Mercedes Benz A180 (2018/12) 後編 その1


  

それでは試乗を始める事にしよう。今回の試乗は輸入が始まったばかりで未だディーラーには試乗車が無い為に今現在では唯一、我々一般ピープルが試乗出来る東京 (大阪も) のメルセデス直営施設の試乗となる。ここはディーラーと違って購入希望か如何かを詮索されたりしない等、結構メリットがある。加えて今までの数回の同所での試乗では隣に乗った説明員(兼監視員?)のレベルが高く、実に楽しく試乗が出来た事も評価が高い原因だ。ただし今までは‥‥だが。

予約時間より大分早めに着いたので、展示されているクルマを見たりして時間を潰したが、それ以外には受付で iPad を渡されて何やらアンケート等を入力させられる。予約の時間の10分前くらいになって、今迄の通例だと早くから待っていると大体10分位前に始めてくれるのだが、今回はピッタリ時間までお呼びは無かった。

やっとお呼びが来たと思ったらスタッフはスタコラと先に行ってしまい、出口に行ったがクルマは無かった。いやねぇ、今までは出口の前に試乗車が用意されていたのだが、今回は20m程先の駐車スペースに置いたままで、それを説明員というかスタッフが出していて、一体どのタイミングで乗り込むのかも判らない不親切さだった。う〜ん、今回は何だか変だそ、と嫌な予感がしたが、まあ兎に角クルマの運転席に乗り込む。

シートは前編でも述べたが見た目にはサイドのレザーが如何にも人工皮革という感じでCクラスとは随分違うが、座ってみればそれ程悪くも無い。ここでシートを調整するのだが、実は最初に乗り込んだ時点ではバックレストが妙に寝ていて、これやあ農協親父のクラウンじゃねぇか、という感じだった。シート調整はドア側のスイッチで行うのはCクラス以上と同じで、個人的にはシートベース側面よりも使い易いと思っている。

シートやミラーを合わせて、エンジンの始動はというと先程移動したままなのでエンジンは掛ったままだった。因みにスタートボタンはセンタークラスターの右というかステアリングコラムの左というか、運転席からではステアリングホイールの影に隠れて見辛い場所に配置されている (写真21) 。なおCクラスでは全く逆のダッシュボード右端となり、C200 ではクロームメッキされた高そうなボタンで、この辺もAクラスとは格の違いを見せている。なお C180 では試乗時には電子キーをキースロットに差し込んで回すタイプだったが、今現在でも同様かは判らない。

次にAT セレクターをDレンジに入れるのだが、これもCクラス以上と同様にステアリングコラムの右に生えたレバーを使用する (写真22) 。パーキングブレーキはダッシュボード右端の電気スイッチを引く事でリリースされるが、その場所はCクラスがダッシュボードの底に近い位置に配置されていたのに対して、もう少し上のライトスイッチの隣に移動した (写真23) 。なおこのライトスイッチもドイツ車でお馴染みの回転式だが、Aクラスのデザインは始めて見るタイプだった。

また吊り下げ方式のアクセルペダル (トップ写真) はヴィッツかマーチかという乗りである。

写真21
スタートスイッチはAクラスのステアリングコラム左側に対してCクラスでは右側となる。なお C180 ではキースロットに電子キーを挿入するタイプもあるようだ。


写真22
AT セレクターはCクラス以上と同様にステアリングコラムの右に生えたレバーを使用する。
しかしこうして拡大したステアリングホイールのレザーの質感にも大いなる差がある事が判る。

写真23
パーキングブレーキはダッシュボード右端の電気スイッチはCクラスとは位置が変わっている。

ここでゆっくり発進して細い裏道を数十メートル進むが、この時のアクセルレスポンスはどうもあまりよく無い気がする。表の道路に出て加速するが、まあエンジンのパワーからしてこんなものだろうか。そのまま流れに乗ってユックリ巡航するがやはりトルク不足とシフトダウンのタイミングもトロい気がする。こういう場合は走行モードをスポーツにすると一気に良くなる事も多いので早速切り替える事にする。

モード切り替えはメルセデスに共通のコンソール上の左奥のスイッチ (写真24) を奥側に押す事で切り変わる。とここで助手席に乗っていたスタッフが
「あっ、スポーツモードの試乗は禁止です」
と言って、即座にノーマルに切り替えてしまった。
「はぁ〜? スポーツモードが禁止い?
 ここでの試乗は数回やっているけど、そんなの始めてだぞ」
というと
「そんな事は有りません。以前から禁止です」
って、そんな馬鹿な。大体ドッカンパワーの AMG なら兎も角、A180 でスポーツモードが危険とでも言いたいのだろうか? いやその前にこんな事は初めてであり、若しかして今までのスタッフはそんな規定が無意味な事から自分の考えでスポーツモードの走行を実施していたのだろうか。

しかし腑に落ちないので
「そう言えば以前の試乗の時のスタッフは輸入元の社員だと言っていた。
 だからスポーツモードを平気で使わせたのかな。
 若しかして、輸入元の社員ではないな?」
という問いに
「運営を代行している会社の社員です。スタッフは全てこの会社で輸入元の社員は居ません」
との事。
「いや確かにそう言っていたし、態度も知識も君とは格が違ったぞ」
と煽ってみたが、ムカッとする様子も無く無視していた。以前のスタッフが自ら輸入元の社員と言った以外にも決め手となる事がある。何故なら輸入車の型式認証に係わる話題にシッカリと対応してくれたからで、これは下請けのアンちゃんには判らない世界だ。

それにしても何故にスポーツモードを禁止するというルールを決めたのだろうか。若しかしたらスポーツモードの巡航ロジックがBMWの特許か何かに引っ掛かって、それを逃げる為にイマイチの特性で、比べられると墓穴を掘る可能性があるから、とかはまあ無いだろうが、それでもそんな事を推測したくなってしまう。

ハッキリ言って今回のスタッフは第一印象で何やらアパマンショップとか携帯電話の販売店員と共通の雰囲気を感じてチョイと嫌な予感が過ったの事実だった。要するにスマホの内容を少し知っているくらいで、本来IT何てマルで素人なのに、自分は専門家のような気になっている、あの雰囲気だな。


写真24
走行モードスイッチはどちらもコンソール上の同じような位置にある。

そこで一番肝心なというか寧ろ都内の低速巡航時こそ使いたいスポーツモードでの確認が出来ない事から、方針を変える事にする。丁度良い具合に片側2車線で比較的空いている国道、ぶっちゃけ青山通りの赤坂御領地前であり、プレステのレースゲームのグランツリスモに出てくる東京サーキットのストレートに想定されている場所で、以前試乗中にその話をしたら直ぐに真意は伝わって、そのスタッフは大喜びしていた。

という事でクルマも少ないので左のパドルスイッチを行き成り引いてシフトダウンをする。そこでフルスロットルを踏んでレッドソーンの始まる直前の 6,000rpm 迄加速して見る。この時の A180 は決してパワフルでは無いが、まあ満足できる加速をするし、何よりシフトアップのレスポンスは極めて良い。実は後で知ったのだがこのクルマのミッションは DCT タイプだった。成る程、それで低速時のオートマ動作がギクシャクしていたのと、スムーズさに欠けていたのだったと納得する次第だが、そんな大事な事を伝えない今回のスタッフは、やはり役立たずだった。

それでフルスロットル時の音や振動はと言えば、まあ決して官能的ではないがそれ程煩くも無く特に文句は無いが、4気筒なのに3気筒の1シリーズと精々同等、いやある面負けているとも感じるのは情けないものもある。

つづきはその2にて。

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