中国工作員が米関税批判など世論操作でチャットGPT利用していた





米オープンAI(OpenAI)の報告書により、中国の工作員らが同社の生成AI「ChatGPT」を悪用し、米国の関税政策への批判や、AIデータセンター建設に対する反対世論を煽る「世論操作(影響工作)」を行っていたことが明らかになった。

この件について、主なポイントを整理する。

🔷事件の概要
• 判明の経緯:OpenAIが公表した脅威報告書(2026年6月発表)で暴露された。
• 時期:2025年後半から2026年初頭にかけて活発に行われていた。
• 目的:米国内の政治的分断や政策論争に介入し、トランプ政権の通商政策(対中関税など)を批判すること、そして米国のAIインフラ開発を足止めすること。

🔷展開された「2つの世論工作」
OpenAIの分析によると、工作は主に2つの異なるキャンペーン(クラスター)に分かれていた。

① 米関税政策の批判(テック・アンド・タリフ)
トランプ大統領が発表した中国製品への追加関税措置(2025年10月頃)のタイミングに合わせ、ChatGPTを使って批判的なスローガンや風刺画を作成していた。

• 具体的な内容:トランプ氏が「グローバルな未来」と書かれた壁をハンマーで叩き壊したり、自分が乗っているはしごを自ら切り落としたりするような風刺画をAIで生成し、X(旧Twitter)などで拡散した。

• 奇妙な指示:AIへの指示文(プロンプト)の中に、「中国の習近平国家主席は描写から除外するように」という明示的な指定が含まれていた。

② AIデータセンター開発の妨害(データセンター・バンドワゴン)
OpenAIは、この工作の背後に「中国政府関連の業務を行う中国のテック企業」が存在していたことを突き止めている。

• 具体的な内容:米国内で建設が進むAI向けのデータセンターを標的に、「データセンターのせいで一般家庭の電気料金が高騰する」「莫大な電力を消費して市民に害を与える強欲な利益追求者だ」といった反発を煽るコンテンツを大量に生成していた

🔷工作の手法と「なりすまし」
工作員たちは、中国国内からのアクセス禁止を潜り抜けるためにVPN(仮想プライベートネットワーク)を使い、以下のような巧妙なインフラを構築していた。

• ペルソナ(偽人格)の作成:米国の学生、労働者、保護者などになりすましたアカウントをSNS上に多数作成。

• 自動化スクリプト:ソーシャルメディアへ自動ログインして投稿するためのプログラムを準備していた。

OpenAI主任調査官 ベン・ニモ氏の指摘:「米国のAI(ChatGPT)を使って、米国のAIや技術政策を攻撃するという矛盾した構図が生じている」

🔷工作の結果
これだけ精巧な準備をしていたものの、結論から言うと「世論を動かすほどの効果はほとんどなかった」と評価されている。

生成されたコンテンツに対する一般ユーザーからの反応(自然なエンゲージメント)はごくわずかで、米国内の広範な議論に影響を与える前に、OpenAIによって関連アカウントが検知・遮断(バン)された。

まとめ
今回の事件は、外国の勢力が他国の政治的分断や身近な不満(電気代など)を突くために、生成AIを「安価で大量のプロパガンダを作る道具」として本格的に試行している現状を浮き彫りにした。