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Lexus UX 250h (2019/2) 前編 その1

  

昨年11月にレクサス最小となるCセグメント SUV である UX がブランニューモデルとして発売された。レクサスといえば RX (日本ではハリアー) により米国に SUV というクルマのカテゴリーを確立した事で、当時のレクサスの売り上げの多くをこの RX が稼いでいたのだった。その結果、歴史の浅いレクサスがプレミアムブランドとしてメルセデス ベンツや BMW と肩を並べる実績を獲得したのだが、これを誤解した日本の似非文化人は「米国ではレクサス GS が BMW 5シリーズ以上に売れているのに、それを知らない日本人は200万円以上も高い BMW を買っている」みたいな事を言っていたが、判って無いのはお前らだよ、と言いたいところだった。

さてその RX は米国で 1998年に発売されたが、これは日本ではハリアーとして買い得価格で売られていた (写真1) 。RX はその後 2003年に2代目 (写真2) へと FMC され、日本ではこれが2代目ハリアーとなった。その為に 2005年からのレクサス国内展開時点では RX がラインナップされておらず、 2009年の3代目 (写真3) への FMC を機に日本でもレクサス化されたが、初代 RX 相当の旧モデルもハリアーとしてしばらくは販売されていた。ということで、日本国内の RX としては米国で3代目となるモデル (写真3) が最初となっている。なおこの3代目は 2012年の MC でスピンドルグリル化されている。

そして現行 RX は 2015年に FMC された 4代目 (日本では2代目、写真4) であり、このクルマもスピンドルグリルを全面に出した最近のレクサスらしいデザインとなっている。


写真1
初代 RX (日本ではハリアー、1998年-2003年)


写真2
2代目 RX (日本ではハリアー、2003年-2009年)


写真3
3代目 (日本では初代) RX(2009年-2015年)
2012年の MC でスピンドルグリル化されている。


写真4
4代目 (日本では2代目) RX(2015年- )

レクサス SUV としては RX の弟分となるブランニューモデルとして NX (写真5) が発売されたのが 2014年で、クラスとしては BMW X3 やポルシェ マカンと同等のDセグメント SUV となる。バリエーションは新開発の 2.0L ターボを搭載する NX 200t (後に NX 300) とハイブリッドの NX 300h がある。このクルマについては
 ⇒ Lexus NX 200t & 300h 試乗記 (2014年10月)を参照されたい。

実はレクサスブランドには SUV というよりも最高級オフローダーとも言うべき Lexus LX (写真6) が存在するが、このクルマはトヨタブランドのフルサイズオフローダーであるランドクルーザーのレクサス版であり、現行 LX 570 は米国では 2007年に FMC されたが日本では未発売だった。それが 2015年の MC に合せて日本でも販売されるようになり現在に至っている。エンジンは V8 5.7L 377ps という強力なもので、価格は日本で 1,115万円より。

なお LX のベースとなったランドクルーザーについては下記の試乗記がある。
 ⇒ TOYOTA LAND CRUISER 試乗記 (2008年1月)


写真5
初代 NX(2014年- )


写真6
LX(米国2007年-、日本2015年- )

そして今回の主役である UX であるが、このクルマのベースは何と同じトヨタの SUV である C-HR だという。そっ、そんな馬鹿な! そこで両車のスペックを比べ見ると、成る程ホイールベースが同じで、トレッドもその差は10oだからこれも事実上同じといえる。最大の相違点はエンジンで、UX 200 は2.0L 自然吸気であるのに C-HR は1.2L ターボで、これは全く異なっている。C-HR の場合はターボで過給しても 1.2L ではパワーが少なく、P/W レシオは大きく劣っているが、まあその分 UX の価格は C-HR の7割増しとなっている。なお両車には勿論それぞれハイブリッドもあるが、UX (システム出力184ps) の方が C-HR (同122ps) よりも遥かにパワフルな構成となっている。

ここからは何時ものとおりに内外装写真から始めるが、例によって既に日記でよりサイズの大きい写真を掲載しているので、こちらでは趣向を変えてみるのも何時も通りだ。
 ⇒ Lexus UX (2019年2月22日からの日記)

