Volvo XC40 T5 (2018/8) 後編 その1 |
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クルマに乗り込む為にドアを開けると、既に写真撮影で中を見ているから初めてではないが、やはり XC60 とのギャップにガクっといいう感じで、まあ気を取り直してドライバースシートに座ってみる。ここで前方を見ると妙にダッシュボードが高い気がするので、頭上を触ってみたらば空間は充分あるから、これはシートが低く調整されていたのかと思い着座位置を上げてみる。この段階でもやはりダッシュボードは高めで、それにも関わらすフロントグラス下端にはボンネットが見えている。最近は以前のように全くボンネットが見えないクルマは少なくなってきたが、XC40 のようにハッキリ先端まで認識できる例は決して多くは無い。 シートの座り心地はマアマアだが、細かい通気孔と柔らかくなめされたレザーによる XC60 と比べると座り心地は劣るのも事実で、まあこれは XC60 のレベルが高いという事で、決して XC40 が悪いという訳では無い‥‥と言う事にしておこう。シートベルトを締めてエンジンの始動はと言えば、XC60 ではコンソール上の四角いスイッチを右に回すという、世間のクルマとはかけ離れた方法だったのに対して、XC40 ではセンタークラスターの右側にある丸い押しボタンに変更され、これに関しては普通のクルマとなった (写真31) 。この面からも XC60 はドイツ車とは全く違う北欧テイストのクルマだが、XC40 は「これじゃぁドイツ車と変わらなくねぇ? 」何て思いながらエンジンを始動する。 次にATセレクターをDに入れるのだが、これについては逆に XC60 の方がオーソドックスで、これに比べると XC40 は電子式で、かといってBMW とは全く違い、先ずはレバーを前後のどちらかに動かすとNとなり、そこから押せばRで引けばDとなる (写真32) 。というように、これは手順を聞いておかないと必ず面くらう事間違い無しだ。パーキングブレーキはATセレクター手前の誰が見ても電動パーキングスイッチと思えるモノがあり、これを世間の常識通りに押す事で解除される。 |
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ブレーキペダルを放してユックリとアクセルを踏むとクルマは静々と前進し、公道手前で一旦停止してクルマの流れが切れるのを待つ。やがて上手いタイミングが来たので本線に入りここからハーフスロットルで加速すると、結構なトルクを感じるのは P/Wレシオが 6.7s/ps というチョイとしたスポーツカー並みな為で、この値はトヨタ86 の 6.4s/ps に近いから、これじゃ「ハチロクの面目マル潰れじゃねぇ」何て事になる。なおペダル類については XC40 は R-Design と言う事でアルミスポーツペダルが付いているが、XC60 は地味なウレタンパッドで、この面ではXC40の方が見栄えがする (写真33) 。 ところで正面のメーターについては最新の設計らしくメータークラスター全体が1枚のカラー液晶ディスプレイを使用しているタイプだから、目の前のアナログメーター類は全てCGによる映像である (写真34) 。その為に表示内容によって左右に1対となっている速度計と回転計の直径が変化する。ただしこれらは XC60 でも既に採用されているものだが、XC60 とはデザインが少し異なっている。 XC40 のミッションは XC60 と同じ8AT で、レスポンスも悪く無い。考えてみれば 8速もあれば小まめなシフトが可能であり、エンジンの一番美味しい回転域を使うことが出来る訳で、これは良くて当たり前いと言う事になる。ところで8AT といえばライバルの X1 も同じだが、XC40 のシフトレスポンスは X1 と比べても決して引けを取らないが、若しかして同じメーカーのミッションを使っているとか?考えてみれば世界のミッションメーカーというのは何社も無い訳だから、同じメーカー製というのも充分に有り得る。まあそれを言ってしまったら、今や自動車の重要部品はそれぞれ世界的に有名な数社で成り立っていたりするが‥‥。 | |
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ちょっと横道に逸れたので話を戻して、今まではデフォルトの Comfort で走行していた為に、シフトスケジュールは大人しく、巡航では1,500rpm 以下を使用しているから自然に速度が落ちた時は1,000rpm くらいまではシフトダウンされないが、そこからアクセルと少し踏みこむと即座にシフトダウン‥‥とは言えないが、反応が遅くて苛々する事も無く、まあチョイと一瞬待つ事は必要だが‥‥。そこで今度は走行モードを変更して見る。 その方法はコンソールにあるローラー状のスイッチを使用した XC60 とは全く異なり、センタークラスターの下端にあるエアコン操作パネルの右端に、良く見れば "DRIVE MOOD" と書かれたスイッチがあって、これを押すとディスプレイに上から "Eco 効率的な運転" 、"Comfort 日常の運転" 、"Off Road 未舗装路" 、"Dynamic 高性能" という4つのモードが表示され、これを指でタップすると選択される (写真35) 。そう、このディスプレイはタッチ式で、言ってみれば iPad が付いているようなもので、そう言えば縦長の形状もマルで iPad みたいだ。 そこで早速 Dynamic を選ぶと、エンジンのレスポンスは明らかに良くなり、AT のシフトも高回転側となる、って、まあこれは当然だが。暫くこの高回転側の巡航を楽しむが、レスポンスの良さは敏感過ぎる事も無く、何時もこのモードのままでも良いくらいだ。そして上手い具合にチャンス到来で、停止寸前まで速度が落ちたところでフルスロットルを踏んでみると、その加速はチョイとしたスポーツカー並みで、まあこれ以上の加速とレスポンスを SUV に求めるならマカン ターボ辺りを選ぶ事になる。 |
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この先はその2へ続く。 |