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Nissan X-Trail Hybrid (2016/8) 後編 その1 |
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運転席は SUV らしく適度に高いから眺めは良いし、全幅1,820o にしては取り回しに苦労することも無い。それにしても、20年前なら1,800oを超える全幅なんて相当なワイドボディだったが、今ではミドルクラスの標準的なサイズになってしまった。まあ考えれて見れば5ナンバーサイズとの違いは片側60o なのだが、全幅についてはこの違いが大いに効いてくる。これが全長だったら、100o 長いくらいではそれ程の違いは感じられないんだけど‥‥。 運転席に座ってよくよく考えれ見たらば、そのフィーリングも目に入るインテリアもエクストレイルのガソリ車と全く変わらないのだった。システムの電源オンはダッシュボード上のセンタークラスター右隣、ステアリングホイールに隠れた位置にある丸型ボタンでこれまたガソリンモデルと変わらず、唯一の違いはHV だから表示が ”START/STOP" となっている事くらいだ (写真31) 。ATセレクターはハイブリッド専用車のような特殊な電子式ではなくガソリン車と同じコンソール上のレバーで、そのパターンも直線式でP→R→N→Dだが、Dの手前にはLという恐らく降坂用のポジションがある (写真32) 。なおDから横に移動してのマニュアルモードは無いが、まあ CVT の SUV には不要なモノだから無くても全く問題は無い。 パーキングブレーキもガソリン車と全く同じ足踏み式のもので、これは決して嬉しくはない方式だが、今後は電動式などに移行するのだろう (写真33) 。発進の為にフートブレーキを踏んでセレクターをDに入れて、いけ好かないパーキンブレーキを踏んで解除した積りが逆だったようでもう一度踏み直す。フートブレーキを放すとゆっくりと音もなくクリープするのはハイブリッドのメリットで、そこから更にゆっくりとアクセルを踏んで駐車場構内を進む時にはモーターのみで‥‥という訳にはいかないようで、いつの間にかエンジンが回っている。 公道に出て巡航速度まで加速するために 2/3 程アクセルを踏むと、その時の加速はやはりガソリンのエクストレイルよりもトルクフルに感じるのは、全く同じエンジンに加えて 160N-mのモーターがサポートするのだから当然で、160N-m といえば1.6L エンジンをもう1台積んでいるようなもので、しかもエンジンよりも遥かに低い回転数で大きなトルクを発生するわけで、その割にはもう少しトルクフルに感じても良さそうなものだが。 ガソリンモデルの試乗記で述べたようにエクストレイルはエンジンのスペックの割には動力性能は決して悪く無いから、これに低速側主体とはいえ電気モーターのアシストがあるハイブリッドモデルの動力性能は実用的には充分だ。そして当然ながらエンジンが高回転側に向かう程電気モーターのご利益がなくなるから、フルスロットル加速時はガソリンモデルと大して変わらない。 |
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ここで正面のメータークラスターに視線を移すと、何を隠そうガソリンのモデルとほぼ同じ (写真34) だが、違いを探すと2つの大径メーターのうち左側の回転計の中に組み込まれた小径メーターがガソリン車の水温計に対して HV ではパワーメーターとなる (写真35) 。加えて中央の液晶ディスプレイが HV ではエネルギーモニターという電力の情況を表示するお馴染のモノとなる (写真36、表示の変更も可) が、ガソリン車と共用している関係もあり少し表示が小さいようにも感じる。 実はこのメーターの違いはソフト的にどうにでも変更できる液晶の表示を変えているだけだから、ハードウェアとしては共通となる訳で、このクルマに限らないがメーターの液晶化のコストメリットは大きいだろうし、近い将来はメカ式のアナログメーターが絶滅しているに違いない。 |
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コンソールの後部にはダイヤル式の 4WD モードスイッチという、その名の通りで4WDモードを切り替えるものがあり、1輪がスリップしても駆動力が失われない要はデフロックの ”ロックモード”、走行状況で自動的に前後配分が変わる ”AUTO モード” 、そして燃費重視でFWD走行する ”2WD” モードの3つを選択出来るが、今回は全て AUTOモードで走行した (写真37) 。 ところで、この手の4WD走行モードはクロスカントリー車では当然のように付いていたから、エクストレイルのようなナンチャってオフローダーでも悪路走行用にデフロックを装備しているのは、この分野で経験の深い日産らしい発想だ。と、持ち上げておこう。 |
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エクストレイルのハイブリッドシステムはプリウスに代表されるトヨタの方式とは大きく異なっている。下の図は日産がカタログやウェブサイトでの説明用としているものだが、これを見るとエンジンの出力軸にモーターが配置され、この前後にある2つの各クラッチによって其々の動力をオン/オフするもので、エンジンとモーターを同時に使用している場合は正にこれらが直結されている状態になる。従って変速はその後にある CVT によりエンジン/モーターに関わらず同一に変速される。 乱暴な言い方をすれば、普通のガソリン車の出力軸にモーターを直結していると思えばいい (勿論クラッチでオフすることが出来る) 。これに対してトヨタの方式は3軸の遊星ギアにエンジン入力、モーター入力、そして出力を繋いで入力の関係で減速比を変化させるという方法で、無段変速には違いないがスチールベルトの CVT とは全く方式が異なっている。ということはトヨタ方式ではこれまた乱暴な言い方をすればエンジンにはトランスミッションというべきモノが無くて ”1段変速” という言い方も出来る。 それで、日産方式が良いのか悪いのかといえば勿論一長一短だし、ぶっちゃけトヨタ方式をパクるのは特許の関係で難しいだろう。ただし、初代プリウス発売から (1997年) 既に20年が経過しようとしているから、そろそろ基本特許は切れている頃で、勿論その後に周辺特許で固めているとは思うが、本当にこの方法がベストと成ればそろそろ他社も採用し始めるかもしれない。いや、既に研究開発&初期の試作はしているだろう。
以上の事を踏まえてエンジンルーム内を見てみよう。前述のようにエクストレイルのエンジンはガゾリン車と HV では型式・性能共に全く同じだが、実際にはエンジンのトップカバーが全く異なるためにあたかも全く別のエンジンに見える。そして写真39右ではガソリン車のバッテリーがドカンと居座っているが、よく見れば車体の左端 1/3 くらいは事実上何もなく、これが HV になると電気モーターの駆動や制御機器が配置されている。 とはいえ前述のようなモーターがエンジンとCVT ミッションの間に入っている情況を目で確かめられるかといえば、それは出来そうにもなかった。 |
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以後は ”後編その2” に続く。 |
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