Lexus RX450h (2015/12) 前編 その1 |
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1997年に初代モデルが発売されたトヨタ ハリアーはそれまでのクロスカントリー用 4WD 車が軍用車をルーツとしたヘビーデューティーな作業車だった時代に、高級セダンの乗り心地と快適性を備えたクロスオーバー SUV として新たなジャンルを開いたクルマとして大いなる人気を博した。ハリアーはその後現在に続く SUV ブームへのルーツとなったクルマであり、海外のモノマネが多いと言われる日本車、取り分けトヨタ車においては異例の正真正銘音のオリジナリティーのあるクルマだ。 この初代ハリアー (写真1) は翌年 (1998年) には主に北米大陸を中心として高級車ブランドのレクサスより RX として発売されて爆発的な人気モデルとなった。2005年に国内でもレクサスブランドの展開が始まった頃には、訳知り顔の知識人気取りの論客がレクサスは世界ではベンツ・ビーエム以上に売れている車であり「未だに外車を有り難がるのは日本人だけだ」何て言っていたが、実はレクサスが売れているのは米国のみで、しかも販売の殆どは SUV である RX と米国向け中型 FWD セダンのベストセラーであるトヨタ カムリの高級版で日本ではウィンダムとして販売されていた ES が販売台数の多くを占めていた。要するに世界中でBMW 3・5シリーズやメルセデス・ベンツC・Eクラスと張り合って勝っている、何ていう事ではないのだが、あたかもそのような評論をしていたのは確信犯の御用評論家かクルマに無知なエセ評論家だった訳で、無知な輩を上手く使って世論を盛り上げるという戦略だったのだろう。その努力が功を奏して見事にレクサスはベンツ・ビーエムの市場に食い込んで‥‥ということは無く、今では主としてクラウンなどの国産高級車の客層をターゲットとしているようだ。 この国内でのレクサスブランド展開で問題になったのは、今までトヨタブランドで比較的安価に販売されていたが米国ではレクサスの高級車扱いだったクルマ達をどうするかであった。この対策としてはウィンダムは販売終了とし、セルシオ (LS) 、アリスト (GS) 、アルテッツァ (IS) は FMC を機に全く別の車というスタンスでレクサス車として発売したが、ソアラだけはほぼそのまんまでレクサス SC として販売されたことからソアラー時代よりも約60万円程価格が上昇していて、おもてなし商法のブランド料が数十万円であることがバレてしまった。 ところで今回の主役である RX はといえば、レクサスブランド国内展開の始まった2005年時点でのハリーアーは2003年に2代目へと FMC されていたが、これが結構好調な売れ行きのためにソアラのように数十万円高くしてレクサス車にトレードという訳にもいかず、結局米国向け RX が FMC した 2009年に国内向けレクサスも RX (写真3) を発売する事になったので、何と6年間も国内向けレクサスには RX が空白となっていたことになる。それではハリアーはといえば、この時点でも十分な人気があったために2代目ハリアーはその後 2013年まで継続生産されている。因みに2009年の RX の価格は最も安価な RX 270 が415万円で最上位の RX350 バージョンL エアサス 4WD が565万円だったのに対して、同年のハリアーは 240G が267万円で3.5 AIRS 4WD が400万円だから、旧モデルの継続販売とはいえレクサス RX の同等車種とは何と 150〜165万円もの差が付いていた。 なお2代目ハリアー (写真2) は2013年に生産が終了した後は3代目として RX とは全く異なるモデルが発売され現在に至っている (写真4)。 |
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ここで今回の主役である RX450h についてお浚いしておくと、その名の通りのハイブリッド車であり V6 3.5L 262ps ガソリンエンジンとフロントには 167ps の電気モーター、4WD モデルの場合にはリアに68psの電気モーターが装備され、これで後輪を駆動することで 4WD となるから、ガソリン車の4WD のように後輪のために後軸用の出力を分配するトランスファーや長いプロペラシャフトが不要になるし後輪の駆動配分だって全てエレキで制御するために特殊なデフやカップリングも不要となるという大いなるメリットがある。そして車名からも判るように4.5L 並の動力性能を発揮する (と言う事になっている) 。 ハリアーにハイブリッドモデルがラインナップされたのは2代目からで、その性能を下の表で見るとエンジンは旧世代の3.3L だが電気モーターについてはスペック的に殆ど今回の新型RX ハイブリッドと同じであり、しかもリアモーターについては型式まで同じだから全く同じモーターを使い回している事になる。それで発売時の価格は 410万円であり、消費税率や物価の違いを考慮しても新型 RX との価格差は200万円!ということで、一体何が違うのだろうか?? ![]() ハイブリッドの動力性能はハリアー時代から大きく変わらないのは解ったが、それでは車両のサイズはどうだろうか。ハリアー時代も含めて今回までの3代を比較すると全長、ホイールベース、全幅共に FMC の度に大きくなっている。とはいえ、今回の新型のサイズはカイエンハイブリッドの全長 4,855 x 全幅 1,940 x 全高 1,710o 、ホイールベース2,895o に比べると全長は 35o 長く、全幅は 45o 狭く、ホイールベースは105o 短い。なお全高はどちらも 1,710o と同一である。 それで実車を見た第一印象はやはりデカい!とは感じるが、それでもカイエン程の馬鹿でかさというか、迫力が感じられないのは RX がカイエンよりも全幅が45o 狭いことが大きな原因であろう。なお内外装についてはいつもの様に既に12月7日からの日記 次にサイドから見るとルーフラインはリアドア後端辺りから大きく下降していて、BMW のX6 のようにクーペ的なSUV にも見えるが、よく見るとリアウィンドウのブラックウトがそのままCピラーに繋がっていて、このラインが実際以上にルーフラインをクーペ的に見せている (写真9) 。だだし、写真のクルマはボディーカラーがホワイトのためにグラスエリアに続くブラックアウトの視覚的に強調されているが、ブラック系のボディーからでは見た目の雰囲気は随分違ってくるだろう。 |
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リアのラゲージスペースは流石に大柄の SUV だけあり十分な広さがあるし、トヨタのハイブリッド技術はバッテリーの搭載のためにラゲージスペースが狭くなるなどという事も無い (写真10) 。尤も背の高いSUV はハイブリッド化する場合に最も悩みの種である大型バッテリーの置き場を高い車高故に床下に配置することが可能であり、4WD 化の容易さも含めて SUV とハイブリッドは相性が良いから、トヨタ以外でもリアシートの後方にバッテリーを積んだハイブリッド SUV なんていうのは覚えがない。 テールゲートの下端には他車同様にゲートの電動クローズスイッチが付いていて、これを押すとリアゲートはスーッと降りてきてそのまま静かに閉まる (写真11) 。何時も指摘しているが勢い良く下降してバタンと閉まるBMWのゲートからすればずっと ”上品” だが閉まる速度がちょっと遅い。 |
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長くなってきたのでこの先は ”後編その2” に続く。 |