ランドローバー社は1970年に、高級フルタイム4WDであるレンジローバーを発売した。レンジローバーはオフロードのロールスロイスとも呼ばれ、現在の高級SUVの本家と言えるものだった。
現在はレンジローバーシリーズとしてサイズの異なるいくつかのシリーズを持っている。
最も高級な伝統的な「レンジローバー」は、サイズは全長5,065×全幅2,005×全高1870㎜、ホイールベース2,995㎜と巨大だ。しかも更にホイールベースを延長し7人乗りとしたモデルもある。エンジンも3L 直6 ディーゼルまたはガソリンに電気モーターを組み合わせたMHEVやPHEVと、これこそレンジローバーという4.4L V8 PHEVがあり、組み合わせによるバリエーションは数多い。
価格は直6が2264~2,447万円、V8 は2,485~3,365万円と極めて高価だ。
レンジローバースポーツは高性能とともにレンジローバーよりも遥かに買い易い価格設定となっている。エンジンは何れも3L 直6で、ディーゼルのMHEV、ガソリンターボのMHEV、そしてガソリンPHEVのラインナップがある。
サイズは全長4,946×全幅2,209×全高1,820㎜、ホイールベース2,997㎜で、レンジローバーに迫るビッグサイズだ。価格は1,168~1,533万円。レンジローバーに比べると物凄く安い感じがするが、いやいや、それでも充分に高価だ。
レンジローバーヴェラールは、全長4,797×全幅2,147×全高1,683㎜、ホイールベース2,874㎜というサイズで、「レンジローバー」より一回り小さいミドルサイズのレンジローバーだ。エンジンは4気筒 2.0Lのガソリンターボモデルと電気モーターを追加したPHEV、そして2.0Lディーゼルターボが用意されている。
価格はガソリンターボ 967~1,208万円、PHV 967~1,208万円、ディーゼル949~1,155万円と、フルサイズのレンジローバーにくらべれば当然安い。
レンジローバーイヴォークは全長4,380×全幅1,905×全高1,650㎜、ホイールベース2,680㎜という、レンジローバーのシリーズでは最も小さいコンパクトプレミアムSUVだ。エンジンは3気筒 1.5L ターボのPHEVと4気筒2.0L ターボ、そして2.0L ディーゼルターボ MHEVがある。価格は728~916万円。
ランドローバー社1989年、はレンジローバーを元にコストダウンし、より求めやすい価格としてディスカバリーを発売した。フレームをはじめ、ドライブトレイン、サスペンション、フロントウインドシールド、ドアガラスなど、可能な限り初代レンジローバーのものが流用されており、言ってみれば旧型レンジローバ―に限りなく近い内容だった。
現行ディスカバリーは2017年に発売された5代目となっている。
パワートレインは3L 直6 ディーゼルのMHEVで、アウターサイズは全長4,956×全幅2,220×全高1,999㎜、ホイールベース2,923㎜というレンジローバースポーツに準じた内容となっている。
価格は998~1,276万円とレンジローバースポーツよりも低く抑えられている。
ディスカバリースポーツはディスカバリ・ファミリーのミドルサイズモデルで、全長4,610×全幅1,905×全高1,727㎜、ホイールベース2,740㎜。エンジンは3気筒 1.5L ターボ MHEVと4気筒2.0L ターボ、そして2.0L ディーゼルターボ の PHEVという3種類がある。これはレンジローバーイヴォークと同じラインナップだ。
サイズはレンジローバーイヴォークよりも大きく、価格帯は708万円~1016万円で、イヴォーグと完全に被っている。
ディスカバリースポーツが発売された2014年の価格は500~700万円。それが10年後の現在では708~1,016万円と、随分値上がりしたものだ。それでも2021年は475~750万円とそれほどでも無かった。という事は、このところの円安がそのまま反映されいるという事だろう。
しかし、BMWの場合にはドルが1.5倍になつても、日本での販売価格は1.2倍弱と、意外に上がっていない。この辺は各メーカーの戦略もあるのだろう。要するに今買うのならランドローバーはBMWに比べて割高で損だという事で、これでは売れなくて当然だろう。
米国販売でも恐らく同様だろう。当分販売を控えるという対策は、果たして正解なのだろうか。