ハリアーハイブリッド (2006/2/24)
※この試乗記は2006年2月現在の内容です。現在この車種は新車販売が終了しています。

 


 

  
北米ではレスサスRXと呼ばれるハリアー。乗用車ベースのSUVブームを作った立役者。
更にハイブリッドシステム搭載という、これこそトヨタが世界に誇れるクルマだ。

バブル経済真っ盛りの1990年初頭。街には巨大なオフロード用4WDが我が物顔で走り回っていた。400万円のパジェロの生産が間に合わずに納期が半年等という今では考えられな い、ある面では良き時代だった。 実は何を隠そうB_Otaku は、ヘビーデューティなオフロードカーが大好きなのだ。
始めてこの手のクルマを知ったのは小学校くらいだっただろうか。同じくクルマの好きな父親が買ってきた自動車雑誌のグラビアに出ていたのが、 アマゾンの密林を踏破しているランドローバーだった。それ以来、心の中にはカッコ良いスポーツカーと同じくらい、本格的なオフロード車への憧れがあった。そして、時は過ぎて90年代になり、 世は徐々にオフロードカーブームとなった訳で、それなら本来街中で乗るのが恥ずかしいようなヘビーデューティなクルマでもOKかと思い、今がチャンスとばかりに長年の 夢だった本格的なオフロードカーの購入と相成った。
詳細は写真を見てもらうとして、幾ら当時ブームだったとは言え、湾岸戦争にそのまま使えるような仕様は、これこそ本物だと本人は悦にいっていたが、傍から見ればアホとしか言いようが無かったようだ。 しかし、このクルマ、街乗りでは極めて不便な事は言うまでもない。5mという全長と長いホイールベースに、しかもフロントの駆動機構の関係で車輪の操舵角も浅いから、とに角回転半径がバカデカイ。 ファミレスやスーパーの駐車場に入れるのは至難の業だった。それに、舗装路での性能の悪さといったら、加速では軽自動車に負けるし、4輪リジットの足回りだからコーナーリング性能 も期待できない。 ただし、乗り心地は悪くない、どころか寧ろ良いとも言える。特に、荒れた路面での乗り心地では高級乗用車も顔負けだった。そして、当然ながらオフロードでの走破性は信じられないくらいに高い。 副変速機をLoにすれば、歩くより遅い速度で、クローリング出来るし、対角の2輪が浮いてスタックしようとも、アクスルデフロックで脱出できる。サスのストロークは驚く程で、 更にスタビライザーのリリース機構で、この時のストロークは60cmにも及ぶ。そして最後の手段はフロントのウインチで、これ以上の走破性を望むならば軍用の装甲車でも持ち出すしかないという代物だった。 10年間に十数万キロを走破して、マダマダ何ともなかったが、なにしろ町役場ならとも角、4.2ℓの自動車税や、2.5トンの総重量にかかる重量税など、 個人で維持するのは限界となり、泣く泣く手放した。


世界中の僻地で活躍したランドローバー。特に旧英国植民地の写真によく出ていた。
 
日本が世界に誇るランドクルーザー40系。トヨタの対米輸出はこのクルマから始まった。
 

左はB_Otaku が 10年間15万kmに渡って愛用していたニッサンサファリ。
ナローボディの低グレード車にウインチ、デフロック、スタビライザリリース
天井には人が乗ってもビクともしないヘビーラックとバックドアにはラダー。
マルで僻地の町役場か警察車両のようなクルマだった。
クルマ自体は未だピンピンだったが、維持費に堪りかねて売却した。
15万km走行車に買取価格がつくのは流石!

