神奈川工科大学、湘南工科大学、日本工業大学、埼玉工業大学などの、偏差値的には下位となる私立工科系大学は、理工系人材の深刻な人手不足と手厚い就職支援を背景に、毎年98〜100%近い非常に高い就職率を維持している。
これらの大学の具体的な就職先(業界・企業規模)と実際の職種(仕事内容)の傾向をまとめた。
1. 主な「職種(仕事内容)」

大手の先行研究開発(R&D)などの最上流工程は大学院修了者(修士・博士)が占める割合が高いが、学部卒業生は「現場に近いエンジニア職」や「技術サポート・施工管理」を中心に幅広い技術職として採用されている。

2. 主な「就職先(業界・企業規模)」

就職先の傾向は、「大手企業のグループ会社」「中堅BtoBメーカー(部品・産業機械)」「独立系SIer/SES」「設備・施工管理系企業」がボリューム層となっている。
① 自動車・機械・電気電子(製造業)
トヨタ・日産・スズキなどの完成車メーカーや大手電機メーカーに一部採用されるほか、自動車部品(Tier1/Tier2サプライヤー)や精密機械メーカーに多く入社している。
• 完成車・大手:日産自動車、スズキ、SUBARU、IHI、富士電機、アルプスアルパイン
• 部品・機械(ボリューム層):テイ・エステック、ヨロズ、タチエス、UDトラックス、SMC、THK、日本発条など
② IT・情報処理(SIer・SES・ITインフラ)
情報系・IT系の学科を中心に需要が極めて高く、大手・中堅の受託開発企業(SIer)や客先常駐型エンジニアリングサービス(SES)へ多く進出している。
• 主な企業例:富士ソフト、DTS、アルファシステムズ、NSW(日本システムウエア)、アイ・エス・ビー、AGSなど
③ 設備・建設・インフラ・ビルメンテナンス
電気・建築・機械系学科の強みが最も発揮される分野で、現場の「施工管理技士」や「設備保守エンジニア」としてのニーズが非常に強い。
• 設備・サブコン:関電工、きんでん、高砂熱学工業、トーエネックなど
• 鉄道・インフラ保守:JR東日本グループ(JR東日本テクノロジー等)、東京メトロ、関東電気保安協会、ジャパンエレベーターサービスなど
• 住宅・建設:一条工務店、タマホーム、長谷工コーポレーション、熊谷組など
3. なぜ「就職率が限りなく100%」になるのか?

1. 実務型エンジニアの市場価値が非常に高いため
◦ 日本全体で「ITエンジニア」「施工管理技士」「機械・電気の現場エンジニア」が深刻な人材不足に陥っている。学歴名よりも「工業・理系の基礎知識があり、現場で手を動かせる人材」が企業から強く求められている。
2. 大手BtoB・中堅優良企業とのパイプが強い
◦ 一般的な文系就活では知名度の低い「BtoBの部品メーカー」や「インフラ保守企業」だが、業績が非常に安定しており、これらの大学に長年の指定校求人を出している。
3. 学生側のミスマッチが少ない(現実的な就職意識)
◦ 「有名大企業の総合職」だけに固執せず、大学のキャリアセンターを通じて自分の適性に合った中堅企業・技術職に視野を広げてエントリーするため、内定を取りこぼす学生が少ないという特徴がある。
総括すると:

「研究者」というよりは、「日本のモノづくりやIT・インフラの現場を物理的に支える専門技術者(エンジニア・施工管理・SE)」として、堅実かつ安定した優良企業へほぼ全員が就職できているのが実態だ。
このように圧倒的に就職が良いにも関らず入試倍率が低いのはなぜか?