イラン戦争でにわかに注目されたのがイラン製のドローンだ。これは外国から購入したものではなく、同国が独自に開発し生産しているようだが、なぜイランはドローンの製造技術が高いのだろうか。
実は、イランがドローン(無人航空機:UAV)の製造で世界屈指の技術を持つようになったのには、40年以上にわたる「孤立」と「生存戦略」という切実な背景があったのだった。
その理由は
1.長年の経済制裁による「自給自足」の追求
1979年のイラン革命以降、欧米から厳しい経済制裁を受け、最新の戦闘機や部品を輸入できなくなった。そのため、高価で高度な有人戦闘機を維持する代わりに、比較的低コストで自国生産が可能なドローンにリソースを集中させる国家戦略を採った。
2.イラン・イラク戦争(1980–1988年)での実戦経験
イランのドローン開発は、実はこの戦争中に始まった。当時、敵の陣地を偵察するために模型飛行機にカメラを積んだのが始まりで、これが初期のドローン「モハジェル(Mohajer)」へと進化した。この「必要に迫られた発明」が、現在の技術基盤となっている。
3.西側諸国のドローンの「リバースエンジニアリング」
イランは、自国内に墜落または捕獲した米軍やイスラエル軍の高性能ドローンを回収し、徹底的に分解・解析(リバースエンジニアリング)することで技術を吸収してきた。
例:2011年に鹵獲した米国のステルス無人機「RQ-170 センチネル」をもとに、自国版のステルスドローンを開発したと言われている。
4.「安価で大量」という非対称戦略
イランの強みは、必ずしも世界最高峰のハイテクではなく、「そこそこの性能で、圧倒的に安い」という点にある。
シャヘド136(Shahed-136):「自爆型ドローン(徘徊型弾薬)」として有名だが、市販のエンジンやGPS部品を組み合わせることで、1機あたり数百万円という低価格を実現している。
これにより、高価な防空ミサイル(1発数億円)を枯渇させる「物量作戦(スウォーム攻撃)」が可能になった。
5.産学軍の緊密な連携
制裁下でも、シャリフ工科大学などの国内トップ大学と、イスラム革命防衛隊(IRGC)が密に連携し、航空力学や誘導システムの共同研究を長年続けてきた。また、海外の部品を民生品ルートで調達する独自のネットワークも構築されている。
イランのドローン戦略は、現在「安価な大量投入」から、「ジェット化による高速化」や「AIによる自律飛行」といった一段上のフェーズに移行している。
主要機体のスペック比較
現在、戦場や紛争地で最も注目されている3つのモデルを比較する。



注目の新型機: ハディド110 (Hadid-110)
2026年3月の最新レポートでは、ジェット推進の新型自爆ドローン「ハディド110」の実戦投入が確認された。これまでのプロペラ機よりもはるかに高速で、米軍基地への攻撃などに使用されていると報告されている。

イランは1カ月当たり約1万機のドローン生産能力があるといわれているが、工場の空爆により現在の生産能力は不明だ。加えて在庫も不明だが。おおよそ2,500~6,000発ともいわれ、ホルムズ海峡を通過する航行を数カ月間混乱させる可能性が高いとも言われている。
トランプ氏が9月まで続くと行ったのは、この点を考慮したのかもしれない。