サファリ(輸出名パトロール)やランクル80(当時)/70は生粋のオフロード車だったし、 そこまでヘビーでなくてもパジェロだって普通のクルマとは一線を画していたから、一般のユーザーがブームに乗って買っても、 結局使いこなせずに数年もしたら、あれ程街に徘徊していたのに、いつの間にか見かけなくなってしまった。そこで、メーカーも考えた。どうせ本当にオフロードなんか走らないのだから、 乗用車をベースに、高い車高や大きなタイヤというオフロード車的な外観にすれば、結構売れるのではないかと考えて世に出たのがライトクロカンと言われるタイプだった。 トヨタのRAV4(1994〜)やホンダのCR-V(1995〜)など、何れも乗用車ベースのカッコだけオフローダーだが、目論みは大当たりして見事に受けた。
そして1997年末に発売されたRAV4より大きなサイズのライトクロカンがハリアー(U10)だ。このクルマは北米ではレスサスRXという高級車として発売されたのだが、 発売以来、毎年7〜9万台という大成功を納めて、レクサスブランドの看板車種となっている。北米での高級SUVブームの火付け役とも言えるRXは、パクリのトヨタなんて言われているものの、 この分野ではメルセデスMクラスやBMW X−5などに先行しており、ラグジュアリーSUVではトヨタは本家という事になる。
現行ハリアーは2003年にFMCされた2代目(U30)で、北米での売れ行きから、より大きく、よりパワフルになったが、国内用としては使いづらくなったのも事実だ。
さて、トヨタのお家芸と言えばもう一つ、ハイブリッドを忘れてはならない。このトヨタのオリジナルと言っても良い2つを合わせたハリアー(勿論北米名レクサスRX400h)ハイブリッドなら世界で勝負できるのも当然だ。レクサス批判派と言ったって、日本人として日本車が高い評価を受けることを期待しない訳が無い。 35mm一眼レフ(当然デジタル一眼も)のように、日本が世界を完全に制覇してしまった分野だってあるし、ニコンFやキャノンEOSはクルマで言えばベンツ・ビーエムみたいなものだ。 但し、フェラーリやポルシェの世界、カメラで言えばハッセルやリンホフの世界では、欧州勢が未だにトップに君臨してはいるが。


初代RAV4(1994〜)。街乗り四駆という新しいジャンルの先駆者で、当時は欧州でも話題になった。
 
初代ハリアー(1997)。レクサスRXとして北米で大成功し、その後は同じコンセプト であるメルセデスMクラス
やBMW X−5などが追従する。
 

レクサスGS試乗記の中で説明したように、2004年の北米におけるレクサスとしての売り上げはメルセデスやBMWを抜いて堂々の1位だが、 それはSUVであるRX(ハリアー)の貢献が大きい。

ブランド名  2004年販売台数
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レクサス    287.9千台
メルセデス   219.5千台
BMW     262.0千台(ミニを除く)
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以下に北米のプレミアムSUVの販売状況と価格帯を示す。

車種名       2004年販売台数 2003年販売台数  北米価格(MSRP)
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レクサスRX     106.5千台    92.3千台  $36,370-$46,060
メルセデスMクラス   25.7千台    30.0千台  $39,750-$48,500
BMW X−5      35.2千台    40.7千台  $42,500-$71,100
BMW X−3      34.6千台     − 千台  $36,800-$38,800
VWトゥアレグ     27.7千台    16.4千台  $37,410-$44,750
ポルシェカイエン    18.1千台    12.9千台  $42,200-$90,200
インフィニティFX   31.0千台    27.6千台  $37,800-$49,750
アキュラMDX     59.5千台    57.3千台  $37,125-$44,200
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成る程、レスサスRXはダントツの1位だ。価格帯はBMW X−5が他車に比べて高めで、 更にポルシェカイエンの上級車種は別格の価格帯となっている。
RXの価格をもう少し詳細に見てみれば、RX330が$36,370-$37,770で、ハイブリッドのRX400hは$44,660-$46,060となっている。国内のハリアーは北米には設定のない廉価版の4気筒2.4ℓがあるため、ベース価格は266.7万円 からと、北米RXに比べて極めて買い得になっている。また、ハイブリッドも国内では409.5〜462万円と、北米の4万6千ドルに比べて、これまた買い得感満点というところだ。
このハリアーも近い将来のFMCを期にレクサスブランドへ変更となると、恐らく4気筒は廃止されて、ハイブリッドは確実に500万円を上回るに違いない。RX330の3700ドルというのはセダンでいえばIS350の価格帯だから、現在330万円のハリアー350Gは、国内IS350 と同様に480万円程度になってしまうだろう。何と推定150万円も上昇するのだろうか?

そんな事を考えながら、今回は北米高級SUVの人気No.1のRX、その中でも特に人気が高く、手に入れるのが大変といわれているハイブリッドモデルRX400hの国内版であるハリアーハイブリッドに試乗する。 果たして、米国1番人気車は、日本の実情ではどんな評価となるのか?  

