イラン戦争で注目されたナフサは、現代社会において目に見える製品の「素材の素材」として、文字通りあらゆる場所で活用されている。
そこで今更だがナフサってどうやって作るのかについて纏めてみる。
ナフサは主に、原油を加熱して蒸留するというプロセスを経て作られる。
ナフサが作られるまでの工程
1.原油の加熱:輸入された原油を加熱炉で約350℃に熱し、液体と気体の混ざった状態で蒸留塔に送り込む。
2.蒸留(沸点の差による分離):蒸留塔の中では、温度の低い上部へ行くほど、沸点の低い成分が気体として昇っていく。
◦ 塔の上部(沸点が低い): LPガス、ナフサ(粗製ガソリン)
◦ 塔の中部: 灯油、軽油
◦ 塔の下部(沸点が高い): 重油、アスファルト

3.ナフサの回収:塔の最上部付近から取り出された気体を冷却して液体に戻したものが「粗製ガソリン(ナフサ)」となる。
ナフサの「その後」の加工
蒸留塔から出てきたばかりのナフサは、そのままでは製品にならない。さらに以下の工程へ進む。
• 脱硫工程:原油に含まれる硫黄分を取り除く。環境負荷を減らし、後の化学反応を邪魔しないようにするためだ。
• ナフサクラッカー(分解炉)での熱分解:化学原料として使う場合、ナフサをさらに800℃以上の高温で熱してバラバラに分解する。ここで初めて、プラスチックの原料となる「エチレン」や「プロピレン」などが誕生する。
日本におけるナフサの重要性
日本は原油のほとんどを輸入に頼っているが、その原油から精製されるナフサだけでなく、海外の製油所で精製されたナフサそのものも直接輸入している。
日本の化学産業は、この「ナフサ」を分解して得られる基礎原料を基盤として、自動車部品、電子材料、高性能な合成繊維といった付加価値の高い製品を作り出す、世界屈指の技術力を持っている。
ナフサは「石油化学の米」とも呼ばれ、加熱分解されることでエチレンやプロピレン、ベンゼンといった基礎化学品になり、そこから多種多様な製品へと姿を変える。
主な製品を分類別に列挙すると
1.プラスチック・合成樹脂
私たちの身の回りにあるプラスチック製品のほとんどがナフサを原料としている。
• ポリエチレン (PE):レジ袋、バケツ、容器、包装フィルム
• ポリプロピレン (PP):家電製品の筐体、自動車部品、食品容器
• ポリスチレン (PS):プラモデル、食品トレイ、断熱材
• 塩化ビニル樹脂 (PVC:水道管(塩ビ管)、消しゴム、窓枠
• ペット樹脂 (PET):ペットボトル、卵パック
2.合成繊維(衣類・布製品)
天然繊維(綿や羊毛)に代わる、あるいは混合して使われる素材。
• ポリエステル:ワイシャツ、スポーツウェア、フリース
• ナイロン:ストッキング、カバン、釣り糸
• アクリル:セーター、毛布、ぬいぐるみ
3.合成ゴム
天然ゴムの代用や、特定の機能を持たせたゴム製品。
• タイヤ:自動車や自転車のタイヤ
• ホース・ベルト:産業用機械の部品、炊飯器のパッキン
• 靴底:スニーカーのソール部分
4.塗料・接着剤・溶剤
化学的な特性を活かして、コーティングや接合に使用される。
• ペンキ・塗料:住宅の壁、自動車の塗装
• 接着剤:瞬間接着剤、木工用ボンド
• 合成洗剤: 洗濯用洗剤、台所用洗剤の界面活性剤
5.その他
• 医薬品・化粧品:薬のカプセル、軟膏の基材、口紅、ファンデーション
• 肥料:アンモニア合成を経由した窒素肥料
• 殺虫剤・防虫剤:家庭用殺虫スプレーなど
という事で、我々の身の回りにある製品の多くがナフサから作られている事が判る。