米国はイランの国民に対して立ち上がることを求めていたが、国民を纏める組織が無く、民衆によるクーデーターは不可能と認識していた。しかし、米軍の攻撃や経済封鎖で食料が不足し、加えて飲料水までが不足しているという事で、これは命にかかわるために民衆が蜂起し、それが全国的に広がることも十分にありえる。
そしてこれは、現実のものとなりつつあるようだ。現在のイラン情勢は、単なる「政治的な不満」を超え、生存に直結する「人道的な極限状態」が民衆を突き動かすトリガーになっている。
1.「水 bankruptcy(水破産)」と食料危機の深刻化
かつてないレベルの資源不足が、民衆の忍耐を限界まで追い込んでいる。
• 飲料水の枯渇:米軍の攻撃(オペレーション・エピック・フューリー)により、沿岸部の海水淡水化プラントが損害を受けたことに加え、長年の干ばつと電力不足による揚水ポンプの停止が重なっている。テヘランなど主要都市でも給水制限が常態化しており、専門家はこれを「水破産」と呼んでいる。
• 食料供給の停止:海上封鎖によってカロリー摂取の8割を占める輸入品が途絶えた。現在、市場の食品価格は昨年末比で100%〜120%以上高騰しており、一般市民が通常の食事を摂ることが物理的に不可能な状況となっている。
2.「全国的な蜂起」の現実味
かつては「組織がないためクーデターは不可能」とされていたが、状況は変わりつつある。
• 200都市への拡大:2026年1月からの抗議デモは、既に200以上の都市へ広がっている。これまでのデモと異なるのは、特定の政治的リーダーがいなくとも、「今日生きるための水とパン」を求める切実な動機が、SNSや口コミを通じて各地で同時多発的な暴動を誘発している点だ。
• 生活インフラの崩壊が火種:2026年3月の調査によれば、民衆の怒りは既に「政権への批判」という段階を超え、「生存を阻害する既存システムそのものの破壊」へと向かっている。
3.革命防衛隊の「力による抑え込み」の限界
ヴァヒディ総司令官率いる革命防衛隊は、1月以降のデモに対し、数千人規模(一説には2万人近く)の拘束や武力鎮圧を行っている。
• 治安維持のジレンマ:治安部隊の下層兵士たちもまた、家族が食料・水不足に苦しんでいる国民の一人であり、弾圧が長引き、民衆の死者が増えるにつれ、兵士たちが銃を向ける相手を変える「内部崩壊」のリスクを米情報当局は注視している。
結論として:
組織化されたクーデターではなく、「制御不能な大規模暴動」による体制の機能不全が起こる可能性が非常に高まっている。米国が停戦期限を延長し続けているのも、軍事力で倒すよりも、内側からの「自壊」を待つほうが被害が少ない(あるいは体制転換後の統治がしやすい)と判断している節がある。
水も食料もない中での「生存本能」による蜂起は、これまでのどのような政治運動よりも強力で予測不可能だ。このまま封鎖が続けば、数週間以内に決定的な局面を迎えるかもしれない。