中国が太平洋の拠点ともくろみ、地理的に日本とも近く、更に左翼政権であるオーストラリアは日本にとって一番重要で危険性がある国といえる。
2026年現在、アルバニージー政権(労働党)は対中融和と安保強化の「二面性」を抱えている。中国にとって、豪州を「西側諸国のインテリジェンス網(ファイブ・アイズ)における最も脆弱な環」と見なしているのだろう。
1.太平洋の拠点化と日本の安全保障への直結
中国は、ソロモン諸島やパプアニューギニア、バヌアツといった太平洋諸島への浸透を加速させている。

• 「第二列島線」の無効化:もし豪州の近隣諸国に中国の軍事拠点が構築されれば、日本のシーレーン(海上交通路)の背後を突かれる形になる。
• 豪州の孤立化:豪州周辺に中国の拠点ができれば、豪州自体が「米国の同盟国」としての機能を果たせなくなるよう圧力をかけられる。
2.アルバニージー政権(労働党)の「二兎を追う」危うさ
労働党政権は、前政権(保守連合)の対決路線から、経済的実利を求めた「安定化」に舵を切った。
• 経済的「アメ」による切り崩し:中国は大麦やワイン、牛肉などの貿易制限を解除し、豪州国内の経済界や有権者に「中国と仲良くする方が得だ」という空気を醸成している。
• 左派勢力の内圧:労働党内には伝統的に「米国の戦争に巻き込まれるな」という声もあり、AUKUS(原子力潜水艦導入)の巨額費用に対する不満を中国が煽るリスクがある。
3.2026年現在の新たなリスク要因
• ダーウィン港の問題:2026年、中国企業が租借しているダーウィン港(北部の要衝)の返還を巡る議論が再燃している。ここを中国が維持し続ければ、米豪軍の動きが筒抜けになる懸念がある。

• 「中立化」への誘惑:中国は、豪州に対して「アジアの一員として、米国の支配から脱却すべきだ」というナラティブ(客観的な事実よりも、体験者の主観、感情、意味づけを重視)を強化している。これが成功すれば、ファイブ・アイズの連帯は根底から揺らぐ結果となる。
結論と展望
豪州は地理的にも戦略的にも、中国の切り崩し工作の「主戦場」となっている。
しかし、2026年4月に発表された最新の豪州国防戦略(NDS26)では、中国の軍事的影響力の拡大を「過去数十年で最大の脅威」と明記しており、現場の防衛当局は強い危機感を持っている。日本としては、豪州の政権が「経済」に流されすぎないよう、日豪円滑化協定(RAA)などを通じて、軍事・技術面での「後戻りできない協力関係」を固めておくことが重要となる。