TOYOTA JPN Taxi
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トヨタのタクシー専用車である Jpn Taxi はお台場にあるトヨタのくるまテーマパークのメガウェブで専用コースとはいえ試乗が出来る。このクルマのディーラー試乗車は先ず無いだろうから、これはチャンスとばかりにチョイ乗りをしてみた。

最初にコース上で見たクルマは思いの他小さいが、考えてみれば最近珍しい5ナンバーサイズだから当然なのだが、今までタクシーの代名詞だった同じ5ナンバーのコンフォートと比べると見た目がかなり小さく見える。ドアを開けると何やら殺風景なダッシュボードだ。エンジンは今時珍しいステアリングコラム右側面に金属キーを挿入してこれを右に捻るという懐かし方式で始動する。

これにより正面の小さな長方形のディスプレイに灯が灯る。AT のセレクターは小型ミニバンみたいなインパネシフトで、直線パターンのDの手前にBがあるという、典型的な安物丸出しのパターンだが、経済性と信頼性を旨とするタクシー専用車だからこれで充分だろう。室内にはこれ以外には何も無く、展示車に付いていたタクシーメーター等は無いのは当然だが、それが無いから本当に殺風景だ。

やがて出発の合図によって走り出し直線路で加速すると、これが思いの外トルク感もあり加速も結構良い。Jpn Taxi はハイブリッド車であり、エンジンは 1.5L 74ps でモーターは 61ps システム出力 100ps で、これはアクアと同じだ。ただし燃料がガソリンでは無く LPG という大きな特徴がある。

直線が終わって左に90°曲ってから噴水の周りを大きく180°ターンするが、速度は遅いとはいえその挙動は思った程は悪く無い。最後に90°右にターンして直線に入るのだが、ここで少し速目に旋回してみたが‥‥うん、まあまあだが、やはりイマイチ不安で思いきった速度は無理だった。

直線でのフル加速は思いの他強力で、パワー不足のクルマだと次の信号迄に制限速度の40q/h 出すのがやっと‥‥何て例もあるが、Jpn Taxi は思いの外低速での加速が良く、注意していないと一瞬50Km/h 位まで速度計の数値が上がる位だ。これなら街中でのタクシーとして必要な速度域での加速は充分であり、これはモーターの特性や変速機のギア比を上手く制御していと想像でき、この辺はトヨタの HV に関する経験の深さが生きている。

次にスラロームを通過するが、まあこんなクルマだからある程度速度は抑えての進入だが、これもアンダーステアは結構感じるが意外に危なげ無くクリアした。そこから狭くクネクネしたコースをユックリと走って行くが、この時気が付くのは5ナンバーサイズの狭い幅と短いボディー、そして高目の着座位置、更には今時珍しいフェンダーミラーによって、この狭いコースでも実に取り回しが良いという事だ。これなら都心の一部にあるような極狭な道路でも何とかなりそうだ。

そしてブレーキは‥‥極普通のフィーリングで、このクルマが HV で有る事を考えれば恐らくトヨタ車に共通の電子制御ブレーキを装着していると思われるが、そのフィーリングは極々普通で、これなら街中での使用が多いタクシーでも安心してブレーキが踏める。

トヨタが長年研究していたタクシー専用車として満を持して発売した Jpn Taxi は流石にその目的にシッカリと合致していた。なおこのクルマは一般用にも販売するというから、家族にクルマ椅子の使用者がいる場合の、いわゆるチェアキャブとしては使い易いかもしれないが、問題は車両価格が高い事(300万円代)と燃料 (LPG) の入手性が悪い事だろう。

なおの内外装の写真については 4月4日からの日記を参照されたい。

注記:この試乗記は2019年4月現在の内容です。