それでここでは上記したようにプラットフォームを共有している C-HR との内外装比較をおこなって見る。比較するのは UX が 250h バージョンL 4WD で価格は 535万円、C-HR はハイブリッド G 2WD で価格は290.5万円となる。なお C-HR について、写真は
 ⇒ Toyota C-HR (2016年12月27日からの日記)
試乗記は
 ⇒ TOYOTA C-HR 1.2 G-T 簡易試乗記 (2016年12月)
 ⇒ TOYOTA C-HR Hybrid 簡易試乗記 (2017年7月)にて。

先ずは両車を俯瞰で比べてみると、一見しただけではこの2車が兄弟関係だとはとても思えない。まあ、ボディーカラーがマルでイメージの違う色というのもあるが‥‥。 そのボディーカラーは UX がテレーンカーキマイカメタリックというダークグリーン系で、C-HR ではラディアントグリーンメタリックという水色に近い派手なメタリック丸出しのチャラい色だ。


写真7
一見しただけではこの2車が兄弟関係とは気が付かない。


写真8
リアは明らかにイメージが違うのは、C-HR のリアウィンドウが大きく傾斜して殆どクーペと言えるくらいという事が大きい。

フロントは其々のアイデンティティ、すなわちレクサスのスピンドルグリルと C-HR のキーンルックにより其々のブラントを表していて、ある程度クルマに詳しいユーザーなら直ぐ判るが、さりとて一般ピープルはスピンドルグリルを見て咄嗟にレクサスだと判る事は殆ど無いだろう (写真9) 。しかしキドニーグリルを見て BMW と判る一般人はレクサスより遥かに多いだろうし、スリーポインテッドスターがベンツである事は更に認知度が高いような気がする。

ではリアはというと、その造形はフロント以上に違いが大きく、特に C−HR がウエストラインから上を大きく絞った台形フォルムが大きな特徴となっているのに比べて、UX はもっと大人しくて良く言えば上品だ (写真10) 。UX のテールランプは左右に其々 "L" を表す形状とし、それを真一文字に結んでレーシングカーのウィングを想像させるエアロスタビライジングブレードライトが特徴となっている、とメーカーでは言っているが、これって既に他社の SUV がやっているデザインじゃないのか?


写真9
フロントは、レクサスのスピンドルグリルと C-HR のキーンルックというアイデンティティで其々のブラントを表している。


写真10
リアではC−HR がウエストラインから上を大きく絞った台形フォルムが大きな特徴となっている。

サイドビューは UX が全長4,495 X 全高1,540o ホイールベース 2,640o 、C-HR は全長4,360 X 全高1,550o ホイールベース 2,640o と UX が165o も長いがホイールベースは同じって? そりゃそうだ、プラットフォームが一緒なのだから (写真11) 。と言う事は UX は前後のオーバーハングが長いと言う事で、実際写真を見てもハッキリと判る。

それ以上にサイドビューでの違いは C-HR のルーフラインは既にフロントドアの中間からなだらかに下降して、Cピラーを過ぎてもそのまま緩いラインでリアエンドまで至るという、要するにクーペ的なラインだった。加えて C-HR のウエストラインが後方に向かってキックアップし、フェンダーの張り出しも大げさでマッチョな雰囲気を演出している。

次にリアゲートを開けてリアラゲージスペースを比べてみると、リアオーバーハングが僅かに長い UX の方が気のせいか奥行きがあるようにも見えるが、それ以上に両車共床位置が高いのはどちらもハイブリッド車という事情があるためだ (写真12) 。

写真11
サイドはUX が全長4,495 X 全高1,540o ホイールベースは2,640o、C-HR は全長4,360 X 全高1,550o ホイールベースは2,640o。ホイールベースが同じと言う事が両車の兄弟関係を表している。

 



写真12
両車共床位置が高いのはどちらもハイブリッド車という事情があるためだ。

というように、基本的に同じプラットフォームの SUV に関わらず、エクステリアの雰囲気は大いに異なるが、良く見ればやっぱり兄弟であることが判ってしまう部分もある。いやそう言う目で見るからで、事情を知らなければ判らないだろう。この辺は流石に世界のトヨタで、大衆向け(と言っても300万円くらいするが)の C-HR とプチセレブ向けの UX を上手く作り分けている。


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