11月20日に発表された新型スカイラインV36は初代から数えて12代目となる。スカイラインは先代V35から大きくコンセプトを変えたが、これにより古くからのスカイラインファンからの、V35はスカイラインではないという批判を結構耳にする。
それはある面では納得できる点で、実際に先々代までのスカイラインの型式はRで始まったのだから、R34の次はR35となることろがV35となった訳で、
この型式を見てもV35以降のスカイラインはコンセプトが違うのは間違いない。そして、今回のV36も先代の正常進化だから、当然R34以前のファンから見れば、
嘆かわしい事に変わりはない。古くからのスカイラインファンからはソッポを向かれ、中級以下のハイオーナーセダンはミニバンの押され、高級スポーツセダンはBMWを始めとする輸入車が伸びるなか、
スカイラインの国内販売は何ともパッとしなかった。郊外の住宅地を走れば、V35とすれ違うことは滅多に無いのに、BMW3シリーズとは頻繁に遭遇する。
そんなV35も米国ではインフィニティG35として、結構な成功を納めていた。
まずは下の表をご覧いただこう。
車種名 2005年 2004年 2003年
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LEXUS IS 15.8千台 10.0千台 13.6千台
LEXUS ES 67.6千台 75.9千台 65.8千台
INFINITY G 68.7千台 71.2千台 64.7千台
MERCEDES BENZ C 60.7千台 69.3千台 66.0千台
BMW 3er 107.0千台 106.5千台 111.9千台
AUDI A4 48.9千台 47.2千台 51.0千台
VOLVO 40series 24.2千台 25.5千台
VOLVO 50series 5.7千台 2.5千台
JAGUAR X-TYPE 10.4千台 21.5千台
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インフィニティG、すなわちスカイラインV35はレクサスの大黒柱でもあるES(ウィンダム)と同等の販売台数を維持している。
よく言われる、米国でのレクサスはベンツ・ビーエム以上の評価を得ていて、それを知らずに日本で異常に高い値付けの欧州車をありがたがるのは、
ブランド志向でクルマを知らない成金ユーザーだという例の話だが、FFカムリに豪華装備のESがBMWの真っ向ライバルに成るわけが無い。
ところが、この実績を見れば、ベンツ・ビーエムに代表されるドイツ製プレミアムセダンに対して、低価格と信頼性で真っ向勝負しているのは、
インフィニティGであった事が判る。
車種名 2005年1月 2月 3月 ・・・ 9月 10月 11月 12月
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LEXUS IS 453 428 439 468 2,563 4,447 4,518
LEXUS ES 4,487 4,583 5,706 5,060 4,507 4,637 6,770
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INFINITY G 4,783 5,984 7,228 5,472 4,708 4,986 6,221
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BMW 3er 7,033 7,181 7,555 8,693 10,719 10,273 10,592
MERCEDES BENZ C 3,548 4,020 4,901 5,050 4,625 4,858 9,805
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しかし、2005年の年間販売台数で比較したのでは、レクサスのISは旧型のアルテッツァだから、何やら作為的だと言うレクサス擁護派の声が聞こえる。
あれっ、去年まではレクサスISは欧米では以前からメルセデスCクラスやBMW3シリーズより人気がある、なんて本気で言ってたのに。
と、言う話は、まあ置いておいて、ISが新型となった05年末のデーターをみれば、ISもモデルチェンジと共に大きく販売台数を伸ばしている。
それでも、インフィニティGには何とか追いついたという程度で、米国の高級車ブランドでは天下のトヨタがニッサンに敵わないという事実に変わりは無い。
それにしても殆ど売れていなかったレクサスISを、あたかも欧米では人気も実力もBMW3シリーズ以上という世論を作ったトヨタに比べて、
実際には米国でBMW3シリーズに対して60〜70%の販売実績のあったインフィニティGの事実を国内で広めようとしなった日産の販売戦略は、もう少しなんとかならないのだろうか。
それとも、国内では昔からのスカイラインファンの事を考えて、あえて戦略的にインフィニティの事実を隠したのだろうか? |