昨年の新規開業の時には押すな押すなの大騒ぎで、マスコミも大々的に取り上げたレスサスというニューブランドも、半年経つと開業時に絶賛したマスコミもアッという間に批判的になり、レクサスは失敗だったと言い出した。そして、開業から1年遅れでやっと登場したレクサスの真打
であり本命にして最上級車種でもあるLSが遂に発売された。
B_Otaku の試乗記では昨年のレクサス開店直後にGS350/430を、1ヶ月遅れで発売されたISについても早い時期でIS250と350を取り上げてきた。
さらに話題のハイブリッド車GS450hも取り上げたので、トヨタブランド当時のソアラと事実上変わらないSCを除いてはレクサス車の一通りの試乗は実施したことになる。実は何を隠そうB_Otaku の試乗記でアクセスカウントがトップなのがIS250/350で2番はGS350/430となっている。
何故なのかといえば、例の巨大掲示板から度々リンクを張られているからで、レスサスは欧米ではベンツ・ビーエム以上のクルマなのに、日本の見栄っ張りな外車オーナーはレスサスを買わずに欧州車を買うという例のパターンに対して、それを否定するのに使われているようだ。
勿論、誹謗中傷もあるのは当然の成り行きだが、アクセスが増えることは悪いことでもないし、どこから来ようが数の中には常連さんになってくれる人だってい
るから、ここはひとつ、必要悪ということで否定するのは止めておこう。
さて、そんな訳で米国でさえISとGSはマイナー車種だなんてバラしてしまった責任を感じて、その後の状況も載せておこう。巨大掲示板では古いデーターを載せているのは作為的だなんて書いている奴がいたが、あの試乗記を発表し
たのは2005年の夏だから、その時点で05年の年間販売台数は判るわけが無い。
まあ、そんな事も判らない連中だということだが、とに角2005年の米国販売台数を見てみよう。 ブランド名
2005年販売台数 2006年販売台数
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レクサス 287.9千台 302.9千台
メルセデス 221.4千台 224.3千台
BMW(ミニを除く) 262.0千台 266.2千台
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ややっ!レスサスは前年よりも1万5千台も増えているではないか。対して、メルセデスもBMWも前年とほぼ変わらず。さて、レクサスは何が増えたのか?
車種名 2005年 2004年
2003年
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LEXUS IS 15.8千台 10.0千台 13.6千台
LEXUS ES 67.6千台 75.9千台 65.8千台
INFINITY G 68.7千台 71.2千台 64.7千台
SUBARU LEGACY 87.8千台 89.5千台
MERCEDES BENZ C 60.7千台 69.3千台 66.0千台
BMW 3er 107.0千台 106.5千台 111.9千台
AUDI A4 48.9千台 47.2千台 51.0千台
VOLVO 40series 24.2千台 25.5千台
VOLVO 50series 5.7千台 2.5千台
JAGUAR X-TYPE 10.4千台 21.5千台
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LEXUS GS 33.4千台 8.2千台 13.3千台
INFINITY M 24.0千台 2.1千台 4.8千台
ACURA RL 17.6千台 8.8千台 6.8千台
MERCEDES BENZ E 50.4千台 59.0千台 55.7千台
BMW 5er 52.7千台 45.6千台 47.0千台
AUDI A6 18.1千台 14.9千台 17.6千台
VOLVO 60series 24.7千台 27.8千台
VOLVO 70series 22.8千台 30.6千台
JAGUAR S-TYPE 8.9千台 11.0千台
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LEXUS LS 26.0千台 32.3千台 23.9千台
INFINITY Q 5.4千台 2.0千台 2.4千台
MERCEDES BENZ S 16.0千台 20.5千台 22.9千台
BMW 7er 18.2千台 16.2千台 20.5千台
AUDI A8 5.4千台 5.9千台 4.1千台
VOLVO 80series 10.2千台 13.4千台
JAGUAR XJ 8.3千台 10.6千台
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こうして見るとレクサスISが多少伸びている事と、GSが前年の4倍近くという大幅な増加をしている。
