暗号資産取引所「バイナンス」は外部からの不正アクセスにより推定約1兆円相当の被害を公表


日本ではGMOに対するサイバー攻撃が大きな話題となっているが、今度は暗号資産取引所が攻撃され、約1兆円規模の影響が発生した。

なお簡略版は⇒【簡略版】暗号資産取引所で不正アクセスにより推定約1兆円相当の被害

世界最大手の暗号資産(仮想通貨)取引所であるバイナンス(Binance)は、2026年10月29日から30日にかけて発生した不正アクセスにより、暗号資産史上最大規模となる推定約63億ドル(約1兆円)相当の資産が影響を受けたと公表した。同社は安全確認のため暗号資産の入出金を一時全面停止し、全額補償の方針を示している。

被害規模と資産凍結の状況

• 推定影響額
約63億ドル(約9,960億円〜約1兆円相当)と推計されており、過去のハッキング事件(2025年2月のBybitの約15億ドル流出など)を大きく上回る過去最大規模の事案となっている。

• 凍結済み資産
バイナンスはブロックチェーン関連事業者や法執行機関と連携し、不正移動された資産のうち約30億ドル相当をオンチェーン上で凍結したと発表している。そのため、63億ドルすべてが確定損失となるわけではない。

侵入経路と原因(初期調査)

• エンジニア端末の侵害
バイナンスの暫定調査によると、開発・運用を担当するDevOpsエンジニアのノートPCが侵害され、攻撃者がそれを起点に内部のサービスコンテナへアクセスし、ホットウォレットから不正な出金トランザクションを送信したとみられている。

• 秘密鍵の安全性
ウォレットの秘密鍵そのものが外部に流出した証拠は確認されておらず、送金承認・実行プロセスや運用端末の権限悪用を中心に調査が進められている。

バイナンスの対応と補償方針

• 入出金の一時停止
被害の拡大防止とシステムの安全点検のため、すべての暗号資産の入金および出金を一時停止し、不正に関与したアドレスの認可を取り消した。

• 顧客資産の全額補填
緊急時の利用者保護基金である「SAFU(Secure Asset Fund for Users)」およびバイナンスの自社資金を用いて損失を全額補填し、ユーザーの資産は保全されると説明している。対策完了後には準備資産の証明(Proof of Reserves)の更新と、詳細な技術的事後報告書の公開を予定している。

日本国内および市場への影響

• バイナンスジャパン(Binance Japan)
日本法人の顧客資産は、今回被害を受けたグローバル版のホットウォレットとは分別して管理されており、資産流出の直接的な影響はないと説明されているが、安全措置として暗号資産の入出金が一時停止されている。

• 国内他社への影響
SBIホールディングスは10月30日に適時開示を行い、傘下のSBI VCトレードおよびビットバンクは通常通り営業しており、顧客資産や連結業績への影響はないと発表している