NVIDIAに挑戦する日本のスタートアップ企業 LENZOとは


奈良県生駒市に拠点を置く、日本の革新的な半導体スタートアップ企業(LENZO株式会社)は元プレステ開発陣がNVIDIAに挑むというのだ。

とはいえ、NVIDIAは圧倒的なシェアと「CUDA」という強固なソフトウェア基盤を持っており、 巨人AMDですらその牙城を崩すのに苦労しているのに、それを後発の日本企業に勝機があるのかという疑問は当然起こってくる。

しかし、LENZOの戦略を詳しく見ると、彼らは「NVIDIAと同じ土俵で戦わない」ことで採用先を見出そうとしているのだった。

1. そもそも「何」でNVIDIAに挑んでいるのか?
NVIDIAのGPUは「汎用性」が非常に高く、何でもできる万能選手だが、その分「消費電力が膨大」で「価格が極めて高い」という弱点がある。

LENZOが開発しているのは、CGLA(Coarse-Grained Linear Array)という独自のアーキテクチャだ。

脱・電力食い:NVIDIAのチップはデータの移動に多くの電力を使うが、LENZOは「データを動かさない」構造で、電力効率を劇的に高めようとしている。

推論特化:巨大なAIを作る「学習」ではなく、完成したAIを動かす「推論」に特化することで、安くて省エネなチップを目指している。

2. 「新規採用先」はどこにあるのか?
AMDが苦戦しているのは「データセンター(クラウド)」というNVIDIAの本丸で真っ向勝負をしているからで、LENZOが狙っているのは、そこではない「エッジ」と「特定用途」の市場だ。

• エッジAI(現場のデバイス):工場、防衛、ドローン、医療機器など、「巨大な電力は使えないが、リアルタイムでAIを動かしたい」場所で。ここではNVIDIAの巨大なGPUはオーバースペックで高過ぎる。

経済安保と「国産」ニーズ:現在、AIチップは米国に依存しており、地政学的リスクがある。日本の製造業や政府関係機関にとって、「手の内がわかっている国産の超省エネチップ」は、採用する強い動機になる。

特定のAIモデルへの最適化: 全てのAIを動かす必要はなく、「この画像認識だけを世界一安く速く動かす」といった特定の需要に応えることで、専用LSIとしての採用先を確保する戦略のようだ。

3. 「AMDすら苦戦」する壁をどう越えるか
最大の壁は、NVIDIAのソフト資産「CUDA」との互換性がないことだ。

ENZOはここを「元プレイステーションの開発者(Cell Broadband Engineの設計者など)」という、日本の伝説的なハードウェア屋の知恵で突破しようとしている。

独自の勝ち筋: 彼らは「GPUの代わり」になるのではなく、「GPUでは採算が合わない、あるいは電力が足りない領域」を根こそぎ持っていく隙間(ニッチ)戦略を狙っている。

結論:採用先はあるか?
「GoogleやMicrosoftのサーバーを全て置き換える」のは不可能に近いが、「トヨタの工場ロボットの脳」や「次世代の国産ドローンの目」といった、電力とコストがシビアな領域には、十分な採用の余地がある。

ただ、半導体は「実際に動く物理的なチップ」が出るまでが勝負。

2026年現在の彼らにとっての課題は、机上の理論通りの省エネ性能を、量産品で証明できるかどうかにかかっている。

という事で、このところ、半導体分野では「後進国」なってしまった日本としては、何としても成功させたいところだ。

とは言え、元プレステ開発者って、それなりの年だと思うが、何となく気になるなあ。