実はGSは日本ではレクサス店の新規展開に合わせて8月から発売されていたが、米国では05年の初めから既に新型が発売されていた。そこで05年の状況を細かく見てみると。
車種名 2005年1月 2月 3月 ・・・ 9月 10月 11月 12月
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LEXUS IS 453 428 439 468 2,563 4,447 4,518
LEXUS GS 502 3,612 3,209 2,739 2,345 2,619 3,431
LEXUS ES 4,487 4,583 5,706 5,060 4,507 4,637 6,770
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INFINITY G 4,783 5,984 7,228 5,472 4,708 4,986 6,221
INFINITY M 90 225 2,253 2,351 2,231 1,982 2,552
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BMW 3er 7,033 7,181 7,555 8,693 10,719 10,273 10,592
BMW 5er 3,278 3,794 3,947 4,137 4,880 5,185 6,396
MERCEDES BENZ C 3,548 4,020 4,901 5,050 4,625 4,858 9,805
MERCEDES BENZ E 2,725 2,596 3,608 4,544 4,670 3,884 6,334
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レクサスISは新型にモデルチェンジしたと思われる10月から急に販売台数が増えている。新車効果ということもあるだろうが、日本では散々だったISも米国では好評だったことになる。
この販売台数は06年の6月までのデーターを見ても大きく変わらずに数千台/月の売り上げを上げているから、ISの米国での好調は間違いない。と、いっても天下のトヨタがニッサンのインフィニティG35(スカイライン350)に追いついた程度だから大成功とは言えない。
このDセグメントの王者であるBMW3シリーズは相変わらず強いが、以前程の勢いはない。米国でもE90の人気はイマイチなのだろうか。このクラスで意外だったのはレガシィで、国産車の中ではトップどころかBMW3シリーズに迫るほどの売り上げを示している。
以上の事実を検証してみれば、新ISは日本のレクサス開店に合わせて旧アルテッツアより高級化したという事になっているが、実は主戦場である米国でBMW3シリーズの
市場に食い込むべく開発されたのではないかという疑問が湧く。すなわち、日本のCクラスや3シリーズのオーナーが見て同等以上だと感心して、
次はレクサスにしようと思わせる事は二の次で、米国人が見て3シリーズより魅力的に見えるようなクルマ創りを目指しているような気がする。レクサスが不振だと攻められて真っ青になっている実担当の関係者を横目に、実は経営陣から見れば、そんな事は既にお見通しなのではないか??
次にEセグメントに目を向ければ、長年の王者であったメルセデスEクラスがBMW5シリーズに追いつかれ、遂に追い抜かれてしまった。日本でも問題になったSBC(電子制御ブレーキシステム)の不具合が致命的だったようだ
し、ブレーキの問題以外でもチープになったメルセデスは、このクルマを購入する階層から見れば決して好評とはならないのも理解できる。
そして今回の主人公であるLSが属する高級車のグループであるFセグメントでは、レクサスLSは堂々の1位をキープしている。まあ、実際にはLSは価格的にはEセグメントに近かったから直接販売台数を比較すると状況を見誤る心配はあるが、高級車市場でトップなことは間違いない。
更に今回のLSは上級志向だし、来年早々には追加発売されるハイブリッドのLS600hで、今まで対抗車を持たなかったレクサスがS600や760iをライバルとする商品を揃えた事になるから、これは今後が楽しみだ。
このセグメントでも長年の王者であったメルセデスSクラスが遂にBMW7シリーズに抜かれてしまった。本来7シリーズは如何頑張ってもSクラスの半分程度のシェアしか
持てなかったのだが、ナマズのようだのマツゲが不気味だのiドライブが使い物にならないだのと言われた割には、現行のE65になってからはジワジワとSクラスを追い詰めて行き、遂に逆転した事になる。
メルセデスは一体如何なってしまったのだろう?とはいっても天下のメルセデスだから、このままジリ貧になるとも思えないので、近いうちに挽回策を練ってくるだろうが。 |