Nissan March 後期型 前編
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日産のBセグメント車マーチは2010年に4代目(K13系)へとFMCされたが、このモデルはタイで生産されたて日本に輸入するということで品質などの不安もあったが、とりあえず大きな問題も聞かれないから、仕上げなどの見かけの悪さは多少有るにしても、一応海外生産化は成功と言ってもよさそうだ。因みに2012年の国内販売台数は約4万台だから、月平均では約3,300台であり、一般的に乗用車の採算ラインは3,000台/月といわれていることから、この面でもまあ失敗ではない、ということだが、言ってみれば何とかセーフという訳で、やはりもう少し売れて欲しいだろう。参考にライバル(だった)ヴィッツの2012年販売台数は106,000台だった。

そのマーチがモデルライフ中間でのマイナーチェンジを実施して後期型になったのが8月で、最大の変更点は可愛らし過ぎたフロントフェイスを少し改めて、女子供のみならず大の男が乗っても恥ずかしくないクルマに変身した(筈だ)。そして今回のMCでの目玉はニスモによりチューンされた1.5Lエンジンを載せたMarch NISMO Sであり、FMCで途絶えていた先代のSRに匹敵するマーチのホットハッチが発売されたのは、物好きなマニアにとっては大いなる話題となるわけで、当サイトでも既に写真を主として日記で内容を紹介している。そこで、同クラスのライバルであるヴィッツRSを含めて、標準のマーチS、そして同じニスモでもSの付かないモデルであるMardh NISMOも加えた一覧表から検討していく。

  

スペック上でのMarch NISMO SとVitz RSは、サイズ、エンジンスペックとも結構似ている。そしてVitz RSのエンジンは実は実用1.5Lモデルである1.5U(161万円、CVT) と全く同じエンジンであり、かたやMarch NISMO Sもニスモチューンとは言うものの、ベースとなるHR15DE(ウィングロード1.5などに使用)の109ps 15.1kgf-mに毛が生えた程度のチューニングアップということになり、それでもVitz RSよりも多少はアドバンテージがあるのは、トヨタ得意の後出しジャンケンのお株を日産に盗られたという感じではある。

今回試乗した1.2LはMC後とはいうものの、外観上はフロントの顔つき以外は前期型発売当時にこの簡易試乗記でも扱ったものと殆ど変わらないこともあり、それだけでは寂しいのでNISMO Sとの比較を主体に内外の紹介をしようと思っている。実はCVT版のSでないNISMOは、エンジンは1.2Lそのままであり、言ってみればベースになるX(125.3万円)に多少スポーティーな内外装を付けた、言ってみればナンチャッテNISMOなのだが、約30万円出してNISMOを買うメリットがあるかどうかというのも結構興味深いところだ。クルマ好きのオトウサンとしては、街乗りのセカンドカーとはいえ自分で乗るならMTのNISMO Sが欲しいところだが、価格差云々の前にMTでは女房や娘は勿論、息子でさえ運転できない、なんていう事態も想定して、ナンチャッテNISMOの満足度はこれ如何に、ということろか。

NISMO Sのエクステリアは、当然ながら標準のマーチに比べればスポーティーというか派手となってはいるが、実際には思ったほどにはケバくは無く、これならばオッサンが乗っても恥ずかしいとうことも無さそうだ。


フロントバンパーは完全に別部品となっている。


リアバンパーも全く別もので、更にはルーフラインに繋がるスポイラーも付いているが、これは結構大人しいデザインなので、オッサン(いや、今やジジイか?)にとってはホッとするところだ。



ホットハッチとしては”お約束”の排気管は1本出しではあるが、クロームメッキの太くて立派なヤツ(何やら表現が卑猥だが)が覗いている。それに比べて標準モデルのセコいこと! まあ、NISMO Sとて、出口にだけ格好良いマフラーカッターが付いているだけで、実際の排気口は標準と大して変わらない見かけだけなのだが、その見かけでは圧倒的に差がつく。


他にNISMO Sのエクステリア上の特徴としては、赤く塗装されたサイドミラーがあるが、まあ、だからどうした、というものではあるが。


NISMO Sのボディサイドにはアンダースポーラーが付いていて、特に最下段のグレーに赤いラインの入ったパーツなんて一体何の役に立つのだろうという疑問もあるが、左下の標準モデルのボディ側面のダサいの比べて、見かけは大いに改善されているのは間違いない。

