イラン国内で生活基盤が崩壊し、一般国民が命の危険にさらされている一方で、特権階級(エリート層)がその二重基準(ダブルスタンダード)によって激しい批判を浴びている。
「ジハード(聖戦)は単なる見せかけではないか」という疑問は、現在のイラン国民が抱いている怒りの核心であり、この世俗的・構造的な実態について、いくつか重要なポイントを整理する。
1.「アガーザーデ(特権階級の子供たち)」の存在
イランでは、高官の子供たちは「アガーザーデ(Aghazadeh)」と呼ばれている。彼らは国民に「欧米は敵であり、質素なイスラム的生活を送るべきだ」と説く指導者たちの裏で、以下のような生活を送っている。
• 敵国での豪遊:米国、英国、カナダ、オーストラリアなど、政府が公式に「敵」と呼ぶ国々に留学し、高級マンションに住み、スーパーカーを乗り回す姿がSNS(Instagramの「Rich Kids of Tehran」など)で度々暴露されている。
• 世俗的なスタイル:国内では女性にヒジャブの着用を厳格に強制しながら、国外にいる娘たちがノーメイクや露出の多い服装でパーティーを楽しむ写真が流出し、国民の怒りに火をつけてきた。

2.資産の海外逃避
経済制裁によって国民が外貨不足とインフレに苦しむ中、指導層に近い人物たちが国富を私物化し、海外へ送金している実態がある。
• 二重国籍と永住権:多くの高官の親族が欧米の市民権や永住権を保持しており、いざという時の「逃げ道」を確保している。
• 資金洗浄:カナダの不動産市場などは、イランからの不正資金の避難先になっていると長年指摘されており、今回の軍事緊張局面でも、資産の海外移転が加速しているとの見方がある。
3.「ジハード」の空洞化
国民の目には、指導部が語る「反米・反イスラエル」のレトリックや「ジハード」の呼びかけが、自らの利権と権力を守るための「盾」として利用されているように映っている。
• 犠牲になるのは一般国民:戦場に送られたり、空爆で家を失ったり、制裁の直撃を受けるのは、海外に逃げ場を持たない貧困層や中間層だ。
• 統治の道具としての宗教:宗教的な情熱を煽ることで国民を統制しようとする一方で、指導層自身の生活が極めて世俗的で腐敗していることは、体制の正当性を根本から揺るがしている。
結論としての視点
イラン国民の多くは、もはや政府が掲げるスローガンを信じていない。彼らにとって、真の敵は国外の勢力だけでなく、「国民に犠牲を強いつつ、自分たちだけは西洋的な贅沢と安全を享受している国内の支配層」であるという認識が、近年の大規模な反政府デモの原動力となっている。
「ジハード」という言葉が、支配層の腐敗を隠すための「見せかけ」や「プロパガンダ」に変質してしまっている状況は、現在のイランという国家が抱える最大の矛盾と言える。
ところで、幹部の腐敗と海外への逃避準備というのは中国とまるで同じだ。結局、独裁政権の腐敗はどこも同じという事だ。