小池知事の2階建て通勤電車構想はどうなった





2016年の東京都知事選公約の一つであった「2階建て通勤電車(オールダブルデッカー化)」構想は、鉄道関係者や都市交通の専門家から多くの疑問が出ていたが、その後どうなったのだろう。

そこで、小池知事の黒歴史とも言われている、2階建て通勤電車構想の問題点を整理してみる。

1.乗降時間の増大(ラッシュ時に不利)
通勤電車は「駅での乗り降りの速さ」が輸送力を左右する。
• 2階建て車両は階段で上下移動が必要
• ドア付近に人が滞留しやすい
• 乗降に時間がかかる → 発車が遅れる
• ダイヤ全体に遅延波及

実際に、JRのグリーン車(2階建て)は着席前提であり、短距離大量輸送には向いていない。

都市鉄道は“詰め込み効率”より“回転効率”が重要というのが鉄道工学の基本となっている。

2.ホーム・トンネル規格の制約
首都圏の多くの路線は、既存インフラがギリギリの規格で設計されている。
• トンネル断面が小さい
• 架線高さ制限
• ホーム高さ・ドア位置の制約
• 車両限界の問題

全車両を2階建てにする場合、多くの路線で大規模な土木改修が必要になる。 → 現実的には数千億〜兆円規模

3.重量増加による問題
2階建て車両は当然重くなる。
• 軌道への負担増
• 加減速性能の低下
• 消費電力増加

ラッシュ時は短い駅間で頻繁に停車するため、加速性能の低下は致命的となる。

4. 実は「定員増」がそれほど大きくない
2階建て化しても、
• 階段スペース
• 天井高確保
• 強度構造

などで床面積が効率的に使えず、平屋ロングシート車両と比較して劇的な定員増にはならないという試算が多い。

むしろ立席中心なら通常車両の方が効率が良い場合もある。

5. 世界の大都市の事例
2階建て車両は
• パリ近郊鉄道(RER)
• ベルリンSバーン
• シドニー郊外線
などで採用されている。

共通点
• 駅間が長い
• 近郊長距離輸送
• 着席ニーズが高い

東京の山手線のような「2〜3分間隔・超短駅間」の路線とは性格が異なる。

6. 根本原因は“車両不足”ではない
東京の混雑は
• 線路容量の限界
• 都心一極集中
• 乗換集中構造 が原因
車両を増やすより

• 複々線化
• バイパス新線
• 時差通勤
• テレワーク推進
の方が効果が大きいとされている。

なぜ「黒歴史」と言われるのか?
1. 専門家の間では実現困難と即座に指摘された
2. 具体的な技術検討が進まなかった
3. その後ほぼ言及されなくなった

結果として「象徴的な公約だったが現実性が低かった」と評価されている。

湘南新宿ラインの状況を見れば、グリーン車への乗降のために停車時間が長くなっているのが判る。それだけでもこの公約が何のメリットも無い事は即座にわかるというのにねぇ。

結局、素人だましの公約であり、その公約も悲しいかな素人が考えた‥‥というところか。