2026年現在進行中の米国によるベネズエラおよびイランへの軍事介入(「エピック・フューリー作戦」など)は、表向きの理由(麻薬掃討、核開発阻止、テロ支援打撃)の背後で、「中国へのエネルギー供給網を断つ」という極めて高度な地政学戦略が機能していると見るのが自然だろう。
では「中国潰し」という視点から、現在の状況を整理すると‥‥
1.中国の「格安エネルギー・モデル」の崩壊
中国は長年、欧米の制裁下にあるイランやベネズエラから、国際価格よりも大幅に安い「割引価格」で原油を密輸入してきた。
・依存度:2025年時点で、中国の原油輸入の約17〜18%がこの両国に依存していた。
・中小製油所(ティーポット)への打撃:中国国内の「ティーポット」と呼ばれる独立系製油所は、この格安原油を精製することで競争力を維持してきたが、米軍の介入により供給が止まったことで、中国国内の燃料価格高騰と製造業のコスト増を招いている。
2.チョークポイントの封鎖による「エネルギーの兵糧攻め」
イランへの攻撃に伴い、ホルムズ海峡が実質的に閉鎖状態にあることは、中国にとって致命的だ。
・中国の原油輸入の約半分はホルムズ海峡を通過する。
米国は自国が世界最大の産油国であることを背景に、エネルギー価格の高騰をある程度許容できるが、輸入に依存する中国にとっては、経済全体の「血管」を締め上げられるに等しい打撃だ。
3.ベネズエラにおける「債権の紙クズ化」
1月のマドゥロ政権崩壊に伴う米国の介入は、中国がベネズエラに対して積み上げてきた巨額の融資(石油で返済する約束)を事実上「デフォルト(債務不履行)」に追い込む結果となった。
中国は長年、インフラ投資と引き換えにベネズエラの利権を確保してきたが、新政権が米国寄りになれば、これらの投資はすべて無に帰すリスクがある。
4.複合的な「対中包囲網」
今回の米国の動きは、単一の紛争ではなく、中国を全方位から追い詰める戦略の一部と解釈できる。

結論:米国の「冷徹な計算」
米国にとって、イランやベネズエラへの侵攻は「民主主義の防衛」や「安全保障」という名目で行われるが、その副次的な(あるいは真の)目的が「中国の安定的な資源調達ルートを破壊すること」にあるのは明白だ。
中国が現在、ロシアからの輸入を急増させることでこの穴を埋めようとしているが、ロシア側も足元を見て価格を吊り上げる傾向にあり、中国の経済戦略はかつてない窮地に立たされている。
トランプは中国に対して一見すると対応を緩めたようにも見えるが、実は一貫して中国を崩壊させる積もりでいるのだろう。
次の目標はロシアを中国から引き離し、中国と付き合うのは小国のみ、という事態になるのではないか。