リアから見ると、ラッゲージルームは大きく傾斜したハッチゲートをみれば判るように、決して積載性を重視してはいない。   

リアハッチを開けると最近のセダンに比べると決して広いとは言えないスペースが出現する。
 
 
ハイブリッドである事をアピールするエンブレム。
次期モデルからはLマークが付くだろう。ただし、エンブレム代は100万円也。
 

最近のクルマはボンネットを開けてもカバーがあってエンジンが見えない場合が多い。
それにしてもハイブリッド車の場合は更に訳の判らない機器で一杯だ。
この下にはV6 3.3ℓ、211ps、29.4kg-mのエンジンと167ps、34kg-mのフロントモーター
が入っている・・・筈だが?

以上のような経緯から、今更と言われそうだがハリアーハイブリッド(Hyb.)の試乗となった。
試乗車のグレードはLパッケージ(441万円)という中間グレードでベースグレード(409.5万円)に対して、タイヤが17から18インチに、ファブリックシートがトリコットからジャガード織りに、 そしてJBLサウンドシステムが装着されるのが主な違いだ。GPSは全グレードオプション(32.76万円)だから、試乗車はオプションを含めると、約474万円という結構な値段となる。

乗り込んで見ると、やはり基本はトヨタ車だが、クラウンやマークXなどの典型的なトヨタ車の内装センスとは違う。これは何処かで見た覚えがあると思ったらば、そうだレクサスGSやISと同じような雰囲気・質感だ。 それも、その筈で、米国ではレスサスRXだから、そういう意味では今現在は国内ではトヨタブランドなので価格もトヨタ価格だから買い得なのは間違いない。


リアは幅、奥行きとも十分な広さがある。このリアスペースなら米国人が2名乗車しても問題なし。
写真はLパッケージ(441万円)に装着されるファブリックシート。

写真のフロントはプレミアムSパッケージ(462万円)に装着されるレザーシート。
 

ハリアーハイブリッドの始動はチョット独特だ。まず、 インテリジェントキーを自分で持つか、室内に転がしておくか、それともスロットに差し込むかは自由だが、その状態でブレーキペダルに足を乗せ、始動のボタンを押す。ここまでは、最近の新型国産車でも当たり前に装備されているから、今となっては特に驚くことはない。スタートボタンを押すと、クークーという短いセルモーターの共にヴォ〜ンという音と共にエンジンが始動する・・・・と、思いきや、車内は殆ど無音だ。いや、最初の短い時間はエンジンが回ったのかも知れないが、それにしても、エンジンを始動したという感覚はない。ただし、真っ暗だったメーターパネルやディスプレイ、その他が点灯されるので、スタートの準備が整っているらしいのは判る。
セレクターは一般的なクルマと同じようにセンターコンソールから生えるゲート式のレバーで、これをDに入れるのも特に違和感はない。BMW7シリーズに比べれば遥かに普通で、ハイブリッドという先進的なクルマにしてはもう一ひねりが欲しいなんて要求したくもなる。
そして、スロットルベダルをユックリ踏むと、車は音もなくスーッと走り出す。10m程度走ったところで、エンジンの音が聞こえ始めたから、ここでガソリンエンジンも使い出したのだと判る。赤信号で停止して10秒程度だろうか、微かなエンジン音が消えて、完全に無音状態で停止している。ここで、ブレーキを緩めて見ると、クルマは極低速で前にすすむ。要するにトルコンのクリープがシミュレーションされて、違和感を無くすようにコントロールされているようだ。このクリープは極めて遅い速度だが、トルクはチャンと出ているという、これぞ電気モーターでなければ出来ないような動作をするし、この感覚は実に安全で使いやすい。
今度は、青信号でヨーイドンのフル加速をしてみる。スタート直後は無音だが結構な加速で車を推し進め、少し遅れてエンジン音が大きくなって、クルマはドンドンと加速する。車両重量が2トン弱の大柄なSUVとしてはBMW X−5 3.0を完全に上回り、体感的にはV8 4.4と同等以上に加速をする。X−5 4.4は車重が2250kgと重いボディを333psのパワーと49.5kg-mのトルクで余裕の加速を示したが、 ハリアーHyb.は車重が1950kgとX−5より100kg軽いボディに、V6 3.3ℓ、211ps、29.4kg-mのエンジンと167ps、34kg-mのフロントモーター、それに68ps、13.3kg-mのリアモータを備える。 これらを全部合計すると加速時のトルクは、もしも全てのエンジンとモーターが最大トルクを発生したとすると76.7kg-mという4トントラック並みの強大なトルクとなる。
今度は30km/h程度の遅い流れから、前が空いたときを想定してフルスロットルを踏んでみると、まずモーターによってスーッと、しかし結構強力な加速を感じ、それから少し遅れてV6エンジンのビートが盛り上がっていき、 アッという間に3桁くらいまで加速する。普通はスロットルを踏んで、一瞬遅れてシフトダウンをして、自動的に回転が合ってから加速に移るのだが、ハリアーHyb.はスロットルを踏んだ一瞬後には、間髪を入れずにモーターによる加速が始まる。 この加速感は全く初体験でちょっと癖になりそうだ。
動力性能の良いクルマは、合流や車線変更で併走車の前にでることで、安全に走れるメリットがある。今回の試乗でも都内の片側3車線の一般道路で、左折の準備で左車線を走行していると、 前に荷下ろしのトラックなどが駐車している場合、チョットひと踏みしてグイッ〜と前にでて車線変更が出来るので、実に運転が楽だった。世の中には、100km/h以上出せない筈の日本では、ハイパワー車は不要だし、危険だなどと言っている 連中が居るが、 彼らの乗っているボロイ軽自動車よりも、ハリアーHyb.の方が何倍も安全で走り易いのだが。


