランキングでは首位争いがデッドヒート化している。

ファーウェイは車載スマート部品部門を新会社「引望(Yinwang)」として独立させ、アライアンス外のメーカー(マセラティなどとも提携協議中と報道)への技術外販も進めており、エコシステム全体の規模拡大でさらなる優位性を築こうとしている。

一時期は抜群のコスパから世界中の通信システムに進出してファーウェイだが、セキュリティ問題から一気に締め出しを食らったことで、今後はどうなるのかと思っていたらば、なんど自動車業界に進出していた。しかも自らは製造はしないという、言ってみれば賢い選択をしているとは、中々の経営手腕だ。