米連邦政府はニューヨーク市によるネタニヤフ首相の拘束・逮捕を絶対に阻止・無効化する立場を取る。トランプ大統領も「米国滞在中はいかなる形でも逮捕されることはない」と表明しており、法制度や治安権限の観点から見ても、地方自治体(ニューヨーク市警察:NYPD)が外国首脳を拘束することは不可能だ。
もしもニューヨーク市が実際に拘束に向けた動きを見せた場合、連邦政府がどのような法的根拠と手段で対応するのか、主なポイントは以下の通り。
🔷連邦政府が阻止する3つの法的根拠

・国連本部協定と外交特権 :国連総会に出席する各国首脳・代表団には不逮捕特権を含む高度な外交特権が認められている。ホスト国である米国政府には、彼らの安全な往来を保障する条約上の国際義務(1947年国連本部協定)がある。
・連邦法の優越(外交権限の一元化):米国憲法上、外交権限は大統領および連邦政府に独占されている。連邦法(18 U.S. Code § 112 など)では、外国要人の身体の拘束や通行妨害、外交活動の侵害を犯罪として定めており、市独自の判断で外国首脳を拘束することは明確な連邦法違反となる。
米国とICC(国際刑事裁判所)の関係:米国はローマ規程(ICC設立条約)の締結国ではなく、ICCの管轄権を認めていない。さらに米連邦法(米軍人等保護法・ASPA)などにより、地方自治体や国内機関がICCの逮捕状執行に協力することは制限・禁止されている。
🔷実際に拘束の動きがあった場合の連邦政府の現実的対応

仮にマムダニ市長が市警察(NYPD)に拘束を命令しようとした場合、連邦政府は即座に以下の実務的・司法措置をとる。
• シークレットサービス(Secret Service)等による警護権限の行使
訪米する外国首脳の身元警護は、連邦機関であるシークレットサービスや国務省保安局(DSS)が主導する。警護計画や身辺の安全管理は連邦側が最優先権限を持つため、市警察が接触・拘束しようとしても物理的に阻止さる。
• 司法省(DOJ)による差し止め命令の発出請求
司法省は直ちに連邦裁判所へ申し立てを行い、ニューヨーク市およびNYPDに対する「拘束手続きの禁止令(差し止め命令)」を取得する。連邦裁判所の命令に従わない場合、市側(市長や警察幹部)が法廷侮辱罪に問われることになる。
• 大統領・国務省による強制介入
安全保障上の緊急事態として、大統領命令により連邦機関の権限を完全優先させ、市警察の関与を即座に排除します。
背景と実務上の位置づけ
マムダニ市長の「拘束検討」発言は、法的に執行可能な警察行動というよりは、急進左派の支持層に向けた象徴的な政治的アピールという側面が強いと見られている。過去にも州知事や法学者から「市長にそのような権限はない」と指摘されており、米イスラエル関係を根底から揺るがすような「首相の拘束」が現実の事態として発生する可能性はないと断言できる。