トランプ米大統領はBBCに名誉棄損で計100億ドルの損害賠償を求めた





トランプ米大統領が英BBCを名誉毀損で提訴した。これはメディアの編集のあり方と国際的な裁判権を巡る大きな争点となっている。

そこでその詳細と、なぜ米国の裁判所で争われるのかについてまとめた。
1.訴訟の概要と背景
トランプ氏は2025年12月、フロリダ州の連邦地裁にBBCを提訴した。

・請求額:計100億ドル(名誉毀損に50億ドル、フロリダ州の不公正商慣習法違反に50億ドル)。

・訴えの理由:BBCの調査報道番組『パノラマ』が、2021年1月6日の議会襲撃事件直前のトランプ氏の演説を「悪意を持って切り貼り(編集)した」と主張した。

・具体的な争点:実際には約55分間隔があった2つの発言(「平和的に行進しよう」と「地獄のように戦え」という趣旨の内容)を繋ぎ合わせ、あたかも暴動を直接扇動したかのように見せたという点だ。

BBC側は「編集に誤りがあり、誤解を招く表現だった」として謝罪し、会長らが辞任する事態に発展したが、損害賠償の支払いには応じない姿勢を見せている。

2.なぜ外国のBBCを「米国の地裁」で訴えるのか?
通常、外国の組織を訴えるにはハードルがあるが、トランプ氏側は以下の理由から、フロリダ州の裁判所に管轄権(裁判を行う権利)があると考えている。

① 「被害」がフロリダ州で発生したという主張
名誉毀損訴訟では、虚偽の情報が「どこで拡散され、どこで被害者の名誉が傷ついたか」が重要視される。トランプ氏側は、問題の番組がネット配信やVPN経由、あるいは提携サービス(BritBoxなど)を通じてフロリダ州の居住者も視聴可能だったと主張している。これにより、同州内での社会的評価が低下した(=損害が生じた)という理屈だ。

② 事業活動の関連性
米国には「ロング・アーム法(長腕法)」という概念があり、州外や国外の組織であっても、その州内で一定のビジネス活動(放送配信や広告収入など)を行っている場合、その州の裁判権が及ぶとする考え方がある。

③ 手続き上の利点
トランプ氏にとってフロリダ州は自身の居住地(マール・ア・ラーゴなど)であり、支持基盤も強いため、心理的・戦術的にも有利な場所を選んだものと見られる。

3.現在の状況
BBC側は「番組は英国向けに制作されたものであり、フロリダ州に管轄権はない」として訴えの却下を求めているが、2026年2月の報道によると、裁判官は手続きの進行を認める判断を下した。

実際の裁判(公判)は2027年2月に開始される予定となっており、現職の大統領が外国メディアを訴えるという異例の長期戦となる見通しだ。

メディアの切り取りによるフェイク報道は日本でも問題になっている。特に高市首相に対しての攻撃を度を越えたものがあるが、ここはトランプ氏を見習って日本のマスコミを訴えるのも良いかも知れない。しかも、国内の報道を訴えるのだから、トランプ氏よりも敷居は低い筈だ。