クラウンやマークXのような国産車丸出しではなく、レクサスと雰囲気が似ている内装。
それも当然で、このクルマは米国では正真正銘のレクサスRXだから。

走行中の直進性はFFベースであることから非常に安定している。ステアリングを手放しにしてもクルマは真っ直ぐ走っていくから、この感覚は良く言えばメルセデス的で、決してBMW系ではない。 操舵力は適度に重いが、余程か細い体でない限りは女性(と、か弱い男性)ドライバーでも十分にコロがせる。
ステアリングは敏感とかクイックという言葉からは縁遠いが、不満が出るほどにトロくもないし、この手のSUVとしては十分水準を行っている。コーナリング特性は当然アンダーだが、それでも少し多めに切り込めば問題ない。 慣れてきたところで、少し速めの速度で、トルクを掛けながらの旋回を試みたが、意外とアンダーが弱く、見かけの割には結構コーナーリング速度を上げても簡単にクリアできる。この辺は凝った電子制御と、制御 自体をし易い電気モーターのお蔭か? 例えば、複雑で凝ったメカによる4WDを採用しているレジェンドは、何か4輪の制御がシックリといかず、操舵特性がコロコロ変るのが判ってしまうが、 ハリアーHyb.はレジェントより遥かに安定している。
同じ高級SUVのカテゴリーで比較すれば、流石にX−5の操舵性が光るが、あれは別格で米国内の価格だってベースモデルがRXの上級モデルであるハイブリッドに近い価格となっている。


インテリジェントキーを差込むか所持した状態で、ブレーキペダルを踏んでボタンを押す。この手順は最近では特に珍しくは無いが、スタートボタンが“POWER”と表示されているのが大きく異なる点だ。

