SUZUKI SWIFT SPORT (MT) 前編 ⇒後編 ※検索エンジン経由でノーフレームの場合はここをクリックしてください。
初代スイフトはワゴンRのプラットフォームを使い、サイドパネルはKeiと同じという、軽自動車ベースのクルマとして2000年に発売された。 そして2003年のMCで追加されたのがスイフトスポーツで3ドアボディーにオーバーフェンダーとエアロパーツ、レカロシートに加えて、1.5L 115psのエンジンを搭載し た本格的なスポーツモデルだった。 とはいえ、軽自動車ベースのプラットフォームに115psエンジンでは完全にシャーシーが負けていたようで、本気で走るマニアの間ではボディの補強や足回りの強化は当然といわれていた。 2代目スイフトは世界戦略車として開発されたもので2004年に発売され、軽自動車ベースの初代とは打って変わってその走行性は充分に評価できるものだった。 この2代目にも2005年にはスポーツが設定され、エンジンはジュニアWRCのレギュレーションに合わせて1.6L(125ps)が搭載された。このモデルは2007年にはジュニアWRCでドライバーズチャンピオンを獲得したこともあり、今でも街中でラリーカーのレプリカを目にすることがある。 そして、今回の3代目はベースのスイフトのFMCから約1年遅れで発売されたもので、エンジンは1.6LのM16Aと変わりはないが細かい改良によりパワーもトルクもアップしている。これら3代に渡るスイフトスポーツの緒元を下表で比較してみる。 今回の試乗車の塗装色はイメージカラーのチャンピオンイエローで、ハッキリ言っていい年こいたオヤジが乗るのは気恥ずかしいが、エクステリアはフロントのフォグランプやエアロパーツも比較的大人しく、ちょいと見た目ではオリジナルのスイフトと大きく変わらないから、シルバーやブラック、そしてホワイトパールなどならば、そんなに目立たないだろう。 オッサンとしてはKeiワークスに設定されていたグレーメタリックがあればより嬉しいのだが、残念ながら設定されていないようだ。 エンジンルームの中をファミリーグレードのスイフトと比べてみれば、当然ながら全く違うエンジンであり、性能的にも スポーツの1.6L 136ps/6,900rpm、16.3kg・m/4,400rpmに対して1.2L 91ps/6,000rpm、12.0kg・m/4,800rpmと30%以上も非力だから、両車は殆ど別のクルマといっても良い。
ドアを開けて最初に目に入るのは、両サイド が大きく張り出したスポーツシートで、特に座面よりもバックレストのサポートが強くなっている。 と、書いた後でスイフト XGのシートを見たらば、確かにサイドサポートは多少控えめだが、基本的には何だか似たような形状をしていたから、スイスポのシートが特別スポーツタイプという訳でもなさそうだ。 いやファミリーグレードのスイフトのシートが立派過ぎるのかもしれない。 シート表皮は欧州調のファブリックで黒い表皮に赤いステッチがアクセントを添えている。シート調整は全て手動だが、上下も調整できる。まあ、これは最近の国産車では当然だが。 ドアのインナートリムは部分 的にファブリックを貼ったりしているが、全体的にプラスチックっぽさが丸出しで、Bセグメントの低価格車がベースである という生まれは隠せない。 アームレストにあるパワーウィンドウのスイッチもやはりそれなりだった。
ダッシュボード等の大物は当然ながらオリジナルのスイフトと共通だから、安物コンパクトカーのレベルであるのは仕方がないが、それでも何とか高級(スポーティー)に見せようという努力は伝わってくる。 センタークラスターのオートエアコンもスイフトの実用モデルと同じだし、スタート/ストップボタンも当然流用で、その周辺のパネル類の安っぽさもコンパクトカーレベルとなっている。 見た目にはレカロ系のカチカチの座面が想像されるシートに座ってみると、意外にも表面の2〜3cmくらいは柔らかくて体のラインを保持し、その下の硬い部分で体全体が沈み込むのを防いでいるようなタイプで、言ってみれば最近のBMW的な座り心地だ。サイドのサポートもしっかりしているし、ちょと座った限りではこのシートは結構高得点を与えても良さそうだ。 シートの位置を合わせてからステアリングホイールの高さを調整しようとしてロックを外したら、グイッと前進したので、テレスコピック調整も出来ることが判った。出来の良いシートや、上下のみならず前後も調整できるステアリングホイールにより、ドライビングポジションは一応は思ったとおりの状態にセットできる。 そして、エンジンを始動するのだが、この先は後編にて。
⇒後編へ