中国はレアアースの原材料供給で優位だが、高度な応用製品のコア技術や特許では日米が優位


中国科学技術大学などの研究チームが『中国科学院院刊(Bulletin of the Chinese Academy of Sciences)』に発表した報告書では、「中国はレアアース資源を支配している」という一般的な見方に対する強い警告が発せられている。

報告書が指摘している主なポイントは以下の通り。

1. 商業的価値が高い「下流技術」の8割を日米が保持

レアアース産業は「採掘・精錬(上流)」→「基礎加工(中流)」→「高機能材料・応用製品(下流)」の流れで成り立っている。

• 特許の偏り: レアアース関連特許の80%以上は、最も付加価値が高い「下流の高機能材料」に集中している。

• 中国の弱点: 中国は原料供給(採掘・精錬)で世界シェアの大半を握るものの、この最も重要な下流分野のコア技術や重要特許においては、依然として日本や米国に主導権を握られている。

2. 主な応用分野ごとの情勢

日米の優位性と中国の現状
・永久磁石材料(EVモーターや風力発電に使用) :日本が総合的に優位。
中国は一部の合金技術で追随しているものの、粉末冶金(金属粉末を固める技術)、焼結方法、コバルト系合金、ローターコア技術などで日米に遅れをとっている。

・ 触媒材料(排ガス浄化や石油化学で使用) :米国がリード
主要なコア技術のほとんどを米国が押さえており、中国との技術格差が最も顕著な分野とされている。

・発光・研磨材料(半導体・ディスプレイ製造で使用) :米国が主導
半導体製造や精密加工のキープロセスとなる重要な工程において、米国が技術的優位を保っている。

3. 報告書が示す課題とリスク

「量の優位」が「技術の優位」を意味するわけではない
• サプライチェーンのボトルネック:
原料を握っていても、それを最先端の製品(EV、半導体、精密機器など)に変える基盤特許を抑えられているため、産業全体の主導権を確保できていない点に焦眉の課題がある。

• 技術的自立の遅れ:
報告書は、中国が単なる「資源供給国」にとどまらず高付加価値なハイテク産業へ移行するためには、これら下流分野のコア技術の獲得と特許網の構築が急務であると結論づけている。