セレクターレバーはガソリン車と特に大きく変わりはない。

センターパネルの形状は写真で見る北米レクサス版と同一デザインだ。
     

正面に速度計、右に燃料計と水温計は一般的だが、左は出力計でモーターの出力状態を表す。水色のマイナス側は回生状態を示す。

ディスプレイは切り替えによりエネルギーの回収状態も表示する。とは言え、買ったばかりなら面白がって表示さ せるだろうが、飽きたら二度と見ないような気もする。

ハリアーの乗り心地は決して悪くはない。路面の段差で多少のコツコツという振動はあるが、特に文句はでないだろう。それよりも、ハイブリッド車の特徴として、オーディ類を切って走行する場合、特にスタート直後はモータ駆動状態で殆ど無音だから、チョッとした音が気になるというハンディもある。 走行中に気になったのは、寧ろリアの何処かから聞こえるガタピシ音だった。試乗車は走行距離が1万数千キロで、これは試乗車としては多い部類だ。 よく言われるように、不特定多数のドライバーが、千差万別の乗り方をする試乗車は、オーナードライバーの5倍程度の痛みがくるそうだ。と、すれば このクルマは7万五千キロ走行に相当するので、多少ガタが来ても仕方がないだろう。ただし、MBやBMWは10万キロ程度走ってもボディ自体はビクともしないから、このハリアーのボディは、これらと比べればイマイチという事になる。 ハッキリ言って、その分安いのだし、10年で5万キロ程度しか走行しない、土日ユーザーなら問題ないだろう。まあ、この辺はX−5辺りとドアの出来を見比べても想像は出来るが。 X−5というのは、まさにゴツイ鉄の塊りのようなフィーリングをクルマ全体から発しているから、機会があったら良く比べてみることを勧める。試乗して見るのが一番だけど、ショールームでドアを開けて見るだけでも違いが判るだろう。

加速性能とともにハイブリッドのもう一つの興味は回生ブレーキによる制動性能とフィーリングだろう。回生ブレーキというのは、モーターを発電機として使い、その為に食われたエネルギーで車を減速させる と思ってもらえばよい。電車では既に20年以上前から御馴染みだが、電車の場合は回生ブレーキとしての条件が良いので実用化し易かった。 第1に、電車の減速度というのは精々0.1G*1程度だから、発電機の負荷でも十分に減速の殆どを賄える。実際に最近の電車は停止寸前の極短時間のみエアーによる摩擦ブレーキを使用するだけで、殆どは回生ブレーキで減速している。 第2に電車の場合発電した電力は架線を介して他の電車が加速するのに使うので、特別の負荷が無くても成立する。これに比べてクルマの場合は、チョット強めの減速では0.3G以上となるので、回生制動は1/3以下しか使えない。さらに、発電した電気はバッテリーに蓄えるなど電車に比べて余計な機器が必要になる 、等と条件的に厳しい。
また、電車やクルマに限らず、回生制動は摩擦制動(要するに普通のブレーキ)に優先して使用しなければならない。その為には、ドライバーがブレーキペダルを踏んだら、先ずは回生制動の電気ブレーキを使用し、それでも足りない場合は、その分を摩擦ブレーキで補う。 すなわち、ブレーキペダルを踏んでも即座に従来のブレーキが作動はしない。しかも、急ブレーキの場合は即座に摩擦ブレーキも必要など、結構複雑な制御が必要になる。 こういう事は、メカでやるよりもコンピュータに任せたほうが良いに決まっているから、必然的に電子制御ブレーキ、通用ブレーキ・バイ・ワイヤとなる。
まあ、能書きはコノくらいにして、早速実際に試してみよう。まず、ブレーキペダルのストロークは非常に短い。そして、その短いストロークが終ると、幾らバカ力で踏んずけようが、壁のようにビクともしない。 これは、停止状態で踏むと特に感じるが、制御が上手いので走行中のブレーキ操作では、余程注意していないと判らない。 ただし、鬼の首でも取る気で神経を集中して観察すると、チョット強めの制動では踏んだ瞬間と一瞬後では制動力が微妙に変り、なにやらコンピュータがウサンクサイ事をやっているのが感じられる。 が、特に実用上は問題ない。2トン近い車重を考えれば、効き自体は悪くないが、考えて見ればエレキなんだから当然でもある。 このクルマがハイブリッドである事を認識するのは、中程度の減速をする度にヒューンという独特な音が聞こえる時だ。何処かで聞いたことがあると思ったら、霞ヶ関駅で地下鉄が減速してホームに入ってくる時の音と同じだ(勿論、北千住でも同じだが・・・)。

*1  0.1G:重力加速度G(9.8kg/s2)に対する比で減速度比という。0.1Gは重力の1/10の加(減)速度を表す。
  制動の場合、0.1Gは極めて緩い減速で、0.3Gはちょっと乱暴なドライバーの減速、0.6Gは普通のドライバーなら急ブレーキ状態。     
  回生制動は0.1G程度だから、それ以上の分はエネルギーを通常のブレーキで摩擦熱に代える。
  乱暴なドライバーだと、回生ブレーキの恩恵を殆ど受けられないので、 思いの外、燃費が良くなかったりする。

