2026年7月、英国政府は新法制定を通じて、中国の敬業集団(Jingye Group)が所有していた英国鉄鋼大手ブリティッシュ・スチール(British Steel)を完全国有化(公有化)した。
2020年の敬業集団による買収から約6年で起きたこの劇的な完全国有化について、英国政府の背景・理由と、中国側(敬業集団および中国政府)の反発・対応を整理する。
1. ブリティッシュ・スチール国有化の概要

• 決定内容:2026年7月15日〜16日、英国政府は「2026年鉄鋼産業(国有化)法(Steel Industry (Nationalisation) Act 2026)」を成立・施行し、ブリティッシュ・スチールを完全な政府所有(企業・通商相が唯一の株主)とした。これにより敬業集団は所有権を完全に剥奪された。
• 所有権の完全取得:英国政府は以前から同社のスカンソープ(Scunthorpe)製鉄所の運営介入を行っていたが、今回の措置により経営権だけでなく会社全体の所有権を公式に接収した。
2. 英国政府が国有化に踏み切った背景と理由

英国政府が民間(外国資本)企業である同社の強制取得に踏み切った背景には、安全保障上の危機感と莫大な財政負担があった。
① 国家安全保障と「一次鋼」製造能力の維持
ブリティッシュ・スチールのスカンソープ製鉄所は、鉄鉱石から新しい鋼材を作る英国最後の大規模高炉(一次鋼製造拠点)を有している。敬業集団が採算悪化を理由に高炉の閉鎖や大幅な人員削減(最大約2,700人規模)を試みたため、政府は「高炉が失われれば、防衛・建設・エネルギー・輸送など重要インフラに必要な鋼材を100%国外依存することになる」と判断した。
② 膨らみ続ける政府の資金投入と交渉破談
同社は長年巨額の赤字を垂れ流しており、政府は事業維持のために莫大な資金を投じていた(2026年1月時点で3億7,700万ポンド、2026年半ばには6億ポンド超)。敬業集団との間で納税者に配慮した形での事業引き継ぎや支援条件の交渉が平行線を辿り、売却・再建交渉が破綻したため、法的強制力を用いた国有化を選択した。
③ 補償額をめぐる見解(商業価値「実質ゼロ」)
英国政府は「同社の現在の商業価値は実質的にゼロである」との見解を示しており、敬業集団への支払額が無補償(ゼロ)となる可能性も否定していない。ただし、2026年秋以降に独立した評価人が最終的な補償の有無・額を決定する手続をとるとしている。
3. 中国側の対応と反発

英国政府の「国家安全保障」を理由とした強制的な国有化に対し、親会社であった敬業集団と中国政府は強く猛反発している。
① 敬業集団(Jingye Group)の対応
• 「違法な接収」との非難:買収以降、数億ポンド(12億ポンド超とも言及)の巨額資金を注ぎ込んで雇用と操業を維持してきた貢献を完全に無視されたと批判。「実質ゼロ」とされる補償案を拒否し、英国政府の行為を「国際法規・法秩序への重大な違反」と糾弾した。
• 国際仲裁・法廷闘争の開始:一切の妥協をしない構えを見せており、中英二国間投資協定(BIT)に基づく協議を開始した。補償全額の回収を目指し、国際仲裁裁判所への提訴を含めた対抗措置(法的手続き)を進める方針を表明してる。
② 中国政府(商務省・外交部)の対応
• 商務省の声明(7月17日):「国家安全保障を口実とした強奪行為であり、強く反対・非難する」との声明を発表。中国企業が自らの正当な権利を守るための法的措置を全面的に支持すると指示した。
• 外交部の警告(7月18日):「英国における中国投資家の信頼を深刻に損なう」と強く警告。英国側に対し相互に合意可能な解決策を求めつつ、必要に応じて中国企業の利益を守るための対抗措置を辞さない姿勢を示している。
4. 主な整理(まとめ)
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経済的合理性(採算悪化)による閉鎖を望む中国親会社と、国家安全保障(主権的製鉄能力の維持)のためにそれを阻止したい英国政府の衝突が、最終的に国家による強制的な公有化(国有化)と国際的な法廷闘争へと発展したケースと言える。
外国(中国)が所有する企業を行き成り何の保証もなく接収してしまうという、中国ですらやらないような事をやってのける英国。まあ、それだけ切羽詰まった状況なのかもしれないが、ここまでやられると、流石の中国も戦争も辞さないという程の強硬な反撃をしていないのも不思議だ。
これぁ、日本も見習って、中国資本になった企業を行き成り接収してしまう‥‥とかやったら、中国はどうするのだろうか。