日本のエネルギーや貿易の生命線である「マラッカ海峡」が封鎖された場合、代わりのルートとしてインドネシアのロンボク・マカッサル海峡ルートを利用することが現実的な選択肢となる。
しかし、この迂回は単に「少し遠回りになる」以上の深刻な影響を日本にもたらす。主な問題点を3つの観点で整理した。

1.輸送日数とコストの増加
マラッカ海峡(シンガポール経由)からロンボク・マカッサル海峡へルートを変更した場合、航行距離が大幅に伸びる。
• 距離と日数:中東から日本へ向かう場合、約1,000海里(約1,850km)以上の遠回りになる。タンカーの速度にもよるが、片道で約3日〜5日の遅延が発生する。
• 燃料コスト:大型タンカー(VLCC)の燃料消費は膨大で、数日分の燃料費だけで数千万円単位のコスト増となり、これが船団全体となれば天文学的な数字になる。
• 船団回転率の低下:1回の航海が長くなるため、同じ期間内に運べる荷物の総量が減り、これを補うためにはより多くの船を確保しなければならず、チャーター料(傭船料)の高騰を招く。
2.航行環境と物理的な制約
マカッサル海峡はマラッカ海峡よりも水深が深く、巨大タンカーが通りやすいという利点はあるが、別のリスクが存在する。
• 海図とインフラの不足:マラッカ海峡に比べ、マカッサル海峡周辺は灯台や正確な海図、緊急時の救助体制が十分に整備されていない。
• チョークポイントの移動:結局のところ、ロンボク海峡やマカッサル海峡も「狭い水路」であることに変わりはない。マラッカ海峡が地政学的な理由で封鎖された場合、これらの代替ルートも同様に標的や妨害の対象になるリスク(地理的脆弱性)を抱えている。
3.日本国内への経済的・社会的影響
物流の遅延とコスト増は、日本のサプライチェーン全体に波及する。
• エネルギー価格の高騰:日本の原油輸入の約9割がこの海域を通過する。輸送コストの増大はそのまま電気代、ガス代、ガソリン価格に直結し、強烈なインフレ要因となる。
• 「在庫」の概念の変化:「ジャスト・イン・タイム」方式で原材料を輸入している製造業では、数日の遅延が致命的で、これを防ぐために国内の備蓄基地を増強する必要があり、莫大な維持・建設コストがかかる。
• シンガポール拠点の喪失:マラッカ海峡の要衝であるシンガポールは、給油や船員の交代、船のメンテナンス拠点として機能している。迂回ルートではこれらのサービスを同様の質で受けることが難しく、運用の効率が著しく低下する。
まとめ

マカッサル海峡への迂回は「物理的に可能」ではあるが、日本の経済安全保障にとっては極めて大きな負担となるため、あくまで緊急避難的な策と言わざるを得ない。
とはいえ、代替えルートがあるだけましで、中国の場合はこのルートは事実上使えないために、経済は壊滅駅な影響を受けるだろう。
要するに、中国の台湾侵攻はこの面でも極めて厳しいという事だ。