2026年9月2日、米国のスコット・ベッセント財務長官がFOXニュースの番組(『Fox & Friends』等)に出演して表明した対イラン経済圧力強化に関する要点は以下の通り。
🔷ベッセント米財務長官の発言要旨

1. 「経済的窒息」を目指す多層的アプローチ
• 制裁のさらなる強化:軍事打撃や海上封鎖(隔離措置)に続き、「過去に例を見ない規模の経済制裁」を適用することで、イラン体制をグローバル経済から完全に孤立させ、「窒息(asphyxiate)」させる方針を強調した。
• 明確な目的::イラン革命防衛隊(IRGC)等の資金源を断ち、平和協定の受諾を迫るまで圧力をかけ続けるとしている。
2. イラン支援企業・金融機関への強い警告
• 「悪の政権と取引するな」:同盟国・敵対国を問わず、イランとの取引や制裁回避を支援する諸国、銀行、企業に対して「我々は誰が関与しているか把握している。必要であれば市場から排除する(事業を存続させない)」と警告した。
• 具体的制裁例の提示:エジプト国有のミスル銀行(Banque Misr)ドバイ支店がイラン関連ネットワークに18億ドル以上の資金移動を行っていた事例を引き合いに出し、米ドル対応口座からの排除手続きを進めていることを示した。同様の違反行為に対してシステム的に対処すると述べている。
• 監視分野の拡大:従来の金融ネットワークに加え、航空、海運、デジタル資産(暗号資産)など幅広いセクターにおいて、イランの抜け道を封鎖する体制を整えている。
3. イラン国内経済への打撃と現状の分析
• 一連の制裁・封鎖措置の効果により、イラン国内ではガソリンスタンドでの長蛇の列、自国通貨の急落、100%を超えるハイパーインフレ、軍関係者への給与支払い不全といった事態がすでに発生していると指摘した。
このイラン制裁により原油の輸出量が激減しているが、どのくらい減っているのだろうか。また、現在も輸出している相手国とその方法とは?
米国の海上監視や経済圧力の強化により、イランの原油輸出は歴史的な落ち込みを見せている。具体的な減少幅や現在の輸出先・輸出方法は以下の通り。
🔷輸出量は以前と比べてどのくらい減ったか

• 以前(2025年〜2026年春頃)
◦ 日量 約170万〜200万バレル 前後の原油・コンデンセートを輸出していました。
• 現状(2026年8月〜9月直近)
◦ 日量 約22万〜26万バレル 程度にまで急落しています。
◦ ピーク時や前年同月比(2025年8月時点の約170万バレル)と比較して 80%〜85%以上の激減 となっており、ホルムズ海峡を経由する新規積み出しが長期間滞るなど、深刻な打撃を受けている。
🔷現在の主な輸出相手国

• 中国(ほぼ唯一の主要買主)
◦ イラン原油の輸出先は 9割以上が中国 に集中している。
◦ 主に山東省などに拠点を置く「ティーポット」と呼ばれる民間の独立系製油所が受け皿となっている。
3. 現在行われている輸出方法(回避工作)
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国際的な制裁や監視網をかいくぐるため、イランは「闇の船団(ゴースト・フリート / シャドー・フリート)」と呼ばれるネットワークと複数の偽装手法を組み合わせて原油を流出させている。
1. 洋上移送(STS: Ship-to-Ship Transfer)
◦ イランの港で原油を積んだタンカーが、マレーシア沖やオマーン湾などの国際海域で別のタンカーへ原油を積み替える。これにより最初の積載履歴を追跡困難にする。
2. 原産地の偽装と原油のブレンド
◦ イラン産原油を他国(マレーシアやオマーンなど)の原油と混ぜ合わせ、証明書類上の原産地を書き換えて「マレーシア産ブレンド」などの名目で市場へ流す。
3. AIS(自動識別装置)の切断・偽装(スプーフィング)
◦ タンカーの位置情報を発信する装置(AIS)を意図的にオフにして「暗黒航行(Dark Activity)」を行ったり、偽の位置データを送信して追跡監視の目を欺く。
4. 所有権の隠蔽(ペーパーカンパニーの利用)
◦ 老朽化したタンカーを、実態のない複数のペーパーカンパニーや複雑な仲介業者ネットワークを通じて所有・運用し、責任の所在を曖昧にしている。
5. 米ドル清算網を避けた決済
◦ 米国の国際決済網(ドル取引)から排除されているため、人民元建て取引や小規模な地方銀行、非正規の金融ネットワーク、暗号資産などを介して資金を回収している。