中国は石油の約7割以上を輸入に頼っているのは誰でも知るところだが、実は意外にも石油埋蔵量は世界的に見ても小さくないのだった。
自国の掘削量(生産量)が伸び悩み、輸入依存度が高まっているのには、主に「地質的な難しさ」「コストの問題」「爆発的な需要増加」が理由となっている。
1.採掘条件が極めて過酷(地質的要因)
中国にも巨大な油田は存在するが、中東や北米の油田に比べて採掘のハードルが非常に高いのが特徴だ。
• 老朽化した既存油田: 中国最大の「大慶油田」などは発見から60年以上が経過しており、自然に石油が噴き出す力が弱まっている。現在は水を注入して無理やり押し出すなど、手間のかかる手法が必要になっている。
• 複雑な地層構造: 新たに有望視されているタリム盆地(新疆ウイグル自治区)などは、地下5,000〜8,000mという極めて深い場所に油層がある。また、地層がバラバラに断絶していることが多く、一本の井戸を掘っても効率よく回収できないという技術的な難しさがある。
• 海洋油田の技術とリスク: 南シナ海などの海底にも埋蔵が期待されているが、深海での掘削技術がまだ発展途上であることや、周辺国との領有権問題などの政治的リスクが開発の足かせになっている。
2.「掘るより買ったほうが安い」経済合理性
石油の採掘には、技術力だけでなく膨大なコストがかかる。
• 高コストな生産: 前述のような過酷な環境(深層や砂漠地帯)で掘削を行うと、1バレルあたりの生産コストが跳ね上がる。
• 国際価格とのバランス: 国際市場での原油価格が一定以下の場合、自国で苦労して掘るよりも、中東やロシアから輸入したほうが経済的に合理的であるという判断が働く。そのため、国内生産は「増産」よりも「現状維持(年産2億トン程度)」を目標にする傾向にある。
3.需要の伸びが生産を遥かに上回っている
最大の理由は、掘削量が少ないこと以上に、中国の消費量が大きすぎることにある。
• 経済成長とモータリゼーション: 中国は世界最大の自動車市場であり、物流や化学工業などのエネルギー需要が激増した。
• 埋蔵量と消費のギャップ: 埋蔵量こそ13位だが、消費量はアメリカに次ぐ世界2位であり、自国の埋蔵量だけでこの巨大な需要を賄うのは物理的に不可能であり、結果として「輸入せざるを得ない」状況が続いている。
中国の戦略:石油から「電気」と「備蓄」へ
この高い輸入依存度は安全保障上のリスク(シーレーン封鎖など)となるため、中国は現在、以下の対策を強力に進めている。
① EV(電気自動車)へのシフト: 石油消費の多くを占めるガソリン車を減らし、国内で自給可能な電力(石炭、再エネ、原子力)で動くEVを普及させることで石油依存を脱却しようとしている。
② 戦略石油備蓄の積み増し: 万が一の輸入停止に備え、現在、中国は世界最大級の石油備蓄基地を建設し、数カ月分の輸入量をカバーできる体制を整えている。
③ 内陸パイプラインの整備: 海上ルートに頼らず、ロシアや中央アジアから陸路で石油・ガスを運ぶルートを強化している。
中国が世界で最もEV推進に力を入れている背景には、こうした「自国の石油事情」という切実な事情が隠されているのは、既に多くの知るところだ。
ところが、そのEVには多いな問題もあり、この面でも中国は大いなるジレンマに悩まされている。
もうこの際、自転車軍団に戻るしかないかな。