フトントとリアにあるNISMO Sのエンブレムは、当然何の役にも立たないが、これもNISOMOだゾ〜っという主張にはなる(たぶん)。そして、写真は"NISMO"に加えて別部品のSとともにNIOMO Sとなるが、要するにAT版のNISMOの場合にはSが付かないだけで、エンブレムを共有することで、シッカリとコストダウンをしている。実はこの"NISMO"はジュークNISMOにも付いているから、何のことはない、ジュークからの使い回しだった。

ところで、Sの付かないMARCHI NISMOのエクステリアだが、エアロパーツは概ねNISMO Sと同一のようだから、外観上はなんちゃってNISMOの資格十分のようだ。ただし、エンジンが違うこともあり、エキゾーストシステムは1.2Lと同じだから、排気管の見栄えが違うことも考えられる。

NISMO Sの最大の魅力は見るからにサポートの良さそうなシートで、これだけで室内が安物のベーシックなコンパクトカーから、スポーツハッチに変身する。

 

そのNISMO Sのシート表皮は現物を見る限りでは一見アルカンターラ風だが、実はクロスのようだ。そして、写真のNISMO Sのシートはぶっちゃけ既に発売されているジューク NISMO からの流用のようだが、しかし日産のサイトで公開されているNIOSMO Sでは、これとは違うシートが写っている。ということは、実際にデリバリーされてみないと、本当のところは判らないことになる。

1.2Gの場合はカタログにはスエード調トリコットと記されているクロスで、実は色以外はNISMO Sのシート表皮と同じようにも見える。それでSの付かないCVT版1.2LのNISMOでもMISMO Sと同じシートが付いてくるのかと思って調べてみたらば、どうも違うらしく、Sと同じ只のスエードで形状も標準のマーチ1.2L と同じ、すなわちスポーツバケットシートではないらしい。ところで今回試乗したのは上級グレードに当たるマーチ Gで、141.8万円という価格はSではない"素のNISMO"の154万円に比べて約12万円しか違わず、言い換えればNISMOのシートがNISMO S程のように本格的でないのは、価格的に当然でもあった。

マーチのシート調整はNISMO SもベースグレードのSでも全て手動で、カタログで調べたが、パワーシートはオプションにも無かった。シートの調整方法は極オーソドックスで、力を必要とする上下調整は長目のレバーを使うのもセオリー通りで、ベースグレードでも上下調整が付くのは最近の良い傾向だ。以前は廉価グレードは上下調整が出来なかったから、小柄のおばちゃんは前が良く見えないので、厚いクッションを敷いたりして対応していたが、そのクッションのお陰てサポートもクソもなかったり、低いシートに直接座って視界不良のまま運転していたりと、もうメーカーの安全ポリシーを疑うようなクルマが、各メーカーから当然のごとく発売されていたが、当時に比べれは随分とマトモになったものだ。

ドアトリムについては基本的には同一だが、アームレスト上にあるパワーウィンドウスイッチのパネルが、1.2Gではシルバーであるのに対してNISMO Sはピアノブラックとなっているが、(マーチとしては)ラグジャリー版のGがスポーティーなシルバーで、スポーツバージョンのNISMO Sが豪華に見えるピアノブラックというのは、何やら逆のような気がするが。

一番ベーシックなSについては、シート表皮が安っぽくなるとか、ドアインナートリムのアームレストやドアノブがプラスチックの素材色だったりと、ソレナリに差別化されている。しかし、マーチというクルマの性格からして、このSというグレードが一番合っているような気もする。

 

インパネについてはNISMO Sは1.2Gとほぼ同じで、センタークラスターのパネルはピアノブラックで、エアコンは標準でフルオートタイプが装着される。これがベースモデルの1.2Sではエアコンがマニュアルとなり、パネル自体もブラスチック丸出しとなる。なお、オーディオについてはマーチは全モデルでオーディオレスだから、CDラジオやナビ一体など、何れにしてもディーラーオプションか街のカーショップで後付することになる。

内装については、NISMO Sはシートを除けば今まで見てきた限りでは1.2Gと大きな違いはなさそうだが、NISMO Sの場合は走り重視だから操作系の違いが当然有るわけで、次にその操作系について紹介する、

ということで、続きは後編にて。

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