中国当局は公務員や教員、国有企業従業員らに対してパスポートの回収や渡航制限を強化している。背景には習近平政権が進める「国家安全保障の絶対化」と「思想統制の徹底」という明確な狙いがあると言われている。
これらについて少し詳しくまとめてみる。
1.思想的汚染の防止(特に教育職)
教員は「次世代の思想を形成する」重要な立場と見なされている。
• 目的:海外旅行中に自由民主主義などの「西側の価値観」や、共産党に批判的な思想に触れることを防ぐため。
• 背景:帰国した教員が教室で「不適切な思想(党の指針に合わない内容)」を広めるリスクを排除し、イデオロギーの純潔性を保つ狙いがある。
2.反腐敗運動と資産逃避の阻止
「虎も蠅も叩く」という反腐敗運動の一環として、公的な立場にある者の動きを封じている。
• 目的:不正に蓄財した官僚が海外へ逃亡(亡命)したり、外貨を海外に持ち出したりすることを防ぐため。
• 現状:経済の先行き不透明感から、富裕層や中産階級による「資本の流出」が加速しており、これを食い止める経済安全保障上の側面もある。
3.国家機密・情報の漏洩防止
国有企業の幹部や研究者、中堅以上の公務員が対象となる。
• 目的:ハイテク技術、経済データ、政治的な内部情報が、海外の「敵対勢力」やスパイに渡るのを防ぐため。
• 管理:海外渡航を「特権」ではなく「許可制のリスク」と定義し、厳格な審査(バックグラウンドチェック)を課している。
4.社会統制の「平時化」
かつてのゼロコロナ政策下での移動制限が、現在は「国家安全保障」を大義名分とした恒久的な管理システムへと移行している。
• 仕組み:パスポートは職場(単位)が「一時保管」し、渡航が必要な場合は多層的な承認プロセスを経なければならない。
• 対象の拡大:以前は高官のみが対象であったが、現在は一般の教職員や幼稚園の先生、さらには一部の地方では一般市民にまで「 safekeeping(安全保管)」の名目で提出を求める動きが報じられている。
まとめ
一言で言えば、「外の世界の影響を遮断し、国内の人的資源と情報を完全に党の管理下に置くこと」が目的で、特に2024年から2026年にかけて、経済への自信低下や地政学的な緊張の高まりを受け、この「鎖国的な管理」は一段と強化されている状況にある。
60年代の中国と言えば完全な鎖国状態であり、我々にとっては中で何が起こっているのか全く分からない状況だった。
結局、毛沢東時代に戻したい習近平にとっては、予定通り政策なのだろうが、今や日米と関係を断ったら国が存続しないのが現状だから、さて、今後はどうなるのだろうか。