さてそれでは操舵性と旋回性はと言えば、先ずは操舵力は軽めでレスポンスは決して悪くは無いが、これがスポーツモードの場合は‥‥って、実は前述のモード切り替え騒ぎで、例の馬鹿スタップがステアリングのみならスポーツモードが可能だとか訳のわからない事を言い出して、何やら設定を変えて事で妙に軽くてクイックな設定になった。確かにクイックと言えば言えるし、スポーティーといえばそうなのだが、スロットルレスポンスはトロイのにステアリングだけワザとらしくクイックという奇妙な状況となった。
まあそれなら少し過激にやってやろうか、とばかりに久々に派手な運転をしてみる。先ずは2車線の道路で急なレーンチャンジを繰り返すが車両は良く付いてくるし動きも軽快だ。車両重量自体は1,365s (欧州仕様) と決して軽くは無いのだが、その動きは妙に軽く感じる。
ここで青一の交差点を赤坂側から来て左折して乃木坂方面に進むと、例によって中速コーナーとして丁度良い左カーブが現れる。ここはこの付近の試乗では定番でありテスラの試乗ではその驚くべき低重心の安定性を見せつけられた場所だ。既にミッションはマニュアル状態でありコーナー手前で4,000rpm を維持しての臨戦態勢で突入すると、とても FWD とは思えない極々少ないアンダーステアで綺麗にクリアして行く。現行 BMW 1シリーズもCセグハッチとしてはトップクラスだが、流石にあれは RWD だから直接比べたらAクラスが可哀そうだが、同じ FWD のゴルフだったら決して負けていないと感じる。しかしコーナーリング中の微妙なステアリング修正は妙に軽くてオーバーレスポンスの特性は挙動がギクシャクしてしまう。
次にブレーキについてはメルセデスらしく無く妙に軽くて喰い付くような BMW 的なフィーリングで、寧ろ最近は少し大人しい味付けとなった BMW よりも BMWっぽいという妙な事態となっている。そのブレーキを C180 クラスと比べてみるとキャリパーの構成はどちらもショボい鋳物の片押しだが、見た目でも容量が C180 方が大きい事が判るが、まあこれは車両重量の重いCクラスだから当然だ (写真28) 。なおCクラスの場合は上級車種 (C200等) ではフロントにアルミ対向ピストンキャリパーが奢られているが、Aクラスだって将来発売される高性能モデルには採用される可能性は大きい。
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