米軍はホルムズ海峡周辺でタンカーの煙突部分を狙った精密攻撃を行っている





米中央軍のイランに対する「逆封鎖」措置の一環として、ホルムズ海峡周辺でタンカーの駆動装置(煙突部分)を狙った精密攻撃を行っていると伝えられている。

米中央軍(CENTCOM)が2026年4月中旬からホルムズ海峡およびオマーン湾周辺で実施している「逆封鎖(Counter-Blockade)」措置において、タンカーの煙突(ファンネル)を狙った精密攻撃は、「船体を沈めずに航行能力だけを奪う」ことを目的とした極めて戦術的な手法だ。

この手法の背景と技術的な仕組みについて、報道されている内容を整理する。

1.攻撃の目的:非致死的な無力化
この攻撃の最大の特徴は、対象船舶を「撃沈」するのではなく、「航行不能(Disabled)」にすることにある。

• 環境汚染の防止:タンカーが積載している原油や燃料が流出することを避けるため、船体下部の油槽(タンク)ではなく、上部構造物である煙突を狙う。

• 人命への配慮:攻撃前に警告を行い、乗組員をエンジンルームなどの危険区域から退避させる手順が含まれる場合もあり、エスカレーションを抑制する意図が見られる。

• 政治的メッセージ:「イランによる海峡封鎖」に対し、米国が「イランの港への出入りを封鎖する」という逆封鎖の意志を、最小限の物理的破壊で示す狙いがある。

2.精密攻撃のメカニズム
煙突部分への攻撃がなぜ航行不能に直結するのか、その技術的理由は以下の通り。

• 排気系の破壊と背圧:煙突は主機関(ディーゼルエンジン等)の排気路であり、ここを精密誘導兵器で破壊・閉塞させると、エンジンからの排気が滞り、強烈な背圧(バックプレッシャー)がかかってエンジンが停止、あるいは深刻な故障を引き起こす。

• エンジンルームへの波及:煙突の直下には通常、主機関本体や制御装置が配置されている。上部からの精密打撃により、これらの基幹部品を物理的に損傷させることが可能となる。

• 火災による停止:排気ダクト周辺での爆発は、エンジンルーム内での火災を誘発しやすく、船舶の安全システムが作動して全機能がシャットダウンされる。

3.具体的な運用事例(2026年5月時点)
直近の米中央軍の発表によると、以下のような運用が確認されている。

• 使用兵器:空母「エイブラハム・リンカーン」や「ジョージ・H・W・ブッシュ」から発進したF/A-18E/F スーパーホーネットが、精密誘導爆弾や20mm機関砲を用いて攻撃を行っている。

• 実例:2026年5月8日、イラン籍のタンカー「シー・スターIII」と「セブダ」に対し、煙突への精密攻撃が実施され、両艦は航行不能に陥った。

• その他の手法:煙突以外にも、舵(ラダー)を精密射撃して操舵不能にする手法も併用されており、対象船舶の状況に応じて使い分けられている。

この「逆封鎖」措置は、2026年2月末から続く地域紛争の中で、イランの経済的生命線である石油輸出を物理的に遮断するための米国の主要な軍事オプションとなっている。