イラン革命防衛隊(IRGC)における給料未払いや食料不足の噂は、現在(2026年4月時点)のイランが直面している極めて深刻な経済的・軍事的危機に端を発している。
主要な要因を整理すると、以下の3つのポイントに集約される。
1.「12日間戦争」と軍事衝突による経済崩壊
2026年3月初頭に発生した米国・イスラエルによる対イラン軍事作戦(エピック・フューリー作戦など)により、イランのインフラ、特に外貨獲得の命綱である石油関連施設や輸送ルートが甚大な被害を受けた。
• 輸出の停止:ホルムズ海峡の封鎖や空爆により石油輸出が事実上ストップし、政府収入が激減した。
• ハイパーインフレ:2026年3月末時点でポイント・ツー・ポイント(前年同月比)のインフレ率は71.8%に達し、食品インフレに至っては100%を超えている地域もある。これにより、軍の予算で購入できる物資の量が物理的に激減した。
2.資源の「ミサイル優先」配分
現在、革命防衛隊の内部では、限られたリソースをどこに投入するかという深刻な葛藤が生じていると報じられている。
• 技術維持の優先:報道(ISWなど)によると、IRGCの指導部は兵士への給料や食事、個人装備よりも、ミサイルシステムなどの高度な兵器を稼働状態に保つための技術部品の確保を優先しているとされている。
• 軍内部の格差:伝統的に優遇されてきたIRGCの精鋭部隊でさえ供給不足に直面しており、正規軍(アルテシュ)との間では食料や水、医療資源を巡る対立(IRGCがアルテシュへの支援を拒否するなど)も表面化しているという情報がある。
3.国家予算の枯渇と給料の遅延
イラン政府は巨額の予算赤字(1,800兆トマン(約1兆8,000億円)規模との推計)を抱えており、公務員や軍人への支払いが滞っている。
• 支払額の削減:一部の報道では、現金フローの管理のために、以前の給与水準の40%程度しか支払われていないケースや、数週間の遅延が常態化しているケースが指摘されている。
• 士気の低下:こうした待遇の悪化により、予備役の招集に応じない者が増えたり、前線部隊の士気が著しく低下していることが、中東情勢を分析する専門家の間で懸念されている。
結論として
「給料未払いや食料不足」という話は、単なる噂ではなく、軍事衝突に伴う経済封鎖と、国家が「兵士の生活」よりも「兵器の維持」を優先せざるを得ないほど追い詰められている現状を反映したものと言える。
かつてはイラン国内で最も特権的な地位にあった革命防衛隊でさえ、肉が「贅沢品」となり、日々の食料確保が課題になるほどの異常事態に陥っている。