中国では不動産→EVとバブルが移ってきて、遂にEVバブルも弾けた今、今度は人型ロボットのバブルが始まり、多数のスタートアップ企業が誕生しているとのこと。
この状況を整理すると、中国における「不動産→EV→人型ロボット」というバブルの変遷は、単なる流行の移り変わりではなく、中国政府の産業政策と過剰な投資熱が合致した結果と言える。
2026年現在の状況を整理すると、人型ロボット業界はまさに「狂乱の絶頂期」から「実用性の審判」へと移る、非常に危ういフェーズにある。
1.なぜ「人型ロボット」に資金が集まるのか?
不動産が沈み、EV市場が飽和(価格競争の泥沼化)した今、中国の投資家と政府が次に選んだ「希望」が人型ロボット(具現化AI:Embodied AI)だった。
・「第二のEV」への期待:中国はEVで培った「電池」「モーター」「センサー」「量産技術」のサプライチェーンをそのままロボットに転用できる強みを持っている。
・国家戦略:中国工業情報化部は「2025年までに量産体制を整え、2027年までに世界トップレベルの技術を実現する」という野心的な目標を掲げており、巨額の補助金が動いている。
来たー、補助金!
・ 労働力不足の解消:急激な少子高齢化に直面する中国にとって、工場や介護の現場で動くロボットは、経済成長を維持するための「国家の生命線」と位置づけられている。
2.異常なスタートアップの乱立
現在の状況は、かつてのEVバブルやシェアサイクルバブルと酷似している。
・140社以上のプレイヤー:2026年時点で中国国内には人型ロボットを手掛ける企業が140社を超え、330機種以上が発表されている。
・投資の過熱:「Galbot」や「Unitree」といった有力企業は、数カ月ごとに数億〜数十億円規模の資金調達を繰り返している。
・「春節晩会」への登場:中国の国民的番組(紅白歌合戦のような番組)に多数のロボットが出演し、国民の期待を煽るパフォーマンスが常態化している。
3.すでに忍び寄る「バブル崩壊」の懸念
一見華やかだが、現場では深刻な課題が噴出し始めている。
・「一発芸」止まりの技術:CES 2026などの展示会では、バク転やピアノ演奏を披露して注目を集める一方、「実際の工場や家庭で、複雑な作業を自律的にこなせるか」という点では、依然として米国(TeslaのOptimusやFigure AIなど)に後れを取っているとの指摘がある。

・受注はあっても「活用」がない: 一部の企業が「数千台の受注」を発表しているが、その多くは実証実験(PoC)レベルであり、実際の利益に結びついている企業は極めて稀だ。
・政府の警告:中国当局(国家発展改革委員会など)は、すでに「低レベルな重複投資(似たような安物ロボットの乱立)」に対して異例の警鐘を鳴らし始めている。
結論:今後のシナリオ
中国の人型ロボット業界は、今後2〜3年で「残酷な淘汰」が始まると予想されている。
・価格破壊の波:中国勢が得意とする「部品共通化」と「量産」により、数年以内に1台200万〜300万円台の格安ロボットが登場し、世界を席巻しようとしている。
・タートアップの大量死:技術力のない「補助金目当て」の企業の多くは、EVメーカー同様、資金が尽きれば即座に消滅する。
・最後に残る勝者:生き残るのは、ハードウェアの安さではなく、「AIの頭脳(ソフトウェア)」を握り、実社会での運用データを最も多く集めた数社(UnitreeやUBTECHなど)に集約されるだろう。
「不動産バブルは土地を、EVバブルは車を、ロボットバブルは『鉄の塊』を残す」と言われる未来にならないか、今まさに正念場を迎えている。
とはいえ中国のことだから、国中に人型ロボットの不良在庫が積み上げられる姿が目に浮かぶ。
全く、懲りない国だ。