イラン内部の政権争いは熾烈となり、米国との交渉に望んでいた穏健派が革命防衛隊に排除された事から停戦交渉が延期され、これに対応して米国も停戦期限を延長した。
最新のイラン情報を整理すると、革命防衛隊(IRGC)による主導権争いと、米国の停戦期限延長が複雑に絡み合っている状況だ。
1.イラン内部の権力闘争と「二重の外交」
現在、イラン国内では実質的な統治権が革命防衛隊(IRGC)へ急速にシフトしており、外交当局との間に深刻な乖離が生じている。
• 穏健派・外交当局の無力化:4月17日にはアラグチ外相が「ホルムズ海峡は商船に対して完全に開放されている」と表明したが、翌18日には革命防衛隊海軍が商船を攻撃し、「いかなる国籍の船も通航を認めない」と宣言した。この矛盾は、交渉を望む政治部門が防衛隊によって事実上排除、あるいは無視されていることを裏付けている。
• 強硬派内の対立:革命防衛隊内部でも、アハマド・ヴァヒディ司令官ら「完全対決」を主張する派閥と、ガリバフ国会議長(元防衛隊将軍)に近い「生存戦略としての交渉」を視野に入れる派閥の間で、統一された提案をまとめられずにいる模様だ。
2.米国の対応:停戦期限の「無期限」延長
これに対し、トランプ政権は4月21日の期限を前に、「イラン側が統一した提案を提出するまで」という条件で、停戦期限を事実上無期限に延長することを発表した。
• 米国の狙い:この延長は寛容さの表れではなく、混乱するイラン政権内の「誰が真の交渉相手か」を見極めるための時間稼ぎと見られている。米国は現在もイラン主要港への海上封鎖を継続しており、経済的・軍事的圧力を維持したまま、イラン内部の自壊や明確な提案を待つ構えだ。
• 交渉の停滞:4月21日にパキスタンのイスラマバードで予定されていた第2回交渉は、イラン側が参加を確認できず、統一案も提示できなかったため、延期(事実上のキャンセル)となった。
3.現状のまとめ
現在のイラン情勢を一言で言えば、「決定権の空白」だ。

イラン内部で革命防衛隊による「実力行使」が先行しているため、文民政治家による停戦合意は極めて困難な情勢となっており、今後、防衛隊内部のどの派閥が最終的な意思決定を握るかが最大の焦点となる。