 
ベースグレードを除き、前後とも235/55R18タイヤを装着。ただし、LパッケージはM+Sタイヤとなり、プレミアムSパッケージはサマータイヤを装着する。

ベースグレードは前後とも225/65R17 M+Sタイヤを装着。

フロントキャリパーは極普通の鋳鉄製ピンスライドタイプ。カイエンのような赤いブレンボーに比べれば見かけは悪いが、性能的には問題ない。  

レクサスGSやISは、所詮ドイツの本家をパクッた偽物と言われても仕方がない。言って見れば、日本人の2枚目俳優がタキシードで決めたところで、 欧米のスターには敵わない。しかし、紋付・羽織袴なら欧米人の敵ではない。やはり日本独特のもので勝負しなければ、と思って、クルマの世界に照らし合わせて見れば、日本がオリジナルと言っても良いくらいの、 ライトクロカンというか、乗用車ベースのSUVと、これぞ日本の、と言うよりはトヨタが世界に誇る事が出来るハイブリッドの組み合わせであるハリアーハイブリッド。米国名レスサスRX400hこそは、 欧州プレミアムブランドと勝負できるクルマだし、実際に北米レクサスを支えているのが、RXであることも事実だ。このクルマこそ、レクサス立ち上げ時にRX400hとしてラインナップするべきだったのだか・・・。
近い将来、ハリアーはFMCを期にレクサスRXとなり、価格も100万円以上値上げとなるだろう。それなら、今が買い時とも言える。BMW X−5辺りの出来の良さには敵わないし、 レンジローバーの高級感にも、ポルシェカイエンの速さにも敵わないが、何しろ400万円チョイで買えるのだから、この手が好きなら勧められし、北米での人気も成る程と納得できる。 同じ価格でメルセデスC180やBMW320iを買うのと、どちらが良いかはユーザーの好み次第。しかし、このハリアーを普段の万能車に使って、ここ一番のプライベートにはお気に入りのクルマを使う何ていうのも良いかも知れない。 勿論、一家に一台のファミリーカーにしたってそれなりの満足は得られるし、何より家族の我がままにを止める事ができないミニバン乗りに比べれば、遥かにオトウサンの主張が感じられるのも良いではないか。
05年のレクサスの販売台数は、目標の半分だったとか。多くの人たちが指摘するように、本来マイナーなGSやIS、それにSCだけで立ち上げたのは、チョット早まったようだ。 それでも、遅ればせながらも近い時期にGS450hというハイブリッドモデルが追加されるようだ。しかし、所詮はGS。もう既に駄目の烙印を押されかかっている車種よりは、秋に発売のLS、すなわちセルシオの後継車が勝負だろう。 ハイブリッドのLS600hとうフラッグシップがS600や760iと対等に張り合えてこそ、レクサスというブランドの価値が認められのだから。天下のトヨタが、優秀な人材を集めた割には、レクサスの現状は素人にも指摘できるような間抜けさで結果もイマイチ。

まあ、色々な人の集まる会社という組織は、天下のトヨタでも完璧な人間関係を築くのは難しいのか?なんて勘ぐりたくもなる。世界のトップ企業でさえ、上手く行かないこともあるのだから、 東証一部上場とは言っても、70年代の高度成長で成り上がった新興企業の3流会社なら尚のこと。ゴマを擦りまくってドサクサ紛れに異例の出世。しかし、中身は低○歴、低学力、無教養。 部下から見れば只でさえ忙しいのに、内容はチンプンカンプンだけど部下を指導する姿を上司の執行役員に見せなければならないから、トンチンカンな指摘をする バカ部長への対応に時間を取られるし。 あれっ、そんな事は相手とのやり取りのメールをCCで送っていたので今更何を?と、よく考えたら相手が海外なので、メールは全て英文だった。そういえばあのバカ部長のTOEICの結果は噂では150点とか! しっかし、4択でどうやったら、そんな低い点数が取れるんだ?わが社はグローバル企業なのだから、英語は第2の公用語だなんていう 社長の意思はどうなってんだ?なんて、いうことは流石にトヨタには無いだろうが・・・・。